皇紀2665年 9月1日
















皇紀2665年 9月2日
















皇紀2665年 9月3日
















皇紀2665年 9月4日
















皇紀2665年 9月5日


桜花

 米艦隊の今回の行動は、一応「演習」という事みたいです。
しかし、当然の事ながらこの演習の意味するものは、ただの演習ではありません。
一番の脅威は、米軍超大型空母「ユナイテッド・ステーツ」級が3隻も、この演習に参加しているという事で、そのうち2隻が東鳥島基地から航空機で数分の距離まで接近しており・・・
これは極めて危険な状況と言えます。
現在第1艦隊は、第15支援艦隊と共に、トラック島と東鳥島のおよそ中間の位置に向かっています。
この位置だと、衛星中継を使わずに通常中継のみでトラック島と東鳥島の両陣営の艦隊の司令を行う事が出来ます。
しかし、米軍は強力な航空戦力を保有する第2、および第5艦隊を主な目標と考えているらしく、我々第1艦隊の動きをそれほど重要な事だとは思っていないようです。
これはありがたい事ですが、どちらにせよ機動艦隊が接近しすぎている事は確かで、もし仮に戦闘状態となった場合は、双方かなりの被害が出るかと思われます。
ただ、それは彼らも分かっている事と思いますし、まさか攻撃して来るとは思いませんが。






橘花

 本日、米国から外務省宛に、「今回の米機動艦隊の行動は演習である」との連絡があったらしい。
当然、この演習の意味は「威嚇」である事は言うまでも無い。








皇紀2665年 9月6日


桜花

 第1艦隊は目標の位置に到着しました。
即座回線を開き、全艦隊の司令を行います。

7つの艦隊と、その他警備部隊の司令を同時に行う事になりますが、うめはながいれば大丈夫です。
接続前にうめはなは、心配そうな顔で「せんそうになるの?」と聞いてきたのですが、やさしく笑って「それは無いから大丈夫です」と答えて、頭をなでなでしてあげます。
でも、これだけの戦力がこの緊張感の中対峙していると、桜花も少し心配になります。






橘花

 第1艦隊は司令位置に到着。
直接続にて前線域の艦隊司令を開始。








皇紀2665年 9月7日
















皇紀2665年 9月8日
















皇紀2665年 9月9日
















皇紀2665年 9月10日
















皇紀2665年 9月11日
















皇紀2665年 9月12日
















皇紀2665年 9月13日


桜花

 本日、突然大本営から撤収命令が下りました。
たぶん、こうなるのではないかと予測はしていましたが、やっぱりですね。
以前、ペルシャ湾作戦の時もそうでしたが、両陣営の大部隊が長時間の睨み合いを続け、戦闘状態に陥りそうになると突然撤収命令が出て、まるで予定行事の様にさっと両陣営ともいなくなってしまうという、例のやつです。
でも、今回は本当に危ない状態でした。
この一週間での航空機同士の異常接近が25回、艦隊同士の異常接近が8回、対潜探知筒の投下数は、なんと六千数百発と、これで一度も戦闘にならなかったのですから、あちら側も最初からその辺の制限は徹底していた様です。
それにしても、私たち軍人が必死になってやっている事も、誰か偉い人に全て制御されてるのかと思うとなんだかいやな気分です。
でも木島さんは、私の肩を軽くぽんっとたたいて
「戦争にならなかったんだからいいんじゃないの」
と言うのです。
確かに、そうなんですけどね。
第1艦隊は第15艦隊と離れて、母港呉に戻ります。
他艦隊も同様に戦闘態勢を解いて各母港に戻り、米艦隊もまるで鏡に映したように撤収していきます。
これで一応は緊張状態は解除されたのですが、まだドイツとの同盟問題が片付いた訳ではないので、この先もまた同様の事が起こる可能性もあります。
でも、桜花は・・・とりあえずおなかがすいたので、天そばでも食べています。






橘花

 本日、大本営より全艦撤収命令が下る。
以前にも同様な事があったような気がするが、状況から考えれば当然の判断と言える。
本日正午より、日米両陣営同時に撤収を開始する。
桜花提督は「制御されてるみたいだ」と言ってやや不機嫌だが、こうなる事は当初から予測していた事だと思うし、また、軍が上の制御を受けなければ、単に混乱を招くだけである。
そこまで不機嫌になる事も無いと思うのだが、その後、彼女は飛鳥庵で天蕎麦を食べながら
「私には戦闘欲があるのかも知れません」
などと妙な事を言う。








皇紀2665年 9月14日


桜花

 第1艦隊は順調に航行しています。
近海の状況も、昨日までの緊張感がまるで嘘のように穏やかです。
でも、なんというか、この穏やかさがかえって不気味な感じもします。
なんとなく・・・不安です。
こういうときは、頭でいろいろ考えるよりも体を動かすに限ります。
とりあえず、柔軟体操が一番いいみたいです。
あと、甲板を歩いて一周したりしても結構いい運動になるんですよね。
桜花も長い事艦隊勤務についてるうちに、自分の内面のことはある程度自分で調節できるようになったような気がします。
やっぱり、桜花も成長してるんです。





