皇紀2665年 5月1日
















皇紀2665年 5月2日
















皇紀2665年 5月3日
















皇紀2665年 5月4日




 ・・・・彼女以外の、何かが・・・私の邪魔をする・・・・
・・・彼女だけなら・・・・もっとやれたのに・・・
何が・・・





橘花

 整備の為、接続解除。
昨日、夜間に大規模な敵の攻撃を受ける。
駆逐艦「東雲」「初凪」そして「佐久島」が大破、戦列を離れる。
また、空母「大鳳」も攻撃を受けるが、こちらは損傷無し。
直後、航空機を発進させ反撃を試みるが、またすぐに見失い、敵艦に損傷を与えたかどうかは不明。
ただ、今回の攻撃で気になる所は、陣形変更の際のほんの数十秒の隙を突いて攻撃を仕掛けて来ているという事である。
この陣形変更は、艦隊付近に敵潜などが潜んでいると思われる時に、極めて短時間で探索形状を変える事により敵の意表を突き、捕捉の可能性を高める戦術なのであるが、この際、敵潜の位置や状況によっては数秒間の隙が生じる可能性があるのである。
しかし、この陣形変更には多くのパターンがあり、当然、その隙を狙って攻撃する事などまるで不可能な事なのである。
今回の攻撃は、単に運が悪かっただけなのか・・・
それとも・・・








皇紀2665年 5月5日
















皇紀2665年 5月6日
















皇紀2665年 5月7日
















皇紀2665年 5月8日
















皇紀2665年 5月9日
















皇紀2665年 5月10日








橘花

 模擬艦隊戦、終了。
結局、あれから敵艦隊を発見することは出来ず、損傷を与えたかどうかも不明のまま。
梅花はやや悔しいような表情を見せるが、接続を解除されると何事も無かったかのように、またエゾモモンガと遊び始める。
どうやらこの少女は、接続中の記憶が全く無いらしい。
我々64式も、配備当初はそうだったが。








皇紀2665年 5月11日








橘花

 第1艦隊は第12艦隊と別れ、呉に向う。
今日はなぜか、梅花が「おうかはいつかえってくるの?」と聞いてくる。
それは私が聞きたいぐらいだ。
だから、分からないと答えると、なぜか梅花は寂しそうな表情をする。
最近ここへ来たばかりの彼女にとって、桜花提督がいようがいまいが、あまり関係無い事だと思うのだが。








皇紀2665年 5月12日








橘花

 第1艦隊の進路上にて、浮遊機雷群が発見される。
現在、本土の沿岸警備隊が処理にあたっているが、最近、日本近海で浮遊機雷が発見されることが多い。
どうやら、南方から黒潮海流に乗って流れてきているらしい。
日本の商船航路を妨害する為のテロではないかとの噂もあるが、機雷の形式は旧式の物が多く、中には太平洋戦争中の物まである。
真相は不明。
とりあえず第1艦隊は、念の為迂回進路を取る。








皇紀2665年 5月13日


桜花

 桜花の整備点検は終了しました。
なんだか、頭がぼーっとしてます。
すごく、永い夢を見ていたような感じです。
それで、整備の人に今日の日にちを聞いてみたのですが、これまたびっくりです。
もう5月の半ばなんだそうです。
なんでまた、こんなに整備に時間が掛かったのでしょうか。
これはもう、どう考えても整備だけしていた訳では無いと思います。
一体、何をしていたのでしょうか。
・・・・でも、あんまりこういう事は深く考えない方がいいですね。
不安になるだけなので。
明日には、戦艦飛鳥に帰れます。
こんなに長く離れていたので、ひょっとしたら、みんな心配してるかも知れません。
早く帰りたいです。





橘花

 第1艦隊は間も無く瀬戸内海に入る。
明日には呉に入港の予定。








皇紀2665年 5月14日


桜花

 今日、朝起きたら、体の節々が痛いです。
なんだか、筋肉痛みたいです。
昨日は別に、走り回ったりとかしてないのになんででしょうか。
整備の人の話によると、ずっと体を動かさずにいたからではないかという事です。
それで結局、今日は治療という事で、飛鳥に帰るのは明日になってしまいました。
すごく残念です。
残念ですけど、体をちょっと動かしただけですごく痛いんです。
もう、涙が出てきます。





