皇紀2665年 1月1日


桜花

 新しい年が明けました。
という事で今日は朝早く起きて初日の出を見に行ったのですが、別に初日の出だからっていつもの日の出と何かが違うというわけでは無いんですね。
いつもとおんなじように、日の出は日の出です。
でも、こういうのは気持ちの問題ですからね。
一応、手をあわせておきます。
その後木島さんが作ったお雑煮を頂きました。

やっぱり木島さんって、お料理が上手なんですよね。
木島さんは「男長年一人暮しを続けりゃあ料理もうまくなるさ」と、ちょっと寂しげに言ってましたが。
そういうものなんでしょうかね。





橘花

 新しい年が明ける。
基本的に年が変わったからといって何か状況が変わる訳でも無いのだが。
むしろこのまま、あまり状況が変わってほしくないと思う。







皇紀2665年 1月2日


桜花

 今日は大変な事になってしまいました。
なんと、橘花さんが水と間違えてお酒を飲んでしまったんです!
もう大変です!
普段あれだけ冷静な橘花さんが、もう、なんと言うか、すごい激しい人になってしまいました。
それで私に、「愛ってなんですか!」とか「電算機が誰かを愛してはいけないのですか!」とか言ってすごく怒るんです。
そんな事私に言われても、困ってしまいます。
そしたら今度は「あなたは私の気持ちなんて全然分かってくれないんですね!」とか言って、泣き出しちゃったんです。
あの冷静沈着な橘花さんが、声を出しておいおい泣いてるんですよ。
本当にびっくりです。
そのあとちょっと静かになったかと思ったら、ゴテッとひっくり返ってそのままくーくー寝てしまいました。
  
木島さんは「橘花ちゃんは酒乱だなあ」とか言ってケタケタ笑ってましたが、
笑い事ではありません!
急遽、艦内待機をしていた電算機整備の方を呼んで橘花さんを見てもらいましたが、幸い電算機には異常は無いようなのでよかったです。
でもそのあと木島さんは整備の方にものすごく怒られてました。
当然ですよね。





橘花

 ・・・・・







皇紀2665年 1月3日


桜花

 艦内要員の休暇も終わり、第1艦隊は再び出港の準備に入ります。
私と橘花さんも通常勤務に戻っているのですが、今日の橘花さんは至って普通でした。
なんだか、昨日の事は全然覚えてないみたいです。
大丈夫なんでしょうか。
それで、実は桜花は、昨日の橘花さんの言葉を結構気にしてたりします。
橘花さんは、私に何かすごい不満を持っているのでしょうか。
確かに私は、橘花さんの考えてることはよく分かっていません。
でも、怒られるほど悪いこともしていないと思うのですが。
橘花さんって本当は・・・・私の事が嫌いなのでしょうか。
だとすると、すごく悲しいです。





橘花

 今日は朝からひどく頭が痛い。
しかも、昨日の記憶の一部が欠落している。
これは恐らく電算機の異常ではないかと思われるが、開発部の人間に検査してもらったところ特に異常は無いという事である。
しかし、どう考えても異常である。
さらに、桜花提督の様子も少しいつもと違う。
なぜか私に、変に気を使っている。
一体今日は、どうしたというのだろうか。
もしかすると、私の電算機に修復不可能な深刻な欠陥が発見され、その結果私は任務から除外されることが決定し、それを皆が私に隠しているのではないか。
・・・などと考えてもみたが、その場合は先ず試験開発艦に戻される筈だし、何より、朝から続いてた頭痛は午後にはすっかり治ってしまった。
奇妙である。







