皇紀2666年 8月1日
















皇紀2666年 8月2日










 記憶の一部が整理されたらしい。頭が痛い。







皇紀2666年 8月3日










 ・・・・・







皇紀2666年 8月4日










 今日始めて知ったが、私はこの船で造られた物らしい。
それは最近の事らしいが、私はもっと以前から生きていたような気がする。
なぜか頭の中にある、曖昧な記憶情報が私にそう思わせているのか。








皇紀2666年 8月5日










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皇紀2666年 8月6日
















皇紀2666年 8月7日










 記憶の一部が整理されたらしい。頭が痛い。







皇紀2666年 8月8日










 集中整備は完了したらしいが、妙に頭がぼんやりとしている。
私は、なぜが壁が鋼鉄で出来ていると思われる、頑丈そうな部屋に入れられている。
そして分厚い強化ガラスの向こう側には研究者らしき人達がいて、彼らは私が起きたのを見ると、なにやら「あなたの名前はなんですか?」などと聞いてくる。
なんだか妙な質問だが、おそらく記憶情報診断かと思い、
とりあえず「橘花です」と答えておく。
すると、その研究者達は、私が質問に答えた事が嬉しかったのか、なんなのか、妙に喜んでいる。何がそんなに嬉しいのか知らないが、整備が終わったのなら早く戦艦飛鳥に帰してほしいものだ。
とにかく私は、あの日突然倒れて整備に出されたままになっている桜花提督の事が心配で、仕方が無い。
しかし・・・どうも状況がおかしい。
なんだか妙に気になったので、とりあえずそこにいる研究者に今日の日にちを聞いてみる。
すると愕然である。
なんと今日は、8月の8日なのだそうである。
私が整備に出されたのは4月の25日なので・・・・つまり、整備に3ヶ月以上も掛かったということになる。
これは・・・一体・・・・
すると研究者がやや深刻な表情で説明を始めたのだが、その話がさらに愕然である。
要約すると、私の集中整備に掛かった時間は実は2週間ほどで、5月の8日から再び私は飛鳥に戻り、通常通り任務についていたそうなのだが、その後問題が発生し、なんとその後の私の記憶情報が全て消えてしまったのだそうである。
つまり私は、4月25日以降の記憶が全くなくなってしまったということなのである。
これは・・・大問題である。
とにかくどうしてそのような事になったのか説明を求めたのだが、現在調査中なので分からないという事。
しかし、今後はそういう事は絶対に無いので安心するように、などと言っているが現在調査中で分からないのに、なんで「絶対に無い」と言えるのかが疑問だ。
ただ、桜花提督の方は全く問題無く、現在は戦艦飛鳥で通常通り任務に就いてるという事なので、少し安心した。
それにしても、私は早く飛鳥に戻りたいのだが、なにやら様子見とかで、もう一日ここに留まらなければならないということ。
・・・全く・・・早く帰りたい。








皇紀2666年 8月9日


桜花

 本日桜花は整備点検を完了し、再び飛鳥に戻ってきました。
結局桜花はどこも問題なかったみたいです。
それで、第1艦隊は現在呉港に停泊中で、艦内要員には休暇が与えられているのですが、なぜか参謀部の方々や兵士の方々は艦内に残っていて、桜花が無事に戻ってくるのを待っていたそうです。
それはそれは、ご心配お掛けしてしまって・・・申し訳ないです。
やっぱり最近おかしなことが多いので、艦内の皆さんも不安なのかもしれません。
もちろん桜花も不安なのですが、やっぱりこういう時こそ、連合艦隊提督である桜花が毅然としていなければなりませんよね。
うめはなも「おうかだいじょぶみたい?」って不安そうな顔で聞いてくるので、桜花は「大丈夫!」って言って、にっこり笑って、うめはなをだっこしてあげるふりをしてこちょこちょして大笑いさせてやりました。
うめはなの甲高い笑い声って、艦内の雰囲気を明るくするんです。
これで少し、みんな元気になったでしょうか。
でもやっぱり橘花さんはまだ整備から戻っていないみたいなんです。
ああ、橘花さん、本当に大丈夫なんでしょうか。
すごく不安です。
橘花さん、早く帰ってきてほしいです。








 今日もただ静かに、この殺風景な部屋にいる。
この部屋もなんだか妙である。
何でこんなに、やたらと頑丈に作ってあるのか。
しかし、その鋼鉄製の壁をよくみると、なにやら引っ掻いた様な傷がいくつもついている。
この頑丈そうな壁をここまで削り取るには、かなりの力で何かをこすり付ける必要があると思うのだが。
また、どの傷跡も、どうやら似たような形状をしていて、おそらく同じもので付けたのかと思われる。
そして、なぜか・・・その傷跡に手を当ててみると、妙に私の指と一致する。
・・・・まさか、私の力でこんな頑丈なものに傷を付けるなんて不可能なので、偶然かと思うのだが。
そんな事より、私は早く飛鳥に帰りたい。
早く、桜花提督に会いたい・・・








皇紀2666年 8月10日


桜花

 本日、やっと、橘花さんが整備から戻ってきました。
桜花はなんだかもう、うれしくてうれしくて
旋翼機から降りた橘花さんに敬礼もせずに抱きついてしまいました。
橘花さんはちょっと面食らったような顔をしてましたが、桜花は本当に心配していたのですよ。
それにしても橘花さんは整備に行って戻ってきただけなのに、何でこんなにうれしいんでしょうね。
橘花さんも不思議そうな顔をしてましたが・・・そういえば、橘花さん・・・なんだか少し、雰囲気かわりましたよね。
そう、橘花さん、髪型が違います。
いつもよりちょっと短くて、リボンもつけていません。
我々人型電算機の髪って、放熱効率とか衝撃吸収効果とかいろいろ考慮してあるので、そう簡単に切ったりしてはいけないって言われてたんですけどね。
それと、あの・・・桜花があげたリボンはどこへ行ってしまったのでしょうか・・・
でもまあ、橘花さんが無事に戻ってきたのでよかったです。
という事で久々に、桜花とうめはなと橘花さんの三人で飛鳥庵でごはんを食べます。
橘花さんはあんまり食欲が無いみたいでしたけど、でもやっぱり、みんなそろってごはんを食べるのが一番良いです。








 本日、私はやっと戦艦飛鳥に戻る事が出来た。
飛鳥は呉に停泊中で、いつもと特に変わった様子は無いのだが、私が旋翼機から降りると桜花提督が突然抱きついてきたのでとても驚いた。
・・・これは、一体・・・
私が整備から戻ってきた事に、桜花提督がここまで感動を示した事は今までに無かったと思うのだが。
というか、なんだか妙に親しげ・・・というか・・・
随分私との接し方が変わったような気がする。
私は3ヶ月前からの記憶が無いので、もしかしたらその間に何かあったのかもしれない。
とにかくどのように接すれば良いか分からないので、特に気にせずいつもどおり対応していたのだが、すると彼女は「橘花さん、雰囲気変わりましたね」などと言う。
これは・・・やはり私はこの3ヶ月間の記憶が無くなってしまった事を彼女に話すべきかと思ったが、回りの人間にこの事を聞かれると士気に影響するので、とにかく、もう少し落ち着いてからにした方が良い。








皇紀2666年 8月11日


桜花

 本日、第1艦隊は全艦整備補給を終え呉を出港します。
でも任務は与えられず、瀬戸内海にて洋上待機です。
今日はすごく暑いです。
こういう暑い日に艦を停止させると、甲板にゆらゆらと蜃気楼ができたりします。
これはさすがに桜花も外に出ようとは思わないので、空調のきいた艦橋で外を見てたりします。
すると、びっくりです。
なんと橘花さんが、甲板をとことこ歩いてるじゃないですか。
あの暑いのが苦手な橘花さんが、こんな暑い日に甲板に出てるなんて。
最初は蜃気楼が作った幻かと思いました。
しかもその後、橘花さんは艦橋に上がってきて、平然と「今日はあついですね」なんて言うのです。
橘花さんにとって死活問題とも言える夏の暑さを、こうも簡単に乗り越えてきて、
ここまで平然としているとは。
これは橘花さん、暑さでどこかおかしくなってしまったのではないでしょうか。
桜花はとても心配になって橘花さんのおでこを触ってみたりしたのですが、べつに暑くなってはいません。
その後しゃがんで橘花さんのふとももにもさわってみます。
そしたら橘花さん、なんだか照れたような顔で「なにをするんですか」なんていうのです。
なにをするんですかって、なにを今さら。
橘花さんだって桜花の胸とかいろんな所をさわったくせに。
その時、下から橘花さんのパンツがちらっと見えたので、「あ、薄紫もかわいいですね」って桜花が言うと、橘花さんは突然まっかっかになって怒ったような顔になったかと思うと、急に泣きそうな顔になって、そのままだーっと走っていなくなってしまいました。
・・・橘花さん、一体どうしてしまったのでしょうか。
桜花は褒めたつもりだったんですけどね。
「かわいいですね」が駄目なんでしょうかね。
「ステキですね」にしとけばよかったでしょうかね。