橘花

 第1艦隊は呉に入港。全艦補給。
梅花はまた降りたいとごねるかと思ったら、今日は至って静かである。
頭の上にエゾモモンガを乗せて、ただ静かに外を見ている。
外、というより、飛鳥の降着甲板のあたりをじっと見ているのである。
なにかを、待っている・・・・様にも見える。








皇紀2665年 5月15日


桜花

 本日やっと、呉に停泊中の戦艦飛鳥に戻ることができました。
飛鳥に帰ってみると、やっぱり すごく長い時間が過ぎていたんだという事がなんとなく雰囲気で分かります。
参謀部の方々も心配してくださっていたらしく、木島さんなんか「よかった、よかった」と言って、ちょっとうるうるしてました。
橘花さんはいつも通り無表情ですが、なんとなく心配してくれてたみたいです。
体の節々はまだちょっと痛いのですが、痛そうな顔をするとみんなにもっと心配を掛けてしまうので、とにかくずっと、なんでもないような明るい顔をしていました。
でもやっぱり痛いので、誰も見ていない電算室の隅で痛がったりしていたのですが、そしたら突然後ろから「いたいの?」と聞かれたのでびっくりしました。
誰かと思って振り返ると、ドアをちょっとだけ開いた隙間から、小さい女の子がこっちを見ています。
一体、誰なのでしょうか。
名前を聞いてみようかと思ったら、すぐにいなくなってしまいました。
不思議です。
でも、どこかで見たような気がするんですよね。






橘花

 本日、桜花提督が帰ってきた。
彼女がいないときは彼女の事を考えない様にしていたのだが、実は、自分はとても心配していたんだという事がよく分かる。
なぜか・・・涙が出てくるのである。
とにかく、涙が出てどうしようもないので、しばらく自室にこもっている。
でも、ずっと自室にこもっている訳にもいかないので、とりあえず、なんとか平常心を取り戻して、桜花提督を迎えに行く。
まるで何事も無かったような彼女の明るい笑顔を見ると、また、涙が出そうになるが、ここで表情を変えるのはなんだか癪なので徹して無表情。
・・・無表情、のつもりだったのだが、
突然、桜花提督が私に「心配してくれてたんですか?」と言う。
一瞬とても焦ったが、ここで「心配してなかった」と言うのも逆に変なので、「はい」と答えておく。
それ以上の言葉は出ない。








皇紀2665年 5月16日


桜花

 今日はちょっと、すごい事を聞きました。
なんと、私のいない間にこの艦に新型の人型電算機が新たに配備されたんだそうです。
早速、紹介してもらおうかと思ったのですが、木島さんの話によると、私が来てからずっと自室にこもりっきりなんだそうです。
結局、私がその新型機の自室まで出向いていったのですが、ドアをノックしてもなかなか出てきません。
仕方がないので帰ろうかと思ったときに、やっと少しだけドアが開いたので見てみると、なんと、昨日見た、あの不思議な少女です。
この子が新型の電算機だったのですね。
でも、名前を聞こうとしたら、またすぐにドアを閉めて、部屋に閉じこもってしまいました。
結局、木島さんからその子の事を聞くことになったのですが、形式は65式で名前は「梅花」(ばいか)、階級は少将という事になっているそうです。
・・・その、私は努力して大将という階級を頂いた訳ではないので、別に私より階級が下だからって、威張ったりするつもりは無いのですが、一応、こっちはわざわざ自室まで出向いて挨拶しに来てるのですから、やっぱり、きちんとそれに対応するのが人としての礼儀だと私は思うのですが。
そりゃあ、彼女は新型機だから、私より多少は性能も良いのかもしれませんが、ここでは私の方が先輩なわけですし。






