皇紀2665年 10月1日
















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皇紀2665年 10月5日
















皇紀2665年 10月6日


桜花

 桜花は整備を完了し、再び飛鳥に帰ってきました。
整備には二週間ぐらい掛かったみたいですが、最近の傾向から考えると結構早く済んだ方なので良かったです。
でも、うめはなにとってはすごく長い時間だったのかもしれません。
桜花が帰ってきたらすぐに走ってきて「おそいよー」と言って泣きそうになってました。
整備に時間が掛かるのは桜花のせいじゃないんですよ。
でも、「ごめんね」と言ってなでなでしてあげます。
そういえば、一緒に整備に出た橘花さんはまだ戻ってきていない様なんです。
何か問題でもあったのでしょうか。














皇紀2665年 10月7日


桜花

 第1艦隊は呉での補給を終えて本日出港です。
しかし今のところ任務は与えられておらず、瀬戸内海で洋上待機です。
それにしても、本国はずいぶん涼しくなりましたね。
比婆山あたりではもう紅葉が始まっているそうです。
それで艦橋の双眼鏡で見てみようと思ったのですが、この位置からではよく見えませんでした。
残念です。
話によると、瀬戸内海の紅葉はすごくきれいなんだそうですが、去年の紅葉の時期には桜花は外洋に出ていたので、まだ一度も紅葉を見たことが無いんですよね。
一度見てみたいものですね。














皇紀2665年 10月8日


桜花

 第1艦隊は今日も位置変わらず洋上待機です。
どうも現在の情勢から考えて、基幹艦隊は動き回らない方がいいような感じみたいです。
ということで・・・なんだか暇です。
でも瀬戸内海での待機は、なんにも無い大洋の真ん中での待機よりも色々と見るものがあって良いです。
いくつも並んでいる島々とか、行き交う船とか。
それで今日はうめはなと二人で艦橋のてっぺんに登って双眼鏡でそういう回りの景色を見たりしていたのですが、昼過ぎあたりにはもうすっかり飽きてしまって、結局また暇になってしまいました。
これはどうしたものでしょうかね。














皇紀2665年 10月9日


桜花

 今日は雨が降っているので外には出られません。
これは本当に暇です。
暇になると、どうしてもだらだらとしてしまいますが、こういう時でも兵士の方々は武装の手入れをしたり体を鍛えたりして艦隊の練度を下げないように常に努力をしているのです。
そんな中で、連合艦隊提督である桜花がうだうだだらだらしているわけにはいきません。
やっぱり、暇な時こそ自分を高める良い機会だと思って、今日は図書室に行って勉強しようと思います。
それで図書室の人にわかりやすくて為になる本は無いか聞いてみたのですが、そしたら資料映像を見たらどうですかと言われました。
図書室には本だけじゃなくて映像もあるんですね。
これは良いかもしれません。
それで資料映像を色々探していたのですが、その中に、なんだかやたら派手なケースに入ったやつがありました。
その題名も「これが連合艦隊旗艦、飛鳥だ!」
派手です。
しかもなぜか値札までついています。
これって、どう考えても普通のビデオ店とかで売ってたやつを買ってきたって感じですよね。
とても気になったのでちょっと見てみることにしました。
それでその内容は、なんだか子供向けに戦艦飛鳥のことを分かりやすく解説した映像みたいなんですが、どうもこれ、民間が製作して市場販売していたものみたいです。
なんだか艦内までカメラが入っちゃってますけど、大丈夫なんでしょうかね。
そう思ってみていると、この飛鳥、第三次改装前の飛鳥のようなんですね。
特に中枢部分などの構造は、現在と全然違います。
このころの飛鳥って司令艦というよりも、なんというか、海軍の宣伝材料みたいな感じだったんですね。
主砲斉射のシーンなんていかにも戦艦っていう感じですごくかっこいいです。
その他、現代戦闘では絶対有り得ないようなかっこいいことをいろいろやっちゃってます。
これは男の子にうけますね。
それで、うめはなと二人で「これはへんだよねー」とか言ってケタケタ笑いながら結局全3巻とも見てしまいました。
今日は勉強するつもりで図書室に来たのに、私は何をやっているのでしょうか・・・