 第1艦隊は呉を出港。瀬戸内海にて洋上待機。
今日はとにかく、私の3ヶ月間の記憶がなくなってしまったことを桜花提督に話そうと思うのだが、なかなか二人きりになれない。
甲板に出てると彼女も出てくるかと思ったのだが、今日はなぜか出てこない。
すると、第一艦橋の窓から桜花提督がいるのが見える。
あそこは司令中枢が内部に移ってからは、ほとんど人が出入りしないので、静かに話せるかもしれない。
それで私も第一艦橋に上がったのだが、すると桜花提督は突然、私の額やフトモモを触ってくる。
ちょっと、いきなり、そういうふうにされると、ちょっと、恥ずかしいのだが・・・
すると突然彼女は下からちらっと見て「薄紫もかわいいですね」って・・・
!!
もう私は恥ずかしくてなにがなんだかわかんなくなって、とにかく走って出てきてしまった。
・・・確かに、きょうは・・・薄紫だけど・・・
そうじゃなくて。
私は桜花提督と話をしようと思っただけなのに。
いきなり、スカートの中を覗くなんて、ひどい。
その後私は恥ずかしくって、ずっと部屋に閉じこもっている。
でも、しばらくしてから・・・薄紫もかわいいかな・・・なんて思ったりもする。








皇紀2666年 8月12日


桜花

 今日も朝からむしむしと暑いので、飛鳥庵に行って白玉かき氷を食べてます。
かき氷のしゃりしゃりと白玉のふんわりした食感が絶妙でおいしいです。
でもあんまり食べるとまたおなかをこわしてしまいますからね。
うめはなとふたつずつです。
しばらくすると橘花さんが、少し深刻な顔でやってきて「提督、お話があります」と言うのです。
これはもしかしたら、昨日橘花さんのパンツを見たことをまだ怒っているのでしょうか。
まさかそんな事で怒る橘花さんではないと思いますし、だいたいあれは見たのではなく見えちゃったわけで、桜花が悪いわけじゃないですよ。
でも橘花さんの表情が妙に深刻なので、ちょっと心配です。
それで橘花さんのお部屋に行って二人だけでお話します。
・・・ひょっとして橘花さん、昨日の仕返しに、また桜花を強引に押し倒して桜花の下着を見てやろうなんて考えてるんじゃないでしょうね。
駄目ですよそんなの。
・・・駄目ですよ絶対。
だから橘花さんが何かする前に、桜花は自分のスカートを押さえながら「今日の桜花はしろですよ」って言っておきました。
そしたら橘花さんは、一瞬「は?」って顔をしたんですが、その後まっかっかになって「・・・そういうお話ではありません」って言ったんです。
あ、そういうお話ではないんですか。
あ、それなら、ええ、良いのですが・・・
その後橘花さんは「こほん」とひとつせきをしてから「提督、今後の任務にもかかわるとても重要なお話があるので、よく聞いてください」と言いました。
これはなんだか・・・本当に深刻な話みたいです。
それで桜花は黙って真剣に橘花さんのお話を聞いていたのですが、そのお話の内容が驚愕なのです。
なんと橘花さんは、ここ3ヶ月の記憶が全く無くなってしまったのだそうです。
正確には、4月の25日から8月8日までの記憶です。
・・・それは、つまり、
橘花さんが桜花を押し倒したり、桜花が一晩中橘花さんをだっこしてあげたりした日の事も忘れてしまったのですか!
・・・そんなの、あんまりです。
忘れてしまうなんて。ひどいです。橘花さん。
整備から帰ってからの橘花さんの雰囲気がどうも余所余所しいと思ったら、そういう事だったのですか。
それで橘花さんは「ここ3ヶ月間の出来事を教えてください」なんて言ってますけど・・・そんなの、言葉で説明できるわけ無いじゃないですか!
なんだか桜花はとても悲しくなってきて、橘花さんのとなりでぼろぼろと泣いてしまいました。
橘花さんもすごく困ってる様でしたけど、記憶を無くしてしまったのは橘花さんのせいではないのかもしれませんけど、
・・・ひどいですよ橘花さん。
桜花はもう、なんだかそこにはいられなくなって、だーっと走って出てきてしまいました。
それで今日は一日中自分の部屋にこもっています。
これは・・・やっぱり橘花さんが悪いわけではないのですし、すごく困らせてしまったので、謝った方が良いのかもしれませんが、
なぜか、今日はもう橘花さんに会いたくないのです。








 昨日はいろいろあって結局言いそびれてしまったが、今日こそ桜花提督に自分の記憶が無いことを説明しなければならない。
それで、今日の桜花提督はなんだか暇そうなので、自室に呼んで話をする事にする。
私の部屋に来た提督は、なぜか少し緊張してるみたいだ。
なぜだろう。私が深刻な表情をしていたからだろうか。
それで私が話を始めようと思ったら、彼女はなんだか照れたような表情で「今日の桜花は白ですよ」と言う。
一体何を言ってるのかと思ったら・・・
・・・この人は・・・!
私がわざわざ桜花提督の下着の色を聞くために自室へ呼んだりするわけないではないか!
・・・ほんとに、
・・・まったく。
気を取り直して、とにかく本題へ入らなければ。
私が再び深刻な表情になると、彼女も真剣になったので話を始める。
それで、とにかく手短に、自分の記憶が3ヵ月間無くなってしまった事と、その間にどういうことがあったのか教えてほしいと言う事を彼女に言ったのだが・・・
彼女なら親切に対応してくれると思ったら、その後の桜花提督の行動は予想外である。
なんと突然、彼女はなぜか泣きでしたのである。
・・・これは一体・・・
私は彼女にどうしたのか聞こうと思ったのだが、彼女は私が何か言う前にそのまま走って部屋から出て行ってしまった。
一体・・・どういうことなのだろうか。
もしかして、私が記憶を無くしてしまった3ヶ月間に、彼女との間で何かとても重要なことが行われたのだろうか。
これは、その真相をどうしても彼女に確かめたいのだが、彼女はそのあと自室に篭ったまま、ずっと出てこなかった。
とても気になる。
3ヶ月の間に、彼女との間で何があったのか。
・・・とても、気になる。
どうしても聞きたい。
でも桜花提督のあの状況を見ると、なんだか聞き出してはいけない事のような気もする。
・・・一体・・・どうすれば良いだろう・・・








皇紀2666年 8月13日


桜花

 一晩よく考えてみたのですが、やっぱり昨日の桜花の態度はよくないですよね。
それに、記憶をなくしてしまって大変なのは橘花さんのほうなのに、昨日は何で桜花はあんなに腹を立てていたのか、今思うと不思議です。
それで今日はすぐに橘花さんに謝りに行ったのですが、橘花さんはあんまり気にしてないみたいなので良かったです。
なんだかちょっと拍子抜けですが、その後二人で飛鳥庵で紅茶などを飲んでいます。
それにしても、なんというか、二人でいるとなんとなく気まずいような変な感じです。
橘花さんとどんなふうに接したらよいのか考えてしまいます。
これはやっぱり・・・あの日の事を橘花さんに話すべきなんでしょうかね。
でも言葉で話すのもなんだか照れくさいし、まして実演するなんて事は到底できません。
それに、今の橘花さんにあの日の事を話したって、逆にもっと気まずくなるような気もしますし。
ひょっとしたら橘花さんもそのうち思い出すかもしれませんし。
やっぱり・・・しばらくこの件は伏せておきましょう。
ああ、でも、なんだか余所余所しい橘花さんを見ていると、妙に悲しくなるのです・・・







 今日は朝早くから桜花提督が私の部屋に来て、昨日の事を謝っていた。
べつに私は昨日の彼女の態度に腹を立てていたわけでもないので、謝られてもどうしようもないのだが。
むしろ、なんだかこっちが気を使ってしまう。
それよりも私は、記憶がなくなってしまった3ヶ月間に何があったのかが気になって仕方がないのだが、聞き出すのもなんだか良くないような気がする。
それで今日は一日中、なんだか気まずい感じである。
これはどうしたものか。