橘花

 そういえば、いつも艦内を縦横無尽に暴れ回っている梅花を、最近見かけない。
木島中将の話によると、彼女はここ数日 自室に篭ったままなのだと言う。
それで、桜花提督が早速彼女に会いたいと言うので彼女の自室まで行く事にしたのだが、意外にも梅花はなかなか部屋から出てこない。
しばらくして、ちょっとだけ顔を出したかと思うと、またすぐに引っ込んでしまった。
私と始めて会った時は「きっかだきっかだ!」と大はしゃぎだったのに、随分態度が違う。
桜花提督はちょっと不機嫌そうに「新型機だから威張ってるんでしょうかね」などと言っていたが、少なくとも梅花の思考能力から考えてそれは有り得ないと思う。
照れてる・・・のだろうか。








皇紀2665年 5月17日


桜花

 今日、やっと梅花さんが部屋から出てきたので、司令室で自己紹介してもらうことになりました。
でも彼女はずっと木島さんの後ろに隠れていて、私とは視線もあわせてくれません。
仕方がないので私から先に自己紹介したのですが、そのあと彼女は挨拶するでもなく、一言、「うめはなってよんで」と言うのです。
この人は何を言っているのでしょうか。
だから私は「でもあなたの正式名称はバイカでしょう」と言ったら、彼女は何も言わずそのまま出ていってしまいました。
それから彼女はずっと自室にこもったままです。
一体何を考えているのでしょうか。






橘花

 今日は特にすることが無いので、飛鳥庵で茶などを飲みながら読書をしている。
そしたら桜花提督が来て大盛りのカツカレーを黙々と食べ始める。
ちょっと機嫌が悪いらしいが、やっぱり彼女が側にいると安心する。








皇紀2665年 5月18日


桜花

 梅花さんはまだ自室にこもったままです。
それで、参謀部の方々に梅花さんについていろいろ聞いてみたのですが、皆さんは彼女のことを普通に「バイカ」と呼んでいたのだそうです。
つまり彼女は、私にだけ「うめはな」と呼ぶことを強要している訳なんです。
なんで私だけが訓読みしなきゃならないのでしょうか。
私は旧式機だからってばかにされてるのでしょうか。
全く、分かりません。
このままでは埒が明かないので、今日は彼女の部屋に行って話を付けてやることにしました。
でもドアには鍵が掛かっていて中には入れないので、ドアの前で「梅花さん!梅花さん!」と呼んでいたのですが、そしたら彼女はドアの向こうで、また「うめはなってよんで!」って言うのです。
なんだか私も頭に来て、「あなたは梅花です!私はそれ以外の名前で呼ぶ気はありません!」って大声で怒鳴ってそのまま帰ってきました。
もう知りません。





橘花

 今日、桜花提督は「梅花さんと話をつけてやる」と言って彼女の部屋に行く。
どうも梅花のことを「うめはな」と呼ぶのが気に入らないらしいが、そんなに向きになる事でもないと私は思うのだが。
しばらくしてから半泣きで帰ってきたので、とりあえず飴などをあげておく。








皇紀2665年 5月19日


桜花

 今日、開発部の人からすごいことを聞きました。
私達人型電算機の整備は基本的に全て女性の方がやっているのですが、梅花さんの主任整備士の方も女性の方がやっていたそうで、その方はとっても優しいおばさんだったらしいのですが、梅花さんが制式化される直前に、その方は病気で亡くなられたそうなんですね。
それで、「うめはな」という呼び名はその主任整備の方だけが使っていた呼び名だったのだそうです。
さらに、ここからが驚きなのですが、
なんと梅花さんは、私の体の中にある「らんし」という部品を培養して作られた機体なんだそうです。
私の体の中にそんな、人型電算機の基となる部品が入っていたなんて驚きですが、これはつまり、梅花さんは・・・私の「血の繋がった子供」という事になるんです。
だから、梅花さんは、母親代りをしていたその主任整備士の方だけが使っていた大切な名前を、私だけに使う事を許してくれていたのです。
母親として。
・・・・私は・・・なんてばかなんでしょうか。
私は、新鋭機である彼女に、ちょっと、嫉妬していたのです。
だから、彼女のやることが全て憎たらしく感じてしまっていて・・・彼女の気持ちなんて、全く分かっていなかったのです。
私は、本当にばかです。
それで、さっき彼女の部屋に行って謝ってこようと思ったのですが・・・
いないんです!
一体、どこに行ってしまったのでしょうか!
私は彼女を酷く傷付けてしまった様です。
今日は夜を徹して彼女を探さなければなりません。
うめはなを、探さなければなりません。