皇紀2665年 10月10日


桜花

 今日も桜花はする事がありません。
それで、参謀部の方々に何かする事が無いか聞いて回ったりしていたんですが、結局特にすることは無いみたいです。
話によると桜花が来る前の戦艦飛鳥は、一年のほとんどが瀬戸内海待機だったらしくて、機動艦隊の人からは「飛鳥ホテル」なんて言われてたんだそうです。
それは・・・悲しいですね。
でも、そうすると、前任の連合艦隊司令長官はこの膨大な暇な時間をどのように過ごしていたんでしょうか。
木島さんに前司令長官のことを聞いてみたのですが「まあ、いろいろと・・・」とか言って、あんまり教えてくれませんでした。
そう言えば参謀部の方々って、前司令長官の話をあんまりしないですよね。
なんででしょう。













皇紀2665年 10月11日


桜花

 今日も桜花は暇そうにしていたら、木島さんが「そう言えばねえ・・・」とか言って前任の司令長官の話を少しだけしてくれました。
話によると前司令長官はこういう暇なときには、よく他の艦艇の視察に行ったりとかしていたんだそうです。
なるほど、それはいいかもしれませんね。
実際、桜花は第1艦隊の艦艇って飛鳥以外にあんまり乗ったことがありませんし。
これはいろんな意味で為になるかもしれません。
という事で今日は、いつも隣にいる重巡洋艦「陸奥」に行く事にしました。

それで旋翼機で陸奥に乗船したのですが、なんだかもうびっくりです。
甲板には兵士の方々が整列していて、桜花が旋翼機から足を甲板に下ろした途端にすごいラッパが鳴って、皆さん一斉に敬礼してくださいました。
(あんまりびっくりしたので一瞬旋翼機に戻ってしまうところでした)
その上、マストにはちゃんと大将旗が揚がるんですね。
すごいきっちりしています。
(ちょっと暇つぶしに来たなんてとても言えたものではありません)
それで、艦の案内は陸奥の艦長さんが直々にやってくださったのですが、とにかくもう、隊員の方々も皆礼儀正しいです。
どこを見てもきちっと厳しく軍規が行き届いてる感じで、なんだか、こう言ったらなんですが、飛鳥よりもきっちりしてるかもしれません。
それと、廊下とか砲塔とか、いたるところに「盾」という文字が書いてあります。
それで、これはどういう意味なのか聞いてみたところ、「艦隊が攻撃を受けた際、自ら盾となって旗艦を守る」ということなんだそうです。
確かに戦艦飛鳥は単独で行動せず、常に重巡陸奥と共に「第1戦隊」として行動していますが、まさかここまで気合を入れて護衛してくださっているとは知りませんでした。
なんだか恐縮してしまいます。
また装備面でも陸奥は旗艦護衛に特化していて、防空迎撃装置はもちろんの事、非常の際には自ら飛鳥の反射電波と同じ電波や音を発信し敵の攻撃をこちらに向けるようになっているのだそうです。
まさに・・・盾です。
これはもう、陸奥に足を向けて寝られませんね。
そしてもうひとつ驚いた事に、司令中枢室にある神棚の下には、なんと桜花の写真が貼ってあるじゃないですか!
いくらなんでも神棚の近くに桜花の写真を貼るのは、ちょっと恐れ多いと言うか、恥ずかしいんですが、戦力に影響するのではがす事は出来ないんだそうです。
なんだかよく分かりませんが、戦力に影響するなら仕方がありません。
最後にお昼ご飯を頂いて(これは飛鳥庵の方がおいしいかもしれません)帰ってきたのですが、なんだかもう、今日はすごい経験をさせて頂きました。
帰ってきた後、木島さんが「すげえだろ、陸奥は」と言ってましたが・・・確かに、すごかったです。















皇紀2665年 10月12日


桜花

 軍令部より第1艦隊に移動指示が来ました。
移動といってもすぐ近くの横須賀です。
どういう意味があるのか知りませんが、やっぱりじっとしてるよりは良いでしょう。
本日午前中に瀬戸内海を出て、明日の夕方には東京湾に入ります。
それにしても、橘花さんはいつになったら帰ってくるのでしょうか。
同時に整備に入ったのに、整備時間に差があるというのはちょっと心配です。