皇紀2665年 1月4日


桜花

 第1艦隊は呉を出港しました。
次の目的地は東鳥島基地で、作戦内容は東鳥島近海での海上警備です。
何やら米海軍の機動艦隊がハワイ沖に集結中という事で、我が帝国海軍もそれに対応して太平洋の警備強化を行うそうです。
木島さんが言うには、米海軍は定期的に大艦隊をハワイ沖に集結させて大規模演習を行うそうなので、今回も演習行動なのではないかと思われます。
でも、そんな事より桜花は、なぜかまだこの前の橘花さんの言葉が気になってるんです。
私って結構、こういう事って気にしてしまうんですよね。
木島さんも「酒入りで言ったことだから気にしても仕方ないだろ」と言ってましたが。
やっぱり気になります。





橘花

 第1艦隊は呉を出港。東鳥島へ向う。
米海軍がハワイ近海に集結中という事で、帝国海軍もそれに対応し近域での警戒を行うという事である。
それで、今日もなぜか桜花提督の様子が変である。
どう見ても、私の前でおたおたしている。
一体、彼女は私に対して何を思っているのだろうか・・・
気になる。







皇紀2665年 1月5日


桜花

 第1艦隊は日本を離れ、順調に航海しています。
ハワイ沖では米艦隊が実弾演習を開始したらしく、近域では緊張が高まっているそうです。
でもそんな事より、やっぱり桜花は、橘花さんの事が気になってるんですよね。
連合艦隊提督が作戦の事など上の空で、副官に嫌われてるかどうかを気にしてるなんて、こんなことではいけませんよね。
絶対によくありません。
それで私は考えたのですが、ここは思いきって、本人に私の事を嫌っているのかどうか聞いてみることにしました。
もし嫌っているのであれば、私のどこが良くないのか、改善できるのかどうかなどをいろいろと相談してみようと思います。
・・・と、思っていたのですが、今日はなんだか、話しかける勇気が出なくって・・・
聞けませんでした。
だめですよね。ほんとに。
でも、明日は必ず聞いてみます!





橘花

 今日は、桜花提督はずっと、私に何かを言おうとしていたみたいだ。
一体、何を言おうとしていたのだろうか。
とても、気になる。
本当に、気になって仕方がない。
これでは、仕事にも影響が出てしまう。
私がいつも無表情だから話しかけずらいのだろうか。
明日は少し、彼女に優しく接してみたら良いだろうか。
それにしても、本当に・・・
気になる。







皇紀2665年 1月6日


桜花

 今日ついに、橘花さんの部屋に行って、私のことを嫌ってるのかどうか聞いてきました。
もうほんとに、すごく緊張しましたけど。
橘花さんは私のことを嫌ってなかったみたいです。
良かったです。
やっぱり、私の考えすぎだったみたいですね。
それにしても橘花さん、私が部屋に行ったときは、なんだかすごく焦ってたみたいです。
顔なんかまっかっかでした。
あんなに焦ってる橘花さんって始めて見ました。
私が部屋に来たら、そんなにびっくりするんでしょうかね。
入る時はちゃんとノックしたんですけどね。





橘花

 今日、突然桜花提督が私の部屋に来た。
とにかく、本当に焦った。
電算機に異常が生じる程に血が昇ってしまった。
それで、彼女は、私が彼女の事を嫌ってないかどうかを何度も聞いてくる。
だから何度も嫌ってないと、言ったのだが・・・
そしたらそれで彼女は満足したらしく、そのまま帰ってしまった。
・・・結局・・・それだけ?







皇紀2665年 1月7日


桜花

 本日、第1艦隊は、第5機動艦隊所属の第8駆逐戦隊、及び第5防空戦隊と合流しました。
明日には第5機動艦隊本部隊と合流し、直轄指揮をします。
ハワイ沖の米艦隊は、有り余る物量を使って派手な実弾演習をやっているそうですが、基本的に日付変更線からこちら側に入ってくることは無いみたいなので、特に問題は無いと思います。
それにしても、米軍は弾薬がいっぱいあっていいですね。
桜花も一度、あれだけ派手な実弾演習をしてみたいものです。
飛鳥の46センチ砲全門斉射とかやったらすごいでしょうね。
たぶん実戦でもそんな事する機会は無いでしょうが。