橘花

 開発部の話によると、梅花は桜花提督の卵子細胞を培養してその基本体が造られたと言うことらしい。
確かに、数少ない成功例である桜花提督の卵子細胞を使用して電算機本体を作れば、その成功率もかなり高まるというのは納得できる。
その事実を知らされてから、桜花提督は梅花の事を「自分の娘」であると認識したらしく、梅花の事を「うめはな」と呼ぶようになったようだが、今度はその「うめはな」本人がいなくなってしまったらしい。








皇紀2665年 5月20日


桜花

 今日は丸一日、うめはなを探しています。
戦艦飛鳥はやっぱり、大きな船です。
この広い艦内にいる小さなうめはなを探し出すのはとても大変です。
全然見付からないのです。
もう、涙が出てきます。
連合艦隊提督が泣きなから艦内を歩き回るのは、兵員士気に大きく影響するかもしれませんが、今はそんな事言ってられません。
兵士の方々はそんな私を見て、一緒に探すのを手伝おうとしてくださったのですが、これは私がやらなければならない仕事です。
私が探し出さなければなりません。
でも、やっぱり、うめはなは見付からないのです。





橘花

 今日は朝から、桜花提督が艦内のあちらこちらをうろうろと走り回っている。
何事かと思ったら、彼女は昨晩から夜を徹して梅花を探していると言う事である。
そのような事は、艦内警備兵にでもやらせれば良いと思うのだが、彼女は一人で探し出すのだと言う。
この広い艦内から一人の少女を探し出すのはかなり大変なことかと思われるが、私が手伝うと言っても一人でやると言って聞かないのである。
それにしても、泣きながら艦内を探しまわっている桜花提督は、なんだかあまりにもかわいそうな感じである。
ちょっと心配なので、密かに後ろに付いて行ってみたりする。








皇紀2665年 5月21日


桜花

 第1艦隊は呉を出港しました。
艦隊はこれからまた洋上任務に入る訳ですが、私はうめはなを探すことで手一杯で、任務にまったく集中できません。
それで今は全て、橘花さんにお任せしてしまっています。
連合艦隊提督がこんなことではいけません。
それは分かっているのですが・・・
でも、私はうめはなを探さなければならないのです。
うめはながいなくなってから、もう3日も経っているのです。
きっと、おなかをすかしていると思います。
そう言えば私も、うめはながいなくなってから何も食べていなかった様な気がします。
橘花さんが「何か食べて下さい」と言っていましたが、うめはなの事が心配で全く食べる気がしないのです。
今日は通気管や、配線口の中まで捜したので、全身、油や埃でぎとぎとになってしまいましたが、うめはなは見付からないのです。
もう、涙もかれてしまいました。






橘花

 第1艦隊は全艦補給を完了し、呉を出港する。
艦隊は作戦海域に向い航行するのだが桜花提督は食事も取らず、睡眠も取らず、ずっと梅花を探している。
とにかく、彼女には任務に就いてもらわねば困るので、艦内警備兵に捜索を指示して、彼女には司令室に戻る様上申しようと思ったが、木島中将が「気が済むまでやらせてあげたら?」というので、結局、提督任務は私が行う事となる。
全く、海軍大将が、旗艦内で行方不明になった海軍少将を探す為に任務を放棄するなんて、前代未聞の事だと思うが・・・・
彼女は必死である。
とにかく食事ぐらいは取ってほしいものだが。