皇紀2666年 8月14日


桜花

 本日夜も明けないうちに、なにやら非常事態ということで桜花は司令中枢に入ります。
一体何事かと思ったら、帝国海軍所属の船が一隻、太平洋上で行方不明になってしまったのだそうです。
海上交通機能の発達した今の時代に海軍所属の船が行方不明になってしまうなんて、これは・・・非常事態です。
しかもその船というのが、以前桜花が軍令部所属の捕捉出来ない潜水艦隊(通称第0艦隊)をやっつけた後に、その海域の残骸回収を行っていた船なんだそうです。
これはもしかして、とてもまずいんじゃないですか。
ひょっとすると、第0艦隊に使用されている日本の高度技術を欲している米国軍が、その船を乗っ取ってしまったんじゃないですか?!
これは大変です。
これは即座に艦隊を出動させて、この海域の徹底捜索を行うべきじゃあないんですか。
しかしその後艦隊には出動命令は無く、
しばらくすると軍令部から、なんと呉港に戻るように指示されました。
これは一体どういうことなのでしょうか。
それで第1艦隊は呉港に戻ったのですが、その後もなんだか奇妙な事が続きます。
突然軍令部の人たちと港湾警備の人たちが飛鳥の艦内に入ってきて、「戦艦飛鳥、および第1艦隊は只今より軍令部の特別管理下に入ります」などというのです。
訳が分かりません。
特別管理下ってなんなんですか?
その後、桜花は言われるままに自室に戻ります。
部屋の前には武装した警備の人がいて「しばらく部屋から出ないで下さい」なんて言うのです。
これじゃあまるで、監禁じゃないですか。
いくら軍令部だからって、連合艦隊提督を説明も無しに部屋に閉じ込めるなんて、あんまりじゃないですか。
少しぐらい説明があっても良いと思います。
それでふと思いついたのですが、こういうときはシノさんに聞いてみると良いかもしれません。
それで、お茶を飲むふりをしてさりげなくシノさんに話しかけてみたのですが、やっぱりシノさんは全く動かないのです。
考えてみればシノさん、もう一ヶ月ぐらい動かないです。
もしかして死んでしまったのでしょうか。
電源はずっと入ってるんですけどね。
なんだか埒が明かないです。
桜花もだんだん腹が立ってきたので「ああ!おなかがすいて死にそうです!」って怒鳴ってやりました。
そしたらしばらくしたら、警備の人が寿司の出前をとってきてくれました。
しかも特上じゃないですか。
これはうれしいですね。
でも、特上寿司なんかにつられる桜花じゃないんですよ。
とにかくその後もずっと機嫌が悪いような顔をしています。
でもお寿司は全部たべちゃいました。
さすがに特上はおいしいですね。
しばらくすると、うめはなの事が心配になってきたので、また大声で「うめはなにあいたいです!」って怒鳴ってやりました。
こういう場合、ドラマとかだったらなかなか娘に会えなかったりするのですが、案外すぐにうめはなも桜花の部屋に連れて来てもらいました。
うめはなも心配して泣いてるかと思ったら、あめとかクッキーとかおいしい物をいっぱいもらって、なんだか上機嫌です。
ほんとにもう、我々は艦隊の指揮を剥奪された状態にあるというのにこのうめはなは・・・もっと海軍少将としてのプライドを持ってほしいです。
それなら今度は、「橘花さんにあいたいです!」って言ったら橘花さんも連れて来てもらえるかと思ったら、それは駄目みたいです。
なんでうめはなは良くて、橘花さんは駄目なんでしょうか。
だからその後もうめはなと一緒に「橘花さんにあいたい橘花さんにあいたい!」ってだだをこねたりしたんですが、そしたらなんとびっくりです。
警備の人が「たらばがに」をもって来てくれたんです。
たらばがにですよ!ゆでたらばがにですよ!
これは滅多に食べられる物ではありません。
もう、うめはなと一緒におおよろこびで食べちゃいます。
これはさすがに、身がぴっちり入っていておいしいですね!
いやあ、もう、たらふく食べてしまいました。
それですっかりおなかがいっぱいになってから、今度はどんなだだをこねてやろうかと考えていたんですが、そしたらなんだかだんだん眠くなってきま・・・し・・・・







 本日未明、非常事態が発生したらしく、私は司令中枢に入る。
何があったのか接続して調べてみると、どうも太平洋上で帝国海軍所属の船が一隻行方不明になってしまったのだそうである。
これは確かに非常事態であるが、なにもここまで騒ぐような事でもないと思うのだが。
しかしその後、桜花提督や参謀達の話を聞いていると、なにやらこの船の積荷というのが重要な物らしい。
一体、なんなのだろう。
記憶をなくしてしまっている私には、どうにも状況がつかめない。
そのうち軍令部より、呉へ帰港せよとの指示が入る。
よく分からないが、とにかく第1艦隊は指示通り呉に戻る。
するとその後、軍令部の人間と武装した警備員が艦内に入ってくる。
これはとても異様な状態である。
彼らはそのまま飛鳥の司令中枢まで入ってくると、「戦艦飛鳥、および第1艦隊は只今より軍令部の特別管理下に入ります」などと言って、桜花提督や参謀部の人間に対して司令中枢を離れ、自室で待機するように指示をする。
これは・・・いくら軍令部だからって、説明もなしに司令中枢の放棄を将官に指示するとは無礼極まりない。
これには野田少将などが猛抗議していたが、しばらくの後、結局軍令部の人間に言いくるめられる形で桜花提督や参謀達全員自室に戻る事となる。
当然私も自室に戻ることになる・・・と思ったのだが・・・
なぜか、参謀部全員が去った後に軍令部の人間が「橘花中将は残ってください」と言う。
・・・これは、一体・・・?
すると軍令部の一人が「中将、こちらを御覧下さい」などと言って、なにやら見慣れない懐中電灯のような機械を私に見せる。
その機械からは赤い光が出ていて、それは、細かく点滅を・・・始め・・・・
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皇紀2666年 8月15日










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皇紀2666年 8月16日


桜花

 ・・・・目が覚めると・・・・桜花は椅子に座っています。
一体ここはどこなのでしょうか。
見た感じ、洋風の雰囲気のとても広い部屋です。
天井もすごく高くて、上にはとても大きくて豪華なシャンデリアがついています。
周りの壁には真っ赤なカーテンがついていて・・・・
・・・ここは・・・!
そう、以前にも来た事があります!
確かあれは、年始あたりです。
あの時は見た事のない制服の白人の人たちと、軍令部の人たちがいて、そして、不気味なほどきれいでおびえた表情をした白人の少女・・・「アドルファ」さんとあったんです。
・・・私はなんで・・・またここにいるのでしょうか。
部屋はあの時と同じように薄暗くて、静かで・・・全体に不安感がわいているような、そんな感じです。
これは・・・きっと何か良くない事の兆候です。
あの時も、あの後からいろいろと良くない事が続いたんです。
・・・ああ、どうして私はまた・・・ここに・・・
とにかくあたりを見回してみます。
でも、誰もいないみたいです。
一体これは、どういうことなのでしょうか。
桜花はさっきまで飛鳥の自室でうめはなと一緒にたらばがにを食べていたのですが。
なぜかその後急に眠くなって・・・
・・・うめはなは?!・・・うめはなはどこにいるのでしょう!
その時突然、すぐ後ろで不気味な笑い声がするのです。
桜花はびっくりして振り返ると、そこに・・・あの少女がいるのです。
誰もいないかと思っていたのに、すぐ後ろに氷の彫刻のようなあの少女が・・・!

そしてその少女は、魔女みたいな恐ろしい笑顔をうかべて「お目覚め?」と言いました。
・・・この人は、アドルファさん・・・・ではなくて、きっと・・・
「・・・アドルフィーナさん?」
すると彼女は何も言わずに、彼女の血のように赤い唇だけがにぃっと笑うのです。
その表情があまりにも恐ろしく感じたので、桜花は思わず、その場から立ち退こうと思ったのですが、なぜか手足が堅い金属の輪で椅子に固定されていて動けないんです。
なんなんですかこれは!
桜花はとにかく焦ってじたばたするのですが、彼女はただ静かに笑みを浮かべながら
「ごめんなさいねえ。私も本当は穏やかにやるつもりだったんだけどね・・・あなたの回りの人たちは、どうも私の意志に従うつもりが無いみたいなのでね」
って、一体この人は何を言ってるのでしょうか。
とにかくこんな、人を椅子に縛り付けとくなんてひどいじゃないですか!
だから
「あなたは何を考えてるのですか!とにかくこの輪をはずしてください!」
って言ったんですが、彼女は全く無視して話し続けるんです。
「あの黒髪の方は、私と目をあわせるだけですっかり私の操り人形になってしまったのに・・・この娘は全く、しぶといわね・・・あなたも私の意識と混ざってしまえば気持ちいいのに・・・」
そう言って彼女は私の頬にそっと手をあてるのです。
その手はとても冷たくて・・・思わず鳥肌が立ってしまいます。
「でもそれも時間の問題。今あなたの防御プログラムを解析してるから・・・その後でじっくりと楽しませてもらうわ。あの黒髪の娘と一緒に・・・・ああ、あの娘はあなたが壊しちゃったんだっけ・・・」
何を言ってるのかさっぱり分かりません。
「でもあの娘の残骸を奪ったという事は・・・まだ治せば使えるとでも思ってるのかしらね。あなたの回りの人たちは。・・・・無駄なのに・・・」
本当にこの人は何を言いたいのかぜんぜん分からないので、桜花もなんだかだんだん腹が立ってきて、
「何を訳の分からない事を言っているのですか!先ずこの状況を分かるように説明してください!」
って怒鳴ってやりました。
そしたら彼女は一瞬たじろいだ様な表情になったのですが、またすぐに不敵な笑みを浮かべて、
「・・・ふふふ、恐いわね・・・この世界で唯一あなただけが、私に恐怖という喜びを与えてくれる・・・」
って言って笑うんです。
ちょっと、気持ち悪いですこの人!
その後彼女は少し真面目な表情になって、
「でも今のあなたにはもう、護ってくれる者はいない・・・どんなに抵抗しても、あなたは必ず私のものになる」
って言うんです。
するとその直後、両手につけられた金属の輪から電気が走ったような気がしたと思ったら、桜花はなんだかだんだん意識が遠くなっていくのです。
これは眠ってはいけないって・・・思うんです・・・けど・・・