皇紀2665年 10月13日


桜花

 第1艦隊は予定通り東京湾に入りました。
しかし、横須賀港には入港せずに洋上待機です。
一体何のための移動なのかさっぱりわかりません。
でも、東京の夜景はすごくきれいですね。
明かりがいっぱいついてて、空まで明るいのです。
それに、遠くの光ってなんだかろうそくの火みたいにゆらゆら揺らいで見えるんです。

ちょっと、すてきですね。
それで しばらく外に出てじっと夜景を見ていたんですが、やっぱり夜は寒いです。
あんまり出てるとうめはなが風邪をひくかもしれないので、今日はもう戻ります。













皇紀2665年 10月14日


桜花

 第1艦隊は今日も特に指令は無く洋上待機のままです。
それにしても、東京湾はいつも船がいっぱいですね。
コンテナ船やらタンカーやら、大きな貨物船がいっぱいです。
話によると、東京の港はどこも飽和状態だそうで、荷物を運んできても港が開いてないから積荷を降ろせずに、数日間湾の中で待ってたりする事なんかしょっちゅうなんだそうです。
そういえば、動いてる船より止まってる船の方が多いですもんね。
あの船に乗ってる人たちも「暇だな〜」とかって思ってるのかなんて考えると、なんだか妙に親近感が沸いてきます。













皇紀2665年 10月15日


桜花

 本日突然、戦艦飛鳥に来客があるとの連絡がありました。
その来客というのは、軍令部の方と技術者の方ということで、とりあえず偉い人のようなので、桜花と参謀部の方々は甲板まで出迎えたのですが、その人たちなんだか妙な感じなんです。
来艦の目的は軍令部による旗艦の視察という事らしいのですが、その、一緒にいた技術者という人がなんだか変です。
色白で結構背が高い男の人なんですが、桜花が挨拶しても一言もしゃべらずに表情も変わらないんです。
それで、持っていた小包を何も言わずに桜花に渡して、そのまま旋翼機に乗って帰ってしまいました。
なんだか気持ち悪いです。
その後参謀の方々と、この小包は一体なんなのか観察していたのですが、よく見るときれいにパッケージされていて高級そうです。

でも危険な物だったら大変なので(冷静に考えれば軍令部の人が旗艦にそういうものを持ち込むわけ無いのですが)金属探知機とか爆薬探知機とか、その他あらゆる探知機にかけてみたのですが特に異常は無いみたいだったので思い切って開けてみることにしました。
そしたらなんと、中に入っていたのは大きなチョコレートじゃないですか。
あの技術者の人って、無表情でちょっと変でしたけど本当はいい人なのかもしれません。
早速、うめはなと二人でお茶を飲みながら全部食べてしまいました。
おいしかったです。













皇紀2665年 10月16日


桜花

 よく考えてみたのですが、昨日のチョコレート、やっぱり何かおかしいですよね。
別にチョコレート自体には何も問題は無かったのですが、そのチョコレートをわざわざ航空機で軍令部の人が持ってくるって言うのはやっぱりおかしいです。
それにあの技術者という人、やっぱり変です。
野田さんの話によると、あの技術者の人はずっと桜花の方を見ていたんだそうです。
しかもその見方がまた変で、普通物を見る時はその方向に自然と顔も向くものですが、あの人は顔はずっと正面で固定されたまま、視線だけで桜花を見ていたんだそうです。
それは・・・考えてみると気持ち悪いですね。
あと、木島さんが言っていたのですが、あのチョコレートには何か文字が書いてあったんだそうです。
そう言われてみれば、確かになにか書いてあったような気もしますが。
ひょっとしてこれは、何か重要な暗号だったのではないでしょうか。
でもチョコレートはすっかり食べてしまったので、もうひとかけらも残っていないのです!
・・・私は、もしかしたらとんでもないことをしてしまったのかもしれません。
連合艦隊提督が、食べ物に気を取られて重要な暗号を見落としてしまうなんて、
こんな最悪な事があってよいのでしょうか。
私は本当にばかです。
最悪です。