皇紀2665年 5月22日


桜花

 今日は橘花さんが「何か食べてください!」と言って無理やり私を飛鳥庵に連れて行くので、とりあえず何か食べることにしました。
でも、ぜんぜん食欲が出ないので喉を通りやすいおかゆを店主さんに作ってもらったのですが、食べようと思っても涙ばかり出てきて全然食べられないのです。
それで、ただ黙っておかゆを見ていたのですが、そしたらカウンターの向こうからなにやらよく分からない白い生き物が出てきて私のおかゆを食べているのです。
一体何かと思ったら、これ、うめはなのエゾモモンガじゃないですか!
思わず私はエゾモモンガに「うめはなはどこですか!」と聞いてしまいましたが・・・そしたらなんと、飛鳥庵の厨房から、うめはなが出てきたのです。
これは驚きました。
うめはなはずっと、飛鳥庵の厨房にいたのです。
まさか、こんな所にいたなんて。
それで彼女は泣きそうな目で私に「おうか、ごめんね」と言うのです。
わたしは、なんだか、もう・・・
大声で「うめはな!」と叫んで、うめはなを抱きしめてしまいました。
そのまま人目もはばからず私はおいおいと声を出して泣いてしまって、その上、もう油とホコリまみれで、うめはなまでぎとぎとにしてしまって。
でも、うめはなは小さな声で「ありがとう」と言ってくれたので・・・
よかったです。
その後私は急に力が抜けて、床に自分の頭がゴトッとぶつかる音が聞こえたような気がしたのですが、それからの事は全く覚えていないんですよね。






橘花

 第1艦隊は、司令官不在という事実を除いて、順調に航行している。
とりあえず桜花提督には、食事ぐらい取ってもらわねば困るので、飛鳥庵に連れて行ったのだが、やはり彼女は何も食べようとしない。
全身油まみれになって、ただ泣いているのである。
これは、本当にかわいそうである。
飴なら食べるかと思って出してみたが、やっぱり食べない。
これはどうした物かと思っていると、突然、飛鳥庵の厨房から梅花が出てきたのである。
まさか、こんな身近な場所にいたとは驚きである。
その後がまた大騒ぎで、桜花提督は梅花を抱きしめたまま、おいおいと大声で泣き出したので、それを聞きつけた艦内要員達が集まってきて、なぜか万歳を始める。
(当然、今回の事態は艦内全体に知れ渡っている)
野田少将が一喝して、兵員たちは去っていったのだが、その直後、桜花提督がその場に倒れこんでしまったので、今度は衛生兵が集まって来て、彼女は医務室に運ばれる事となった。
診断によると、極度の疲労状態という事だが、特に問題は無いという事である。
まあ、3日も睡眠も食事も取らずにいたのだから当然である。
彼女にはしばらく休んでもらうしか無い。








皇紀2665年 5月23日








橘花

 桜花提督は今日も寝こんだままである。
それで、少し心配なので彼女の病室に行ってみると、梅花がいた。
どうやらずっと看病していたらしい。
桜花提督は点滴を入れて安静にしていれば大丈夫なので、梅花には司令室に戻る様に言ったのだが、彼女はここから離れないと言う。








皇紀2665年 5月24日


桜花

 昨日は、丸一日医務室でぐっすり眠ってしまいました。
おかげで、なんだか今日は快調です。
元気になったのならこんな所でごろごろしてるわけにはいきません。
司令室に戻って、橘花さんから艦隊の状況を転送してもらいます。
で、その時橘花さんに うめはなはどこにいるのか聞いてみたのですが、なんとうめはなは私の寝ていた病室にずっといたのだそうです。
またいなくなったのかと思って急いで病室に戻ってみたら、布団の中で寝ていました。
うめはなは私が眠っている間、ずっと側にいたのですね。
もう朝なので起こした方がいいかと思ったのですが、ぐっすり眠っているのを起すのもなんだかかわいそうな気がします。
とりあえず、しばらく観察してみます。

よく見ると、やっぱりちょっと私に似てますよね。
でも私より ちょっと目がくっきりしてるので、将来は私よりちょっと美人になるかもしれませんね。
思えば私も生まれてからまだ2年ぐらいしか経っていないのにもう母親になってしまったなんて、なんだか不思議ですよね。
そんな事を考えているうちに、桜花はいつの間にかまた眠ってしまったんですね。
それで結局、うめはなに起されてしまいました。
ほんと、だめな母親です。






橘花

 第1艦隊は次の作戦の為、サイゴン基地に向う。
桜花提督は、元気になったのですぐに任務に復帰すると言うが、その後、梅花を探しに病室に戻ったまま、またぐっすり眠ってしまったらしい。
結局今日も提督任務は私が一人ですることとなる。
まあ、今日は特に大変な事も無かったので別にいいのだが。