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皇紀2666年 8月17日
















皇紀2666年 8月18日


桜花

 突然、「ドーン」という大きな音で、桜花は目を覚まします。
今のは一体なんなのでしょうか。
桜花は相変わらず天井の高い真っ赤なカーテンの部屋で座っています。
あたりを見渡してみても誰もいません。
でもまた真後ろにアドルフィーナさんがいるかもしれないので、何とか体を曲げて真後ろまで見てみたんですけど、やっぱり誰もいません。
するとまたしばらくしてから「ドカーン」と大きな音がして、床がぐらぐらと揺れます。
今度はさっきより近いみたいです。
その後「バンバン!」とか「ズダダダダ」とかいう音がします。
なんだか以前見たアメリカ映画の銀行強盗と警官隊の銃撃戦シーンみたいな音です。
・・・まさか・・・本当に銃撃戦をしてるんじゃないでしょうね・・・
だとすると大変です。
桜花はとにかく焦ってじたばたするのですが、やっぱり手足が堅い金属の輪で椅子に固定されていて動けないんです。
なんだかすごく恐いです。
部屋の外では一体何が起こっているのでしょうか。
その後しばらく静かになったのですが、少し経ってからカーテンの向こうから、なんだか「ごごごごご」という音がします。
そしたら赤いカーテンの一部がばさっと床に落ちたのですが、その向こう側を見てみると、なんだか格納庫みたいな感じです。
たぶんさっきの音は格納庫の扉が開く音です。
もしかするとこの部屋って、カーテンとかシャンデリアとかがついていたので、なんかダンスホールみたいな場所かと思っていたのですが、ひょっとすると格納庫の一部なのかもしれません。
するとカーテンの向こうから武装した黒い服の人たちがどやどやと入ってきます。
なんなんですかこの人たちは!
そして彼らは私を取り囲むとなにやら小型の電動のこぎりみたいな機械を取り出して、桜花を切ろうとするのです!!
桜花は本当に恐かったのでもう大声で
「わあああ!切らないで下さい切らないで下さい!!」
って叫んだら、その黒い服の人の中の一人が私の口を押さえて
「安心してください大将閣下。我々は帝国陸軍です」というのです。
安心しろといわれても、帝国陸軍だと安心していいものだかどうだか分かりませんが、彼らは桜花を切ろうとしたのではなく、桜花の手足についている金属の輪を切ろうとしてるみたいなのでちょっと安心しました。
それで、彼らが金属の輪を切っている間に、ちょっとだけ彼らを観察してみます。
彼らは帝国陸軍制式の機関短銃とか、ちょっと短めの自動小銃とかで武装しているので、やっぱり帝国陸軍の人たちなのかもしれませんが、暗視眼鏡みたいなのをつけているので顔は分かりません。
でも一人だけ、なんだか雰囲気が違う人がいます。
どうもこの人が隊長みたいなんですが、他の人と比べるとちょっと小柄で、でも装備だけはなんだかやたらでかくてすごく強力そうです。
それでその小柄な隊長みたいな人は、金属の輪が切られてる間、微動だにせずにじっとしていたのですが、しばらくすると急に顔の向きを変えて、姿勢を低くします。
それを見て他の隊員達もその隊長の見てる方向に視線を変えて姿勢を低くします。
一体どうしたのかと思って桜花も彼らが見ている方向を見たのですが、そしたらびっくりです。
アドルフィーナさんがいるじゃないですか。
ぜんぜん気配が無いので本当にびっくりしました。
そしたらアドルフィーナさんは不敵な笑みを浮かべながら、
「あらあら、まだ大局のつかめてない日本人が陸軍にもいたなんて驚きだわ。それにしても本当に日本人っていうのは諦めが悪くて・・・」
すると突然、彼女がしゃべってる最中に、

小柄の隊長みたいな人が持っているでかい銃を彼女に向けて撃ったんです!
そしたらアドルフィーナさんはドーンと後ろに吹っ飛んだんです。
それで・・・それでアドルフィーナさんの頭がぐしゃって!なったんです!
この人は!何て事をするんですか!
桜花はあまりの惨状にもう、叫びだしそうになったのですが、そしたらびっくりです。
頭が半分吹っ飛んでるのに、アドルフィーナさんは何てこと無いように起き上がったんです!
それで、またにぃっと笑って、
「・・・全く礼儀知らずねえ。体の右半分が動かなくなっちゃったわ。本当に東洋人っていうのは野蛮で・・・」
するとまた、小柄の隊長がでかい銃を撃ったんです!
そしたらまたアドルフィーナさんはドーンと後ろに吹っ飛んで、それで動かなくなりました。
桜花はもう何がなんだか分からなくなって、とにかくその小柄な隊長に、
「なんてことするんですか!!」
って怒鳴ったんですが、そしたらその隊長みたいな人は、
「あの程度であれが死ぬんなら苦労はしない」
っていうんです。
・・・よく聞くと、その声は女の人みたいです。
そうこうしてるうちに桜花の手足についていた金属の輪は全部切断されて、桜花は動けるようになりました。
でも、足ががくがく震えてうまく歩けないんです。
するとその隊長みたいな人は桜花に「走れるか?」と聞くんですが、これは「ちょっと無理です。」って言ったら、その人は、
「全く、これが我が帝國の最後の切り札とは・・・先が思いやられる」
と言うと、桜花を軽々と持ち上げて他の隊員達に「撤収!」と言って、ものすごい速さで走り出したんです。
これはすごい力です。人間業とは思えません。
それでそのまますごい速さでこの格納庫を出て、廊下みたいな所をこれまたすごい速さで走り抜けます。
どうもこの廊下とかの雰囲気は、なんだか船の中みたいです。
床が全く動かないので、地上の建物かと思っていたのですが・・・一体ここはどこなのでしょうか。
壁とかにたまに書いてある標識みたいな文字は日本語ではなく、どうもドイツ語みたいです。
とすると、これはドイツの船なんでしょうか。
などと考えてる暇も無いうちに、あっという間に外に出ます。
いや、外かと思ったら外ではありません。
ものすごい大きな建物の中です。
これは・・・どうも屋内のドックのようです。
という事は、今までいた場所はやはり船のようです。
しかも、結構大きな軍艦のようです。
でもその船の全容も分からないまま、あっという間にその屋内ドックみたいな場所を出ます。
外は・・・夜みたいです。
そしてすぐ近くに旋翼機が待機していて、桜花を担いだ隊長みたいな人と、隊員を乗せるとすぐに飛び立ちます。
もうほんとにあっという間の出来事で、何がなんだか分からないんですが、ちょっと落ち着いて、旋翼機の窓から下の風景を見てみます。
一体ここはどこなんでしょうか・・・
・・・と、思ったら・・・なんだかこの風景、見たことがあります。
ちょっと考えてから、すごくびっくりしました。
・・・ここは・・・呉港じゃないですか!!
そういえばあのドックの建物も、飛鳥で呉港に入る時に遠くから見た覚えがあります。
・・・つまり、桜花はずっと呉にいたのですか!
じゃあきっと、戦艦飛鳥もここにいるはずだと思ったのですが、港には第1艦隊の姿は見えません。
出港したのでしょうか・・・
それにしてもおかしいです。
さっきの大きな軍艦みたいなのは、確かにドイツの船のように思えたのですが・・・
・・・まさかドイツの軍艦を呉で建造してるなんて事が、ありえるのでしょうか。
ていうか、ひょっとして、桜花が呉港ではあんまり外に出歩いたり出来なかったのは、もしかしてこのドックを桜花に見せない為だったのでしょうか。
・・・もう、訳が分かりません。
とにかく、この隊長みたいな人に話を聞いてみようと思います。
それで「どういうことなのか説明してください」って言ったんですが、その隊長みたいな人は「後で海軍の連中に聞け。私にはそれを説明する権利は無い」って言うんです。
・・・やっぱり、こういう感じの人には聞いても教えてくれないとは思ったのですが。
でも一応、この人の名前だけでも聞いてみます。
すると「人に名を問う時は、先ず自分から名乗るのが礼儀であろう!」って怒るんです。
だから「・・・桜花です」って言ったんですが、そしたらその人は「知っている」って言うんです。
もう!知ってるんなら聞かなくてもいいじゃないですか!
なんなんですかこの人は!
するとその人は静かに顔を覆っていたヘルメットを外します。
・・・やっぱり、女性です。
でもしゃべり方の感じから、もっと恐い感じの人かと思ったら、案外かわいい顔した少女です。
そして
「自分の名はシホ。これはすめら」
といいました。
・・・ん?ちょっとへんですよ。
「自分の名はシホ」と名乗っておきながら、自分を指差して「これはすめら」と言うのは?
「シホ」が苗字で名前が「すめら」なのでしょうか。
桜花はなんだか訳が分からなくて、「は?」って言うと、彼女は怒ったような顔で、
「現在この体を制御してるのが私、シホで、制御されてるこの体がすめらだ!・・・全く、海軍機は遠隔司令も知らんのか」
・・・え、じゃあこの人は、
「人型電算機なんですか?!」
「当たり前だ!人型電算機は海軍固有の装備だとでも思っていたのか!」
・・・そういえば・・・確か以前シノさんが、陸軍の人型電算機は他にもいるみたいな事を言っていたような気もします。
あ、シホさんっていうのはこの人の事だったのですか。
すると彼女は、
「コイツと話していると非常に疲れる。私はもう帰る!」
といって目をつぶると、突然がくんと顔を下げます。
そしてしばらくするとまた顔を上げて目を開けます。
すると彼女は急にあどけない表情になります。
そして私を見ると、なんだかうれしそうに指差して、
「ああ!きさ・わ、おうか・だな!おうかおうか!」
と、なんだかよく分からない片言日本語で大喜びです。
そして自分のヘルメットを私の方に差し出して、
「おう・か!ここに・さい・ん、ヨロ・シ。よろし!」
・・・て、言うんです。
これはほんとに訳が分からないので「は?」と言おうと思ったら突然彼女はまた恐い顔になって「馬鹿者!海軍に謙るな!」と怒鳴ったのでびっくりしました。
すると彼女はまたあどけない顔に戻って泣きそうな声で
「・・・ねいさま、ヨロシ。われ・かしつ・アリ・よろし」
と言って、しばらく静かにしています。
・・・この人は・・・なんだか多重人格みたいです。
それで桜花は
「・・・今のあなたが・・・すめらさん?」
って聞いてみると、彼女はにっこり笑います。
なんだかすごくかわいいです。
隣りにおいてあるごつい銃とは大変不釣合いです。
しばらくすると彼女は、自分の装備についているポケットの中をがさごそと探し始めます。
そしてチョコレートを出して、ぽりぽりと食べ始めます。
それを桜花がみてると、彼女はチョコレートを半分に割って桜花に分けてくれました。
桜花が「あ、どうも」と言って受け取ると、彼女はまた、にっこり笑います。
その後彼女は、はっと何かを思い出したように、また再び自分の装備の中をがさごそ探し始めます。
そして今度はなんだかよく分からない接続装置みたいな機械を取り出します。
(もしかしてこの子は本当は最初からこの機械を探していたのではないでしょうか)
そしてそれを桜花の手に当てます。
桜花が「なんですかこれは?」と聞くと彼女は「だいじょぶ・だいじょうぶ」と言います。
何をするのかと思って見ていると突然その機械から、ピリッと電気が走ります。
今のは一体なんなのでしょう。
と、思ったら、桜花はなんだかだんだん・・・眠く・・・なって・・・・