皇紀2665年 10月17日


桜花

 ありがたい事に、あのチョコレートを探知機にかけた時の情報がまだ残っているということなので、早速解析してもらう事にしました。
でも何せ艦内の設備には限界があるので、その解析には丸一日掛かってしまったのですが、試行錯誤の末どうにか文字を読むことは出来るようにしていただきました。
(ほんと、申し訳ないです)
それで問題のその文字なのですが、なんて書いてあったかというと、これ、どうもドイツ語みたいです。
そんな、ドイツ語で書かれても桜花が読めるわけないじゃないですか。
それで参謀部の方でドイツ語を読める方に読んでもらったのですが、彼もそれほどドイツ語が流暢に話せるわけでもないそうなので、どういう意味があるのかは分からないのですが、
直訳すると、
「心変わり、しない、あなたを、望む」
になるんだそうです。
暗号・・・というよりなんだか恋文みたいです。
何かの歌の歌詞でしょうか。
どちらにせよ、桜花には意味がさっぱり分かりません。
木島さんに聞いてみてもさっぱり分からないそうです。
ひょっとしたらこれ、実は大した意味もないのかもしれません。
あと、このチョコレートには裏側にも何か小さく文字が書いてあって、どちらかというとこっちの方が暗号っぽいです。
Adolf
まあ、たぶんチョコレートメーカーの名前か何かだと思いますけど。














皇紀2665年 10月18日


桜花

 第1艦隊は軍令部の指示により、再び呉に戻ります。
それにしても一体何のために東京湾まで来たのでしょうか。
これじゃあまるで、チョコレートをもらいに行ったみたいじゃないですか。
桜花がいくら大食いだからって、チョコを食べる為に艦隊を動かしていたのではあまりにも非効率です。
消費する燃料の事も考えてほしいものです。














皇紀2665年 10月19日


桜花

 第1艦隊は明日の未明には瀬戸内海に入ります。
最近日に日に寒くなってきますね。
普通の格好で甲板に出ると、もう寒くて凍えてしまいます。
こういう寒い日は、飛鳥庵のそばを食べるのがいいですね。
それで、今日はカレー南蛮そばを食べようか天そばを食べようか迷っていたのですが、そしたら店主さんが「カレー南蛮天そば」を作ってくださいました。
これはなんと、天そばにカレーが入っていて、カレー南蛮そばと天そばが同時に味わえるという、なんとも贅沢な一品です。
これはすばらしいですね。
もうカレー南蛮そばを食べようか天そばを食べようか迷う事もなくなるのです。
橘花さんもよく、カレー南蛮そばを食べようか天そばを食べようか迷っていたので、きっと「カレー南蛮天そば」の存在を知ったら喜ぶと思います。
それにしても、橘花さんはいつになったら帰ってくるのでしょうか。
すごく心配です。













皇紀2665年 10月20日


桜花

 第1艦隊は再び瀬戸内海に入り洋上待機です。
桜花はやっぱりする事がありません。
それで甲板でとりたちにえさをやったりしているのですが、どんより曇った空を見てると、なんとなく不安な気分です。
最近妙な事が続いたせいでしょうか。
やっぱり、たいした情報も与えられず、ただじっとしているというのはあまり体にいい事ではありません。
でも木島さんをはじめ参謀部の方々は、忙しい時も暇なときも、いつも変わらず落ち着いていますよね。
時々、すごいなあと思います。














皇紀2665年 10月21日


桜花

 今日は何か新しい情報は無いかと思ってテレビを見たりしています。
でもテレビって本当に肝心な情報っていうのは流さないものなんですね。
芸能人の人が結婚したとか離婚したとかプロレスラーに転身したとか、そういう事ばっかりです。
芸能人のことをよく知ってる人が見るとおもしろいのかもしれませんが、桜花は芸能人のことなんてぜんぜん知らないので、見ていてもさっぱり分かりません。
話によると、先日太平洋の真ん中で連合艦隊と米艦隊が戦闘になる一歩手前まで来ていた事とかも、テレビではぜんぜん流れてないんだそうです。
それはまあ、軍事的な事はあまり公にすべきで無いと思いますが、これは皇国の興廃に関わる一大事だと思うんですけどね。
それで、いろいろチャンネルを変えたりとかしてたんですが、やっぱりこれといった情報は流れていないんですよね。
木島さんの話によると「黙ってても入ってくる情報は、情報じゃなくて宣伝だ。本当の情報っていうのは自分から出向いて得るものだ」って言ってました。
木島さんっていっつも冗談ばっかり言ってるんですが、たまに真面目なことも言うのでそういう時はなんだか聞き入ってしまいます。
あ、でもそうすると、天気予報とかはどうなんでしょうかね。