皇紀2665年 5月25日


桜花

 ずっと仕事をサボっていたので、今日からはきっちり仕事をします。
とにかく、先ず、ご迷惑をおかけした参謀部の方々に謝っておきます。
うめはなも一緒です。
参謀部の方々は笑って許してくださいましたけど、橘花さんには「連合艦隊提督がこんなことでは困ります」と、おこられてしまいました。
 現在第1艦隊はサイゴン基地に向っています。
先ほど、サイゴン基地の港湾警備艦隊と合流し、間も無く洋上補給と現地の第3艦隊旗艦より詳しい作戦情報の引継ぎを行います。
そうそう、実は今回の作戦って、海賊退治なんだそうです。
最初に軍令部から聞いたときは ちょっとびっくりしましたが、第1艦隊が出動するほどですからね。よっぽど恐い海賊がでるのでしょう。
でも桜花にとっては久々の実戦任務なので、ちょっとわくわくします。





橘花

 桜花提督はやっと仕事に復帰。
梅花と一緒に謝ってきたが、なんだか妙に幸せそうな表情なので、ちょっときつめに注意してしまった。







皇紀2665年 5月26日


桜花

 第1艦隊は第3艦隊と合流、現海域情報、作戦情報の確認を行います。
それで今回の海賊退治作戦なんですけども、桜花は海賊っていうと、眼帯をしてて片手がフックになってる人の事を想像していたのですが、別にそういう人たちが出てくる訳では無いんだそうです。
なんだかちょっとがっかりです。
で、作戦についてですが、
昔からこのマラッカ海峡は日本の貿易商船の主用航路となっていましたが、最近この海域では日本の船を狙った海賊行為が横行しているそうです。
それで帝国海軍は、近域の沿岸警備隊と協力して海賊哨戒の強化を図ってきたのですが、最近の調査によると、その海賊達の装備は欧米連合製の物が多く、彼らが密かに海賊に武器を流している可能性が極めて高いんだそうです。
また、大東亜連合にとっての一番の脅威は、親日政府国家の中で政府転覆を目論む輩にその武器が渡ってしまうことです。
つまり、連合艦隊の海上司令部である この第1艦隊をサイゴンに移動させたことの意味は、要するに欧米連合やそれに荷担しようとする勢力に対して睨みを利かせてやろう、という事みたいです。
でも第1艦隊が来たからには、海賊退治は大々的にやっていこうと思います。
軍令部の思惑と関係なく、やっぱり海賊行為は悪いことですからね。






橘花

 サイゴン基地近海にて洋上補給を完了。
第3艦隊、及び沿岸警備隊と合流した後、作戦に入る。
今回の任務はマラッカ海峡近域の治安維持という事で、どう考えても第1艦隊が出動してやるほどの仕事とは思えないのだが、恐らくまた、いろいろと政治的な事情があるのだろう。
でもなぜか桜花提督は大はりきりである。
どうも彼女は「海賊退治」がしたいらしい。








皇紀2665年 5月27日


桜花

 明日から直接続をして、徹底的に海賊探しです。
ただ、海賊船というのは電探も使ってないし速射砲や誘導弾なんかを積んでるわけでもないので、普通の船と見分けるには、とにかく怪しい船に一隻一隻立ち入り検査するしかないんですよね。
これは本当に大変な作業です。
また、この近海では浮遊機雷も多数出現するので、それらの掃海も同時に進めていきます。
うめはなにも手伝ってもらわないといけませんね。
そういう事で、今日はたくさん食べてよく寝ます。
それにしても、うめはなは本当によく食べます。
その後寝ようと思ったら、なんだかそのままうめはなも一緒にふとんに入ってるんですけど、
まあ良いでしょう。






橘花

 明日から直接続して海域の哨戒及び掃海を行う。
それにしても、それほど重要な任務でも無いし、電算機は3機もいるのだから交替で接続すれば良い物だが、桜花提督はとりあえず全員直接続して大々的にやりたいらしい。
まあ、彼女がそうしたいのなら別に構わないのだが。








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