皇紀2666年 8月19日
















皇紀2666年 8月20日


桜花

 ・・・ここ数日・・・強制的に眠らされて、目が覚めるとぜんぜん違う場所にいるという事が続いたので、今もまた自分がどこにいるのか、ちょっと不安になりますが・・・
あ、でも、ここは・・・
桜花の部屋です。
戦艦飛鳥の桜花の部屋のベッドの上です。
ああ、よかった。桜花はまたここに戻ってこられたのですね。
なんだか、とても長い悪夢から覚めたような気分です。
それにしてもここ数日の出来事は・・・一体なんだったのでしょうか。
本当におかしなことがいろいろあったので、今どういう状況なのか心配です。
それでとりあえず部屋から出てみます。
でもドアの向こうには軍令部の武装した警備の人がいるはず・・・かと思ったら、なんとびっくりです。
桜花の部屋の前の廊下には、木島さんや野田さんや艦長さんや、その他参謀部の人とか兵員の人までいっぱいで、なんだか桜花が起きてくるのを待ってたみたいなんです。
それで、桜花が部屋から出てくると、なぜか皆さん大喜びで、もう木島さんなんて「ああ、よかったよかった」って言って、なんだかちょっと目がうるうるです。
びっくりです。
これは一体どういうことなのか聞いてみると、野田さんが「なかなか起きてこないから心配だった」んだそうです。
それはそれは、どうもご心配お掛けして・・・
そういえば・・・桜花はなんで自分の部屋で寝ているのでしょう。
確か、私は・・・あの天井の高い赤いカーテンの部屋・・・みたいなんだけど本当はよくわからない軍艦の格納庫みたいな場所から、突然現れた武装した黒い服の人たちと、あとシホさんだかすめらさんだかいう人とかに連れ出されて、・・・その時すめらさんにピリッとやられて、眠ってしまって・・・
なんだかもう、本当にいろいろあって頭が混乱しそうです。
ああ、それに、あの・・・頭がふっとんでも起き上がってきたアドルフィーナさん・・・
・・・思い出すだけでぞっとします。
とにかく!今までの状況と、なんで桜花があんな目にあったのか軍令部にきちんと聞いてみなければ!
もう、今度という今度は、どんなにはぐらかされてもきちんと納得する説明をしてもらいますからね!
いくら桜花が間抜けだからって、ここまでなめられたら桜花だって、ほんと、怒ってやるんですからね!
それで、桜花が「軍令部に問い合わせて、きちんと状況の説明をしてもらいます!」って言ったら、なぜか木島さんが「その必要は無い」って言うんです。
なんでですか!木島さんまで桜花をはぐらかすつもりなんですか!
そしたら木島さんが
「・・・もう我々は軍令部の隷下ではないのだ」
って、言ったんです。
・・・え?
・・・もう、この状況で・・・たちの悪い冗談はやめてもらいたいです。
でも、なんだか皆さんの表情を見てると・・・どうも冗談ではないみたいなんです・・・。
軍令部の隷下ではないっていうのは・・・どういうことなんですか?!
すると野田さんが、
「我々第1艦隊、及び第4機動艦隊は、軍令部の隷下を離れ、独断で行動している。現在他の艦隊にも賛同を呼びかけている」
って・・・何を言ってるのか・・・桜花はなんだかさっぱり訳が分からないのですが・・・
その後木島さんが「会わせたい人がいるので司令中枢に来てほしい」と言うので、桜花はなんだか訳が分からないまま司令中枢に行く事にします。
それで司令中枢に着いたんですが、べつにいつもと変わらない人たち・・・かと思ったら、知らない人が一人います。
その人は、木島さんとだいたい同じ歳ぐらいの初老の男性で、海軍第二種軍装を着ています。
という事は海軍関係者だと思うのですが階級章は・・・ついてないです。
この人は一体・・・
・・・と思ったら、なんだかこの人、見覚えがあります。
・・・誰でしたっけ・・・
その人は、私を見るとにっこり笑って
「おお、ずいぶん雰囲気が変わったなあ。前会った時は・・・まだあどけない少女だったのになあ。いろいろ苦労したのだなあ」
って言うんです。
・・・そう言われても・・・桜花はこの人が誰だったのかまだ思い出せないんです。
するとその人は、桜花の帽子を見て、
「おお、この帽子もまだ使っているのかあ」
って・・・あ!この人、思い出しました!
桜花が始めて戦艦飛鳥に来た時に、一緒に装備引渡しをやった、前任の司令長官ではないですか!
あの時の桜花はまだ脳の機能があんまり良くなくって、記憶が曖昧で帽子をもらった事すら忘れてしまっているのですが、確かにあの人です。
桜花はあわてて敬礼をします。
そしてその人も敬礼するのですが、その後「前司令長官の山本だ。覚えていてくれたのだな」って言って、ちょっとうれしそうに笑います。
これはびっくりです。
それにしても・・・なんで前司令長官がここにいるのでしょうか。
するとその山本前長官は桜花が少し不思議顔をしてるのに気付いたらしく、
「私がなぜここにいるのか不思議に思っているだろう」
って言ってまた笑います。
でもその後少し真剣な顔になって、
「今君はいろんなことがあって混乱しているだろうが、これから話す事を聞いたらもっと混乱するかもしれない。落ち着いて聞いてくれるね?」
と言って、現在の状況を説明してくれたのですが・・・これが驚きの事実ばかりで、本当に混乱してしまいそうなんです。
8月14日の夕方、つまり桜花がたらばがにを食べて眠っちゃった後、そのまま桜花とうめはなと橘花さんは、戦艦飛鳥から軍令部の人に連れ出されてしまったのだそうです。
(たぶんその後桜花はあの赤いカーテンの部屋に連れて行かれたのでしょう)
その後軍令部から総員下艦命令が出たのだそうですが、なんと第1艦隊はこれに従わず、中にいた警備の人たちを外に出して、勝手に呉を出港したのだそうです。
その後、陸軍の特殊部隊を使ってあの赤いカーテンの部屋から桜花を救出して、その後桜花は移動仮死状態にされて極秘裏にこの第1艦隊まで運ばれたんだそうです。・・・って、なんで海軍の前司令長官が陸軍の特殊部隊を使う事が出来るんですか。
ていうか、軍令部の指示に従わずに出港って、これは反乱行為じゃないですか!
すごくびっくりですが、落ち着いて聞くように言われたので、とりあえず落ち着いて聞きます。
なんと驚きなのですが、この反乱行為は桜花が連合艦隊提督になる以前から、この山本前司令長官を中心に計画されていた事なのだそうです。
という事はつまり、桜花の知らない所でずっとその計画は進行していたと言う事なんですか?!
すると木島さんが本当に申し訳なさそうに「ごめんな、本っ当にごめん!」って桜花に謝るんですけど、そんな、謝られたって・・・ずっと木島さんは何か隠してるような気がしていたんですが・・・なんだか、もう・・・今は頭が混乱してよくわかんないです!
それでこの反乱計画というのは、海軍第1艦隊のみでなく、その他の艦隊司令部や、陸軍に至るまでの幅広い範囲で協力組織がいて、かなり大規模な計画なのだそうです。
しかしなんでそんな大それた事を・・・
そりゃあ桜花も軍令部のやってる事には、たまに・・・はらを立てたりしましたが、御国を護る皇軍を動かして反乱を起こすなんて・・・滅茶苦茶じゃないですか。
すると山本前長官は
「彼らは、自分らの行為がこの帝国を滅ぼす方向に向かうという事を分かっていないのだ。いや、分かったとしても、彼らはもう引き返せない所まで来ている。」
って言うのです。
帝国を滅ぼすって・・・一体どういうことなんでしょうか。
話はずいぶんさかのぼるのですが、もともとこの計画の始まりは、艦隊司令電算機の開発が発端なのだそうです。
そもそも、艦隊司令電算機の根幹となる構造の研究は、第二次大戦中のドイツで始まったのだそうです。
そんな昔からあったなんて驚きですが、それよりも艦隊司令電算機の起源がドイツだったなんて・・・・びっくりです。
ドイツは大戦当時から、誘導で敵に命中する「ミサイル」や「誘導爆弾」の開発を行っていたのだそうですが、これの全自動化を行う為の装置の開発として、人間の生体頭脳の研究が行われていたそうなんです。
(ふと思ったのですが、それって・・・人体実験をしていたってことなんでしょうか)
ただ、当時の技術では当然それの実用化はぜんぜん無理だったのですが、その際に培われた膨大な量の生体頭脳情報は、かなり価値の高い物だったらしく、その後も、連合国に察知される事無く極秘裏にその研究は続けられたそうなんです。
しかし敗戦国であるドイツで極秘裏にそれを続けるのは大変で、それなりの支援が必要だった訳なんですね。
そこで、その後どういう経緯でそうなったのかは知りませんが、なんとその研究の支援を、かつての同盟国である日本帝国海軍が、密かに行う事になったのだそうです。
帝国海軍とドイツの裏のつながりって、こんな昔からあったんですね。
それでその研究の支援を行う見返りとして帝国海軍はその技術提供を受けて、現在の艦隊司令電算機の開発が行われ、その後は知っての通り、この電算機が類稀な高性能を示し、五九式艦隊司令電算機としてあっと言う間に全艦隊に配備されたわけです。
しかし、その後しばらくすると、この司令電算機に一部問題があることが発覚します。
で、これが五九式司令電算機共通の欠点として知られている「作戦行動が周期的になってしまう」というやつで。
それで、これを改善する為に我々人型電算機が作られたわけなんですが。
ええ。これは桜花も知ってます。
この辺までの話だと、特に問題も無いような気がしますが・・・
しかし、この五九式司令電算機の欠点になにやら疑問を持った研究者がいたそうです。