橘花

 整備完了。
特に異常は無し。
桜花提督は既に二週間も前に整備を終えて、旗艦に戻っているらしい。
明日は私も旗艦に戻る。
なんだか体の節々が少し痛い。








皇紀2665年 10月22日


桜花

 本日、橘花さんが整備を終えて旗艦に帰ってきました。
特に異常があったわけでも無いようなので良かったです。
それにしても、やっぱり橘花さんが帰ってくると、なんだかちょっと安心しますよね。
と言うか、橘花さんがいない間はずっと無意識に不安を感じていたんでしょうね。
橘花さんの顔を見ると、なんだか安心してうるうるしてしまいました。
それで橘花さんの接続確認を終えた後すぐに飛鳥庵に行って一緒に「カレー南蛮天そば」を食べました。
橘花さんはあんまりおなかがすいてないみたいでしたが、このカレー南蛮天そばには「いいですね」と言ってました。
桜花がつくったわけでもないのですが、なんだかうれしかったです。






橘花

 本日、戦艦飛鳥に戻る。
なぜか桜花提督が私のことをすごく心配してくれていたらしい。
整備に時間が掛かるのは最近よくあることなので、別に今更どうこう言うほどの事でも無いと思うのだが。
でも、すごくうれしい。
最近「うめはな」ばかりで私のことなど考えてもいないのかと思っていたから。
その後、飛鳥庵に行って彼女は今までにあった事などを延々と話し出す。
どうやらかなり不安な日々だったらしい。








皇紀2665年 10月23日


桜花

 本日、軍令部より第1艦隊に移動命令が来ました。
目的地は台湾です。
やっぱり帝国領内での移動ですが、まあ、ちょっと遠出です。
でも桜花は台湾に行くのは初めてなので、実はちょっと楽しみだったりするんですよね。
上陸できればいいんですけどね。






橘花

 軍令部より移動指示。
第1艦隊は瀬戸内海を出て台湾に向かう。
話によると私のいない間、第1艦隊はずっと瀬戸内海で洋上待機していたらしい。








皇紀2665年 10月24日


桜花

 第1艦隊は台湾に向かい南下しています。
軍令部からの情報によると今回の移動の目的は、どうも陸軍絡みのようです。
なにやら陸軍兵器の新機能試験に協力するために我々第1艦隊が借り出されるということで。
ということは、この戦艦飛鳥にも陸軍の偉い方とかが乗船されたりするんでしょうか。
桜花は別に構わないと思うのですか、参謀部の方々はどうも、あまり良い顔はしてないみたいですね。
木島さんも「厄介なことにならなきゃいいけどなあ」って言ってました。
桜花は陸軍の方々に直接お会いした事は無いのですが、そんなに嫌な人たちなんでしょうかね。
同じ帝国軍人なのですから、仲良くすれば良いと思うのですけどね。






橘花

 軍令部からの情報によると、今回の移動の目的は、なにやら陸軍の兵器試験の補助と言う事。
なぜ敢えて第1艦隊がそれに参加せねばならないのかは不明。








皇紀2665年 10月25日


桜花

 本日未明より、艦隊は嵐の中に入ってしまいました。
こういう嵐の日には、桜花は艦橋に上ってぼーっと海を見てるのが好きなんですが、今日はなんだかそんな事も言ってられない事態になってしまいました。
上空警戒中の艦載機が一機、警戒空域から外れて行方不明になったという事で・・・
とにかく朝から慌しいです。
行方不明になったのは60式艦爆「晨星」という機体で、これは敵深地攻撃などを目的に開発された機体なので、電探透過性が高く、被捕捉率の極めて低い高性能機なのですが、逆にこれを探すとなるとかなり厄介です。

こういう場合、航空機は、管制を受けるために電波を発信したりして捕捉されるようにするものなのですが、それも発見できず、もしかしたら故障か何かで墜落してしまったのかとも思われましたが、しばらくして無事管制機と合流し、艦に戻る事が出来ました。
話によるとこの「晨星」は、航行中に電気系統が一部故障して、電探と自動航法装置が使用不能となってしまったそうです。
それで、補助計器によって会合位置まで来たそうですが、何せ天候が悪いので母艦を発見できず、また、故障のため電波発信も出来ないので、電波反射面積を広げて管制機からの捕捉を促すために、脚を下ろして、兵器倉を全開にして、上空をずっとぐるぐる回っていたのだそうです。
ここまでやっても捕捉されないとは、なんとも高性能・・・と言うか、なんというか。
とにかく、60式「晨星」は戦闘機「凄風」33型と共に信頼性の低い機体ということで、他艦隊からも同様に指摘があったりするので、早く何とか改善してほしいものです。