橘花

 第1艦隊は呉に向かい航行中。
昨日までの状況とは打って変わって、現在は空海共に穏やかである。
本日中に、艦隊は警戒態勢を解き、通常航行に戻る。








皇紀2665年 9月15日


桜花

 今日はひどい雨です。
海もすごく荒れています。
こういう時は、桜花は艦橋の窓から静かに海を見てるのが好きなんですよね。
しばらくするとうめはなも来たんですけども、なんだかすごく静かです。
私の膝にちょこんと座って、静かに海を見ています。
やっぱりうめはなも、雨の日の海を見るのが好きなんでしょうかね。
でも、膝の上に座られると放熱が出来ないので、だんだん眠くなってきてしまいます。






橘花

 艦隊は低気圧の下を通過。気圧の状況から大した雨にはならないと思っていたが、
予想以上に強い雨である。
こうなると、出所を失った梅花が艦内で走り回るかも知れないので、今日は艦橋で静かに茶を飲んでいる。
ここはいつも静かである。
しかし、ふと横を見ると桜花提督と梅花が座っていた。
あまりにも驚いたので、茶をこぼすところだった。
それにしても、二人とも静かである。
この親子は、嵐になると静かになるという特性があるらしい。
とりあえず、気付かれないように静かに立ち去る。








皇紀2665年 9月16日


桜花

 そういえば、ずっとドイツの事をいろいろと報道していた日本のマスコミ各社も、最近になってぱったりとドイツの報道をしなくなりましたね。
その代わりに、なんだかアメリカ映画の特集とかが最近よくやるようになりました。
衛星回線で飛鳥のテレビでも日本国内で放送されている番組を見ることが出来るので、たまに桜花も兵士の皆さんと一緒に娯楽室でテレビを見てたりします。
(将校専用休憩室にもテレビはあるのですが、ここのテレビの方がなんだか和気藹々としてて桜花は好きなんです)
それにしてもアメリカの映画って、すごく派手ですよね。
5分に一回は爆発します。
それに、殺し合いのシーンが多いです。
ちょっと、怖いです。
でも、こういう映画を橘花さんが結構熱心に見てたりするのでちょっとびっくりです。






橘花

 最近、日本国内のデレビではドイツの事を全く報道しなくなり、変わりに欧米の映画などをよくやるようになった。
ただの流行りなのか、それとも何らかの意図があるのか、それは分からない。
それにしても、米製映画はやたらと金を掛けている。
その割りに中身は単純なのだが、結構出来の良いものもあるので、ちょっと観察のつもりが、時間を忘れて見入ってしまっていたりするので困ったものである。
すっかり見終わった後に、桜花提督に「今の面白かったですか?」などと聞かれる。
・・・ちょっと、はずかしい。








皇紀2665年 9月17日


桜花

 今日、航空便で桜花の外部装備が届きました。
一緒に技術者の方々も来ていたので、たぶん試作機なのかと思いますが、飛鳥に直接来て装備の試験をやるというのは珍しい事です。
それに技術者の方々もなんだか技術者っぽくなくて、なんというか、芸術家みたいな感じの人たちです。
今日は装備をちょっと取り付けて電源を入れるだけで実際に作動はさせなかったのですが、この新装備、ちょっとデザインがかっこいいです。
大きさは手のひらサイズで、耳の後ろの差込口にくっつくようになってるんですが、電源を入れるとピンク色に光るんです。
(あと橘花さんのもあって、こっちは紫色に光ります)
すごく派手です。
結局今日は技術者の方々とご挨拶したりするだけだったんですが、この方々のうち半分は、どうも民間の方みたいです。
それで、その方々の代表の方(技術者にしてはお若い感じの男性です)の話によると、この新装備を桜花に使ってもらいたくて、ずっと海軍の方に許可申請をしていたそうなんですが、そのたびに門前払い状態だったそうです。
しかし最近になって、急に海軍の方から許可が下りたそうで、それで大喜びでここまで来たのだそうです。
そう言って頂けると、なんだかうれしいですね。
それでもう、その代表の方とかその他の方々とかといろいろお話したんですが、途中で付き添いの軍令部の人が「提督はお忙しいので今日はこの辺で」と言って、その方々を他の艦に移してしまいました。
桜花は別に忙しくも無いので、もっとお話したかったんですけどね。
ていうか、結局何をする装備なのか全然聞いてなかったんですけど。
気になります。






橘花

 本日、航空便で人型電算機(恐らく64式専用)の外部装備が届いた。
話によるとこの装備は、海軍の接続装置を基に民間音楽会社が開発したものなのだそうである。
この軍事的に緊迫した時期に、軍令部は音楽会社などと組んで一体何を始めようというのだろうか。
明日、戦艦飛鳥内で本格試験の予定。