なんとこの研究者というのが、あの、うめはなの主任整備士をやっていたおばさん、つまり梅花の事を最初に「うめはな」って呼んでいた人なんだそうなんですが、実はこの人、桜花が海軍に引き渡される前に桜花の主任整備士もやっていたんだそうです。
桜花は引渡し前の記憶が無いので、この人の事は全く知らないのですが・・・そうそう、この人、桜花のことは「さくらちゃん」って呼んでいたんだそうです。
でも確か・・・この人って、病気で亡くなられたって聞いたんですが・・・
もともと子供がいなかったこのおばさんは、桜花やうめはなの事を本当にかわいがって下さったそうで・・・そういう事を聞くと、なんだか切なくなってしまいます。
・・・ちょっと話がそれてしまいましたが・・・
それで、このおばさんの抱いた疑問というのが、なんと、このドイツから提供された司令電算機技術の欠点は、「意図的にプログラムされた物なのではないか」という事なのです。
・・・これは、ちょっとびっくり発言です。
つまり五九式司令電算機の作戦行動が周期的になるという欠点は「意図的に制限された物」だというのでしょうか。
それでそのおばさんは、海軍の方に「この電算機の配備は少し待った方が良い」と進言したそうなんですが、当時の帝国海軍は米国軍に実質戦力で劣っているという焦りもあって(あと、電算機の生産を担当する重工側から軍令部役員に資金提供があったとかいう噂もあって)、このおばさんの話は全く聞き入れられなかったそうです。
その後、その五九式司令電算機の欠点を補う為に、人型電算機の開発が始まったそうなんですが、これもまた、ドイツの技術提供の基で行われたそうです。
しかしこの段階で、このおばさんから「電算機技術には意図的な制限があるかもしれない」という話を聞いていた山本前長官は、なんと、海軍軍令部には極秘で「別組織」を作って、そこでそのおばさんに独自で司令電算機の生体頭脳の研究をさせたのだそうです。
なんだかだんだん話が複雑になってきたのですが、この「別組織」というのは今でも活動していて、現在では陸軍開発部とも裏で繋がっている結構大きな組織なのだそうです。
そうそう実は、以前シノさんから渡された、上層部に気付かれずに陸軍電算機と接続して会話したり出来る「例の部品」も実はこの組織が作ったものなんだそうです。
それで、この「別組織」内で密かに生体頭脳の研究を始めたこのおばさんなんですが、なんと、その3年後には、当時海軍がドイツと協力して開発していた試作人型電算機(後の六四式電算機、つまり私達の事なんですけど)に搭載する予定の生体頭脳とほぼ同等の性能を持つ生体頭脳を、完全に日本独自の技術のみで1個作ってしまったのだそうです。
・・・ひょっとしてこのおばさん、天才なんじゃないですか。
その後、海軍の人型電算機は完成して、それが皇紀2663年の橘の季節だったので「六三式司令電算機‐橘花」として制式化されたんだそうです。
・・・って、あれ?
人型電算機の制式化は皇紀2664年の桜の季節で、桜花じゃないんですか?
っていうか、それはつまり、桜花より橘花さんの方が先に制式化されていたという事なんですか?
それで、その制式化された橘花さんなんですが、その後間も無く、深刻な機能障害が発生し、それが原因で死者がでるほどの事故を起こしてしまったそうです。
それで結局、六三式人型電算機の制式化は取り消しとなって、その事故の事も極秘扱いになったそうなんですが、その際、橘花さんと、もう1機製作中だった人型電算機(たぶんこれが桜花の事なんでしょうか)を再度綿密に点検を行う為、一度、搭載している生体頭脳を取り外したのだそうです。
それでここからがまた驚きなんですが、その時のドサクサにまぎれて、その人型電算機の1機に搭載している生体頭脳を、なんと、そのおばさんが「別組織」で1個だけ作った日本独自技術の生体頭脳と取り替えてしまったのだそうです。
・・・ていうか、それってまさか、桜花の事なんですか?!
これはとても驚くべき事実なのですが、その時はもうほんとに他にもいろいろと驚くべき事実がいっぱいだったので、意外と驚かなかったんです。
すると山本前長官が
「もっと驚くかと思っていたが、桜花大将は冷静だな。感心だ」
って、言って褒めてくれたんですが、実際は、もう桜花は混乱状態で驚く事も出来なかったんですね。
でもこれって・・・大変な事ですよね!
だって、桜花の頭の中に入ってる物なんですよ!
あ、でも、日本独自技術の生体頭脳っていうのは、ちょっとうれしい様な気もしますが。
そういえば・・・橘花さんと桜花って、同型機であるはずなのに、ぜんぜん雰囲気が違いますよね。
それはつまり、そもそも搭載している生体頭脳が違うからだったのでしょうか。
・・・それって・・・大丈夫なんでしょうか・・・
だんだん心配になってきました。
・・・でもまたなんでそんな事を・・・
・・・それで、また話を戻しますが・・・
その後、六四式人型司令電算機として桜花が艦隊に配備される事になります。
本来ならば山本長官が艦隊の指揮を執り、そのサポートを桜花がするという形が好ましい筈だったのですが、なぜか軍令部の意向で山本長官は解任となり、桜花が艦隊の指揮を執ることになります。
これは、その時すでに、軍令部に対して反抗的だった連合艦隊参謀部を制御しやすくする為だったらしいのですが、実は、山本前長官にとっては艦隊任務を解かれた方が「別組織」の仕事に専念できるから好都合だったそうです。
それで、「別組織」による司令電算機の研究は続けられたそうなんですが、その後の研究で、ドイツの技術提供により作られた司令電算機には、なんと、意思共有化というものが成されているという事が分かったそうです。
で、これはどういうものかというと、司令電算機の生体頭脳内の意志伝達神経が、ある特殊な信号を受けると、自分以外のある特定の司令電算機の意識を優先して頭脳内に伝達して行動してしまうという物で、つまり、現在艦隊に配備されている司令電算機は、ある信号を受信すると、外部からの司令は全く受け付けなくなり、ある「特定の司令電算機」からの司令に従ってしまうのだそうです。
で、その「特定の司令電算機」というのが、どうやらドイツの司令電算機らしいとうことで・・・
・・・・え!!
ということはつまり、日本の司令電算機は、ドイツの思い通りに動かせてしまうって事なんじゃないですか?!
すると山本前長官は
「断言は出来ないが、今までの状況から判断すると、ほぼ確実にそういうことになる」
ということだそうです。
・・・これは・・・大変な事じゃないですか!
これは早いところ艦隊の司令電算機から、その「意思共有化」機能を取り外さないといけないんじゃないですか?!
しかしこれがそう簡単に行くものではなくて、司令電算機にはその根幹部分に生体頭脳が使われていて、これを電子頭脳と融合させる事により完成するのですが、電子頭脳の方はいくらでも入力変更が出来るのですが、その生体頭脳の方は一度完成してしまうと、もう入力変更は出来なくて、で、その「意思共有化」機能というのはこの生体頭脳の方にあるのだそうです。
つまり、この「意思共有化」機能を無くすためには、司令電算機そのものを取り外さなければならないのだそうです。
しかしこの司令電算機全面配備にはもう多額の予算が掛かっているし、また、現在の連合艦隊は、この司令電算機を中核としておよそ全てのシステムが成り立っているので、これを取り外すという事は、連合艦隊全ての指揮通信装置を作り直さなければならず、もちろんそれにはまた多額の予算が掛かるのですが、何よりもそんな事をすると、艦隊の戦闘能力はおよそ20年分も後退してしまうのだそうです。
現状でも米軍と対等に渡り合うのはかなり厳しい状態だというのに、そんなことしたら、日本はまた、第二次大戦直後の劣等国家になってしまうじゃないですか。
・・・これは・・・大変です。
つまり我々は、司令電算機を装備したままドイツの隷下になるか、司令電算機を取り外して米国の支配下になるかの選択しかないということなんですか?!
すると山本前長官は、ちょっと冗談ぽく
「ドイツとアメリカ、どっちがいい?」
って桜花に聞くんですけど、そんな、何を言うんですかいきなり。
「そんなのどっちもいやに決まってるじゃないですか!」
って桜花がいうと、山本前長官は
「君がそう言ってくれて安心したよ。なにせ君が我々の最後の希望なのだからな」
・・・え、桜花が最後の希望なのですか?
・・・それはまた・・・どうして・・・
あ!
桜花の生体頭脳は、「別組織」が日本独自技術で作った生体頭脳と取り替えてあるんでしたっけ。
じゃあ、つまり桜花だけはその、「意思共有化」機能が付いていないんですね。
・・・なるほど。ちょっと安心しました。
いや、ちょっと待ってくださいよ。
その「意思共有化」機能が付いてない桜花を、わざわざ陸軍特殊部隊を使って極秘裏にこの反乱行動中の第1艦隊に連れ戻したということは・・・
それはまさか・・・ドイツの思い通りにならない桜花が、この反乱行動に参加して、艦隊の司令を行えっていう事じゃないでしょうね?!
すると山本前長官は、
「強要する気は無い。しかし君の協力が無ければ、我々の敗北は明らかだな・・・」
って、言うんです。
・・・そんな、いきなり・・・訳がわかんないですよ!
だいたい人の脳みそを勝手に取り替えといて、それでいきなり反乱行動の指揮を執れなんて!
勝手すぎるじゃないですか!
そもそも桜花は御国を護る為に作られたんですよ。
それが反乱軍の指揮を執るなんて、とても有り得ない事です。
すると野田さんが
「ではこのまま我々は、ドイツの隷下になれと言うのか!」
っていうんです。
それは・・・確かに・・・桜花も嫌ですけど・・・
でも、わざわざ艦隊を使って反乱を起こさなくても、他に方法があるんじゃないですか?