橘花

 本日、上空警戒中の艦載機が一機消息不明となる。
墜落の可能性もあるとの事で一時艦内は騒然としたが、しばらくの後この機は無事帰還。
それにしても、このような事態に対しては我々人型電算機はあまり役に立たないので、桜花提督も少しじっとしてたら良いと思うのだが。
なんだか、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、大慌てである。
その上、航空機が無事帰還した時には、もう大喜びで泣いてたりするので、とにかく騒がしい提督である。
でも、彼女のこういう所が回りから好かれる要素になっているのかも知れない。








皇紀2665年 10月26日


桜花

 第1艦隊は台湾近海に到着しました。
本日中に台湾北端の基隆港に入る予定だったのですが、急遽変更になり、南端の高雄港に入る事になりました。
基本的に基隆の軍港は陸軍が管理している港ですからね。
なにやら、補給物資がどうのこうのと複雑な理由があるそうです。
木島さんは「陸軍の都合で出向いてるのに、物資をケチる事はねぇだろうに」って、ぼやいてました。
ということで、到着は一日遅れて明日の午後になります。
まあ、桜花は別に構わないのですが・・・。





橘花

 本日第1艦隊は台湾の基隆港に到着の予定だったが、何やら物資の都合とかで入港先が高雄に変更。
到着は明日になる。








皇紀2665年 10月27日


桜花

 本日、第1艦隊は台湾の高雄港に到着しました。
やはり南国ということで甲板に出ると暖かい、と言うよりちょっと暑いです。
それで、うれしい事に桜花には上陸許可が出たのです。
艦隊はそれほど長くこの港に留まる事は出来ないので、上陸もそれほど長くは出来無いのですが、でも、うれしいです。
明日は、何を食べましょうかね。






橘花

 本日、第1艦隊は高雄港に入港。全艦補給。
甲板に出るとさすがに暑い。
今回は上陸可能ということで、桜花提督は大喜びである。
物資確認の時もずっと食べ物の事しか頭にない様子。








皇紀2665年 10月28日


桜花

 本日ついに桜花は台湾に上陸です。
でも なにやら最近治安が悪いそうで、桜花が出られるのは軍管轄街までで、しかも防弾装備まで着けなければなりません。
うめはなは「あついからいや」と言ってましたが、これは身を守るために必要なものなのです。
何とか言い聞かせて無理やり着せてやりました。
橘花さんも誘ったんですけど、やっぱり行かないみたいです。
ということで桜花とうめはなと、あと衛兵の方々と行く事になりました。
それで この高雄港の軍管轄街なんですが、それほど広いわけでもなく また商業施設も少ないのですが、衛兵の方の話によると一軒だけ鍋料理のおいしいお店があるのだそうです。
この暑い中 鍋料理というのもなんですが、台湾では鍋料理は結構人気らしくて、暑くてもここの人はよく食べるのだそうです。
(ていうか一年中暑いので、ひょっとしたらここの人にとっては今は涼しい方なのかもしれません)
それで、ちょっと歩いたらもうそのお店に着きました。
結構古い感じのお店で、桜花たちは二階の個室に案内してもらいました。
ここの店主さんの話によると、このお店は台湾中に何件かあって、台北のお店にはよく陸軍大将殿がいらっしゃるんだそうです。
どうやら陸軍大将が店の常連である事が店主さんの自慢みたいで、料理が出来るまで延々とその方の話をしてらしたのですが、話の最後に「それにしても海軍大将閣下は陸軍大将閣下とおんなじくらい若くてきれいですね」って、言ったんです。
桜花はなるべくきれいな感じで笑って「そう言って頂けると嬉しいです」と言ったんですが、次の瞬間「え?」っと思いました。
「おんなじくらい」ということは、陸軍大将殿って若い女性の方なんでしょうか。
どんな方なのか聞き返そうと思ったのですが、料理が来てしまったのでもうそこからは料理しか目に入らなくなってしまいました。
それで、この鍋料理がまたおいしいんですね!
台湾では鍋に白菜の漬物を入れて見込むみたいなんですが、この漬物がちょっと酸味があって、いいんですね。
で、それに、羊肉とか、エビとかカニとかとうふとか野菜とかはるさめとか・・・
もういろんなものを入れて煮込むんです。
で、それをごま風味のたれに付けて食べるんです。
これはもう、たまりません。