皇紀2665年 9月18日


桜花

 今日、昨日届いた外部装備の本格試験をやることになりました。
本格試験といっても30分ぐらいだったんですが。
それで、この外部装置、すごいんです。
まず装着する前に、きちんと準備体操をします。
もうこの辺から、なんだかすごい異様な感じです。
それで電源を入れて作動させると、なんとびっくりです。
何と、桜花は歌って踊れる人になっちゃうんです。
これはすごいです。
音楽にあわせて飛んだり回ったりしながら、桜花が歌うんですよ!
しかも、すごく歌もうまくなっちゃうんです。
自分でもびっくりします。
また、橘花さんと同時に作動させるとこれがすごいんです。
二人あわせて踊れるんです。
その上、歌もハモったりするんです。
すごいです。
今のところ3曲だけしか対応できないそうで、3曲だけしか歌えませんでしたが、桜花はもっと歌いたかったです。
後で聞いたんですが、この民間の技術者達って大手レコード会社の方々なんだそうです。
これはひょっとして、桜花のCDやDVDとかが出たりするんでしょうかね!
そうなるとすごいですね!







橘花

本日、例の外部装置の運用試験を行う。
それで、この試験の内容が・・・
とにかく思い出すのも恥ずかしいが、早い話、この装置を取り付けると桜花提督と私が二人そろってアイドル歌手になってしまうのである。
恐らく、あらかじめ装置内かもしくは本体装置に行動記憶情報を入れておき、それが音楽に連動して体が作動するような仕組みになっているのだろう。
結局30分ぐらいの試験動作だったが、私にとってはなんとも恥辱な時間だった。
しかし桜花提督は「CDデビューできたらいいですね」などと言っている。
それだけは勘弁してほしいものだ。








皇紀2665年 9月19日


桜花

 民間の技術者の方々は、今日の朝早くに本国の方へ帰ってしまったそうです。
桜花はもっと、歌ったり踊ったりしたかったんですけどね。
残念です。
その上なんだか筋肉痛です。
やっぱり、いきなりあんなに激しい運動したら当然ですよね。
それで、艦内ではもう桜花が歌ったり踊ったりしていたという事が知れ渡っていて、飛鳥庵の店主さんに「どんな感じだったの?」と聞かれたのでちょっとやってみたんですが、もう、全然だめです。
桜花って、普通だとすごい歌へたなんですね。
悲しいです。





橘花

 昨日の外部装置試験の事は、もう既に艦内全体に知れ渡っているようである。
実際その場にいた人間は少ないのだが、その情報がどのように伝わっているのか考えると、艦内を歩くのも恥ずかしい。
それにしても、この時期に我々連合艦隊の司令機にこのようなことをさせる軍令部の意図は、一体何なのだろうか。
特に、艦隊司令機の外部接続部品という極めて重要な部分の開発を、民間の、しかも音楽会社と協力してやっているのだから単なる趣味で片付くものではない。
戦争とは、それを行えるだけの兵器、物資などの兵力を準備しなければ始動することは出来ないが、当然、その準備には「国民の意思」も大きく含まれている。
戦争の前には必ず、国民の戦意を高潮させるような歌や映像が多く作られるのも、この準備の一部である。
仮に、連合艦隊提督であり、また高度な軍事兵器である桜花提督の歌や映像が国内に流れるとしたら、国民はどうなるだろうか。








皇紀2665年 9月20日


桜花

 桜花は明日から試験開発艦に行って集中整備を行うことになりました。
今回はうめはながいるので、橘花さんと同時に整備に入ります。
時期的にそろそろ来るかなあとは思っていたのですが、
やっぱり、飛鳥から離れるのはちょっとさびしいです。
何より、幼いうめはなを置いて行かなければならないので、すごく心配です。
とにかく今日は、参謀部の方々とか整備の方々とか飛鳥庵の店主さんとかに、留守中うめはなを宜しくお願いしますと言って回りました。
皆様本当に面倒見の良い方々なので、私がいなくても大丈夫だとは思うのですが、なぜか心配なのです。
なぜでしょう。






橘花

 明日から私は旗艦を離れて集中整備に入る事になった。
そろそろ整備の時期かと思ってはいたが、やはりこの船から離れるのは寂しいような気がする。
しかし今回は桜花提督と同時なので、なんだか少し、安心していたりする。







皇紀2665年 9月21日


桜花

 今日から桜花は橘花さんと同時に集中整備に入ります
それで、艦から離れる時にまたうめはなが「いかないで」ってごねるかと思っていたのですが、
今日はすごく静かです。
でもやっぱり、すごく寂しそうです。
なんだか、ごねもせずに寂しそうな顔をしてるうめはなを見てると、本当にかわいそうに思えます。
「桜花はすぐに帰ってきますからね」と言って、やさしくなでなでしてあげます。
でも本当は、すぐに帰ってこれるかどうかは分かりません。
最近、集中整備にひどく時間が掛かる事が多いので。






橘花

 本日より試験開発艦に移動して集中整備に入る。
桜花提督は梅花のことが心配で仕方が無い様だが、これだけの設備と人員がいるのに何をそんなに心配する事があるのか。








皇紀2665年 9月22日
















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