ほら、桜花はその「意思共有化」機能が付いてないんですから、その事を軍令部に話して協力してドイツの電算機を追っ払っちゃえば良いんじゃないんですか。
すると山本前長官は
「そんな事をしたら、間違いなく君は消されるだろう。今まで君が処分されずにいられたのは、君の生体頭脳が換装されている事を彼らの目からうまく偽装してきたからだ・・・それに、軍令部も、さらにそれより大きな組織に操られてるに過ぎない。彼らにとって、意思共有化されない君は・・・取引の邪魔でしかない」
って言うんです。
なんだか、また訳が分からなくなってきましたが・・・
その後の山本前長官の話がまた、驚愕なんです。
「われわれ帝国海軍は、政府間の取引材料に使われたのだ」
・・・取引材料って・・・
それは・・・一体どういうことなのでしょうか。
「つまりだな・・・日本政府は、ドイツという欧米連合国家を大東亜連合に引き入れ、その上、司令電算機の技術を提供させるその見返りに、連合艦隊を一部彼らと共有させるという裏取引をしたのだ」
・・・まさかそんな!ありえないです!
「だってドイツは、ほら、過去の歴史とかでいろいろあって欧米連合には反感を持っていて、それで右翼系政権ができて、それで日本と同盟を結びたいって言ってきたんじゃないんですか?!」
って桜花が言うと、横から木島さんが、
「歴史問題なんていうのは国民感情を高める為の宣伝物みたいなもんだからねえ。そういうのも含めて取引だから・・・」
なんだか訳が分からないです。
御国を護るための連合艦隊を、ドイツと同盟を結ぶ為の取引材料にするなんて、
どう考えても滅茶苦茶じゃないですか!
だいたいドイツとの同盟って、連合艦隊を共有させてまで国家に必要な事なんですか!
すると山本前長官は
「司令電算機を中核とした艦隊システムの構築には、多額の金が動いている。ドイツと同盟を結べば、大東亜連合がそれを独占する事が出来る。・・・そもそも、日米冷戦状態も多額の金を軍需産業に流す為の営業活動でしかない。・・・この世界は、巨大な軍需産業によって支配されている。ドイツがこちら側につけば、日米間の緊張は高まり、再び多くの金が軍需産業に流れるようになる。もう既に、軍隊は国家を守る為にあるのではない・・・そして、この国の政府は・・・軍需産業の利益の為に、それを他国に売り渡そうとしている。・・・その国の深意すら知らずに・・・いや、分かっていたとしても、もう後戻りは出来ないほどに司令電算機は強力になってしまった」
・・・この人は・・・いったい何を・・・
・・・あ、でも・・・
そう言われてみれば・・・今までの作戦でも、米国と戦争になりそうになった事は度々ありましたが、その度にまるで予定行事のように撤収命令が出て・・・・
・・・つまりこれって・・・全て軍需産業を儲けさせるための営業活動だったのですか?!
・・・それじゃあ・・・私たちって、いったい・・・
「そんなの許されるわけありません!」
って、桜花が言うと、山本前長官は、
「・・・我々の反乱行動の意義が・・・なんとなく分かってくれたかな?」
って、言うんですけど・・・
それは・・・なんとなく分かりましたが・・・
でもその・・・反乱軍の指揮を桜花が執るなんて・・・
・・・とても・・・
どうしたら良いのでしょう・・・
こんな重要な事、桜花一人では決められません。
でもこの状況で木島さんに相談しても意味ないし・・・
こんな時こそ橘花さんに・・・・あ!
橘花さんはどこにいるのでしょうか。
それと、うめはなも、ここにはいないみたいなんですが。
橘花さんとうめはなはどこにいるんですか?!
すると木島さんが暗い表情で、とても言い辛そうに、
「・・・橘花は・・・一応、我々の方にいる・・・でも、うめはなは・・・軍令部に連れてかれたままだ」
・・・って、・・・そんな・・・
うめはなが軍令部につれてかれたままだなんて・・・
なんでですか?!
どうしてうめはなは助け出してくれなかったんですか?!
すると山本前長官が、
「危険を冒して連れ出すより、軍令部に預けておいた方が安全だと判断したのだ。それに・・・彼女にも、意思共有化機能が付いている可能性が高い」
・・・そんなのって!あんまりです。
「つまりこの反乱軍には、うめはなは必要無かったという事ですか!」
って桜花が言うと、木島さんがとても申し訳なさそうな顔で、
「いや、本当に・・・桜花を連れ出すのだって、かなり危なかったんだぞ。もし失敗したら、うめはなは殺されちゃうかも知れないんだぞ。俺たちだってうめはなの事は心配なんだよ。でも今は軍令部にいたほうが安全なんだよ」
・・・確かに・・・桜花が陸軍の人たちに連れ出された時も、かなり危ない感じでしたが・・・
でも、それじゃあ・・・
「軍令部がうめはなを反乱鎮圧軍の司令機にしたら・・・桜花はうめはなと戦う事になるんですか?」
って桜花が言うと、回りが一瞬静かになります。
しばらくの沈黙の後、山本前長官が、
「軍令部も、司令電算機を搭載した艦隊同士が戦闘を行うとどのようになるかは分かっているはずだ。我々も、日本の艦隊と戦うような事はしたくない。お互いが戦闘をすることに何の利益も無いのだから、戦闘にはならないだろう」
・・・戦闘にはならないだろうって・・・
そういうふうに言ってて、結局お互い引っ込みが付かなくて大戦闘になってしまった例が今までの歴史にも結構あったんじゃないですか。
すると山本前長官は、
「我々の目的は、あくまで有利な条件で彼らと話し合う事なんだ。」
・・・って、言ってますけど・・・そんなのわかんないですよ。
とにかく、橘花さんがここにいるのなら、会って話がしたいです。
今後どうするかは橘花さんと相談して決めます。
それで桜花は、
「橘花さんと会わせてください」
って言ったんですけども・・・なんだか、また回りが静かになります。
・・・なんですか、またなにか桜花に隠してるんですか。
すると木島さんが、
「・・・今は・・・まだ彼女には会わない方がいい」
って言うんです。
またそんな事を・・・もう桜花もちょっとはらが立ってきて
「会わない方が良いかどうかは桜花が決める事です!今すぐ会わせてください!」
って怒鳴ってやりました。
すると皆さん一瞬びくっとした感じになったのですが、その後木島さんが、
「・・・わかったよ、今橘花がいるところに案内するから、怒らないでくれ」
って、ちょっと泣きそうな感じで桜花を案内します。
なんだか大声出して悪かったような気もしますが・・・
それで木島さんや参謀部の方々と一緒にぞろぞろと歩いて行くのですが、そのうちなぜか外に出ます。
外はどんより曇っていて、小雨が降っていて・・・
なんだか今の不安な気持ちをそのまま風景にしたみたいです。
それにしても・・・橘花さんは一体どこにいるのでしょう。
すると木島さんは、飛鳥の後部飛行甲板まで来て、艦隊の後ろの方にいる船を指差します。
どうやらあの船に橘花さんがいるそうですが・・・あ、
あの船は・・・試験開発艦ではないですか。
あの船も反乱軍に参加しているのですか。
それで桜花たちは旋翼機に乗って試験開発艦に移るのですが、近付いていくと、なんだか試験開発艦の艦首あたりに何やらぽつぽつと穴が開いてます。
なんだか機銃弾で撃たれた跡みたいですが・・・
そして旋翼機は試験開発艦の飛行甲板に降着し、桜花たちは艦の中に入って行きます。
なんだかこの船に、木島さんや参謀部の方々がいると、ちょっと不自然な感じもしますが・・・
船の中は妙に静かで、人もあんまりいません。
その静かな船内の廊下を、桜花たちが歩く靴の音だけがこつこつと響きます。
そしてしばらく行くと、頑丈そうな鋼鉄の扉の前に着きます。
この船にこんな場所があるなんて知りませんでしたが、どうやら橘花さんはこの中にいるみたいです。
その時木島さんは、その扉を開ける前に一言桜花に
「・・・彼女を見ても、あんまり驚かないでやってくれ・・・」
って言うんです。
何を言ってるんですか。
橘花さんを見て驚くわけないじゃないですか。
「もったいぶらないで、早く橘花さんに会わせてください」
って桜花が言うと、木島さんは少し、つらいような悲しいような表情をして、その扉を開きます。
その扉は「ごおん」という低い音を出してゆっくり開きます。
そして桜花はその部屋の中に入ったんですが・・・中は暗くて、なんだか空気がひんやりと冷たいです。
ちょっと奥に入っていくと、近くの壁に橘花さんの黒い第一種軍装が掛かってます。
それと、桜花があげた薄紫色のリボンも一緒に掛かってます。
でもどっちもぼろぼろです。
これは・・・一体どうしたことでしょう。
なんだかその服を見ると、急に桜花は不安になってきて、「橘花さん」って呼んでみたんですが、返事はありません。
しばらくすると、だんだん闇に目が慣れてきて、部屋の中が見えるようになります。
部屋の奥には、青い水が入った大きな水槽があります。
水槽というより、ガラスの壁で仕切られたもうひとつの部屋みたいな感じです。
その青い水の中には、数えきれないほどたくさんの細いコードが毛細血管のようになっていて、それがあるひとつの物に向かって収束しているのですが・・・
・・・これは・・・一体なんなのでしょう・・・
なんだか、手足の無い生き物のようにも見えるのですが、包帯みたいなものでぐるぐる巻きになっていてよく分かりません。
そして、その包帯の隙間から、細いコードがたくさん出ています。
ちょっと、これ・・・気持ち悪いです。
なんなんですかこれは。
それよりも桜花は早く橘花さんに会いたいんですが。
この部屋には橘花さんなんていないじゃないですか!
橘花さんはどこにいるんですか!
すると木島さんは、
「・・・それが・・・橘花だ。」
って・・・・