それに漬物の酸味がさっぱりしているので、暑くてもさっぱり食べられるんですね。
これは、台湾の人が暑くても鍋を食べる気持ちがよく分かります。
結局、うめはなと二人で八人前ぐらい食べてしまいました。
おいしかったです。






橘花

 今日は上陸許可が出たので桜花提督と梅花が一緒に行こうと誘ってきた。
しかし、この暑さの上防弾装備までして行くとなると、もう全く行こうとは思わない。
結局、桜花提督と梅花の二人で行ってもらう事に。
それで夕刻あたりに帰ってきた彼女らの話によると、今回は鍋料理を食べてきたのだそうである。
この暑い中、防弾装備で、しかも熱い鍋料理を食べてくるとは・・・
なんともツワモノである。








皇紀2665年 10月29日


桜花

 港湾施設の都合により第1艦隊が高雄に停泊できるのは明日までという事で、桜花が台湾に上陸できるのも今日で終わりです。
という事で今日も桜花とうめはなは街にでかけました。

高雄港の軍管轄街はやっぱりそれほど広いわけでもないので、すぐに端っこまで行ってしまうのですが、その途中に何軒か食べ物屋の屋台があったので、せっかくだから全部まわってみる事にしました。
基本的にどの屋台も煮込み料理が多いのですが、その中でも桜花が良いと思ったのは、なんか、魚とかイカとかが入ったスープみたいなやつです。
なんて名前なのか、難しい漢字だったので分かりませんでしたが、お店の人は「がん」・・・?とかって言ってました。
どろっとしてて、コクがあります。それに入ってるイカの味がまたいいんですね。
あと、麺物のお店もありました。
この麺がまた、ひらべったくて、うどんよりもつるっとした感じで、良いです。
これはつゆがあるやつとないやつがあったので、結局両方とも食べてしまいました。
それとそれと、お好み焼きみたいなのとか、おでんみたいなのとか、おかゆみたいなのとか、いっぱいあったんですけど、もういっぱい食べたのでなんだか途中で何を食べたんだか忘れてしまいました。
どれもすごくおいしかったです。
あ、でもひとつだけ変なのもありました。
なんだか不思議な色をした豆腐みたいなやつです。
とにかくこれが、なんと言うか、変なにおいがするんです。
これはちょっと、食べるのに勇気がいりましたけど、食べてみたら結構おいしかったです。
高雄港の軍管轄街は狭いかと思っていましたが、いろいろ見て回ると結構いっぱいお店があるんですね。
もっときちんと探せばもっとたくさんお店とかが見付かるかも知れませんが、今日はもう、桜花もうめはなもおなかがいっぱいになったので艦に戻る事にしました。
楽しかったです。





橘花

 今日も桜花提督とうめはなは高雄の街に行くらしい。
私は飛鳥庵で茶などを飲んでいる。








皇紀2665年 10月30日


桜花

 本日、第1艦隊は高雄港を出港します。
短い滞在でしたが、結構楽しかったですね。
また来れたら良いです。
第1艦隊はこの後台湾島の西側を北上し、陸軍機との会合点に向かいます。






橘花

 本日、第1艦隊は高雄を出港。
陸軍との会合点に向かう。








皇紀2665年 10月31日


桜花

 第1艦隊は陸軍機との会合点に到着。
しかし陸軍からの連絡によると、装備の都合により二日ほど会合が遅れるんだそうです。
まあ洋上待機には慣れているので良いのですが、一応陸軍の都合でここまで来てるのですから、会合時間ぐらいは守ってほしいものです。
野田さんも「けしからん」って言って怒ってました。





橘花

 第1艦隊は会合点に到着。
しかし、肝心の陸軍機が現れない。
情報によると、なにやら都合によって合流が遅れるとの事。








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