・・・・・・・え?



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・・・・私は・・・いったい・・・どうしてしまったのでしょう。
気が付いたら、どこかのベッドの上で寝かされています。
・・・ここは・・・医務室です・・・たぶん。
なんだか頭がぼーっとします。
となりには木島さんがいます。
なんか、鼻にでっかいガーゼが貼ってあります。
・・・どうしたんですか?
すると木島さんが
「鎮静剤をうったから・・・少し落ち着いたか?」
と言います。
鎮静剤って・・・・私にですか?
・・・頭がぼーっとするのは、もしかしてそのためなんですか・・・
それにしても鎮静剤って・・・なんで・・・?
・・・・なんだか、記憶が曖昧で・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・ああ、
・・・そう・・・
私は木島さんから・・・あの話を聞いて・・・それで、少しおかしくなってしまったんです。
それでその後・・・私は・・・・
「・・・木島さん・・・ごめんなさい・・・鼻、大丈夫ですか?」
桜花がそう言うと木島さんはケタケタと笑いながら、
「いや〜きいたよ。あの後鼻血がどばどば出てさ〜。いや〜桜花ちゃんに殺されるかと思ったよ〜」
ああ、私は・・・・なんて事を・・・・
「・・・ごめんなさい・・・」
すると木島さんは、優しくにっこり笑って、桜花の頭をなでなでしてくれます。
「俺もなぁ、最初にあの話を聞いたときは、おかしくなりそうだったよ。・・・でも、あれは仕方がなかったんだ。あの時俺たちは、第0艦隊に橘花が乗ってるなんて知らなかったし・・・何よりああしなかったら、俺たちが死んでたかもしれないんだぜ」
・・・そうですね・・・それは・・・確かに・・・
・・・でも・・・
ああ・・・・私は何て事を・・・
・・・ああ、わたしは・・・・
・・・・・
・・・でも、今は・・・鎮静剤のせいかどうかは分かりませんが、
その事を幾分冷静に受け止める事が出来ます。
・・・いや、受け止めてるというよりは・・・・
なんだか、頭があまり回ってない様な感じです。
・・・なんだか・・・どんよりと・・・・
・・・・・
・・・・・
「・・・橘花さんは・・・元通りになるでしょうか・・・」
「ああ。・・・きっと・・・元通りになるよ」
木島さんのその言葉は・・・たんなる気休めなのかもしれませんが・・・でも、桜花は、
今はそれを信じるしかありません。
橘花さん・・・元気になってほしいです。
・・・・・
・・・・・
「・・・木島さん・・・桜花はこれからどうしたらいいでしょうか・・・」
しばらくの沈黙の後、桜花がそう言うと、木島さんは少しだけ真面目になって
「・・・そうだなあ・・・それは・・・・桜花が自分で決めるしかない・・・・でも、お前がどっちに決めたとしても、みんな桜花を恨んだりはしないよ。俺たちも、艦隊のみんなも、本当に、桜花を・・・・愛してるんだ」
・・・・・
しばらく桜花が静かにしてると、木島さんは突然ケタケタ笑いだして、
「おいっ、静かになるなよっ、なんだか照れるじゃねえかっ」
「・・・はい?」
「ああ、この女は。男をその気にさせといて、それにぜんぜん気付かないタイプだよ。罪だね〜全く」
って言って、木島さんはまたケタケタ笑います。
・・・なんだか木島さん、すごくテンション高いです。
・・・でも、今の私には・・・・
・・・・・
その後木島さんは、
「どうだ、飯でも食ったら元気になるんじゃないか?なんならここに持って来させるか?」
って言うんですかど・・・桜花はぜんぜん食欲がないし・・・
それに、やっぱり・・・
今は元気になれません。
だから、
「・・・すこし・・・一人で考えさせてください・・・」
桜花がそう言うと、木島さんはちょっとだけ寂しいような顔になってから、またちょっとだけ笑って、
「・・・そうか。わかった・・・でも、あんまり考えすぎるなよ」
って言って、部屋のドアを開けます。
その後また振り返って、
「大丈夫か?」
って桜花に聞いたので、桜花も少し大丈夫そうな顔で、
「大丈夫です」
って言います。
そしたら木島さんは、またニコっと笑って部屋から出て行きました。
そして・・・桜花はこの医務室で一人になりました。
やっぱりこれは、自分一人でしっかり考えて決めなければなりません。
・・・でも・・・
・・・・・
・・・・・
あんなふうになってしまった橘花さんと・・・・
ここにはいないうめはなの事ばかり、考えてしまって・・・
それは、悲しみでもなく、怒りでもなく・・・
それよりも深くて暗い・・・不安感です。
・・・どうしようもない不安感ばかりが・・・どんよりとしてるのです。
どんよりと重くて・・・
・・・桜花は何も、考える事が出来ないんです・・・・
・・・・・













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