橘花

 本日、第1艦隊は、第5機動艦隊所属、第5防空戦隊及び第8駆逐戦隊と合流。
結局、桜花提督はあれからまたいつも通りに戻ってしまった。
彼女は、なぜか私に嫌われてると思っていたらしく、単にそれを気にしていただけだったのだ。
変に期待していた自分が馬鹿みたいだ。
いっその事、昨日は「嫌っている」と言ってやれば良かった。
そしたらもう少し、私の事を気にしてくれたかもしれない・・・







皇紀2665年 1月8日


桜花

 第1艦隊は、第5、及び第12機動艦隊、第14支援艦隊と合流しました。
それで、明日からなぜか直接続で警戒せよとの軍令部からの指示がありました。
べつにそこまで警戒する必要も無いと思うのですが、
軍令部からの指示なので従うしかありません。
恐らく、米軍の演習にあわせて、こちらも電算機の接続試験をやるような感じなのでしょうか。
なんだかこうやって見ると合同演習みたいですね。
そういう事で、明日から直接続に入り、桜花は第1、及び隷下の第12艦隊、橘花さんは遠隔司令で第5、及び第14艦隊を指揮する事になります。
またしばらく動けなくなるのが寂しいです。





橘花

 第1艦隊は、東鳥島を母港とする第5機動艦隊、第12機動艦隊、及び第14支援艦隊と合流。
そして明日から我々電算機は2機同時に直接続に入り、大規模な警戒行動を取る事になる。
要するに、米軍の軍事パフォーマンスにうまく同調してやろうという訳である。
そしてお互いが自国民の警戒心を煽り、軍事予算をより多く回収する。
全く、いい商売である。







皇紀2665年 1月9日
















皇紀2665年 1月10日
















皇紀2665年 1月11日
















皇紀2665年 1月12日
















皇紀2665年 1月13日
















皇紀2665年 1月14日
















皇紀2665年 1月15日
















皇紀2665年 1月16日


桜花

 米軍の大規模演習は終了した模様です。
しかし、彼等が完全に通常態勢に戻るまでは、我々もこのまま警戒待機です。
べつに、それほど警戒する必要も無いとは思うのですが、木島さんは「これは恒例行事だから」と言ってました。
恒例行事、などと言われるとますます訳がわかりませんが、とにかく、警戒する必要はないけど警戒待機しなければならない様です。
とりあえず、飛鳥庵で天そばでも食べています。





橘花

 米海軍の大規模演習は終了した模様。
しかし我々はこのまま警戒待機。
もちろん、それほど警戒する必要もないのだが。
形式上。







皇紀2665年 1月17日


桜花

 第1艦隊はその位置をやや西に戻し、警戒待機です。
特に問題はないので、艦隊指揮は各艦隊旗艦に任せています。
なんだか暇ですが、一応警戒中なので遊んだりも出来ません。
こういう時は、お茶を飲むのが一番です。





橘花

第1艦隊はやや西に移動。
艦隊指揮は各艦隊旗艦に任せる。







皇紀2665年 1月18日


桜花

 軍令部より撤収指示が来ました。
よかったです。
でも、補給状況の関係から呉には戻らず、トラック基地に入る事になりました。
トラック基地には一度上陸した事がありましたが、あの時はあまり時間がなかったので。
今回はたくさん上陸できそうなので、ゆっくりとトラック基地見物でもしたいですね。
楽しみです。





橘花

 軍令部より撤収命令。
第1艦隊はトラック基地に向う。







皇紀2665年 1月19日


桜花

 第1艦隊は順調に航海しています。
で、順調な時っていうのは、結構することがなかったりするんですよね。
それで暇そうにしていたら、木島さんが将棋をしようと言ってきました。
将棋なんて私、やったこともなかったので、最初はコマの動きを覚えるだけでも一苦労です。
それで、いざ勝負してみたのですが、木島さんは強いです。
全然相手になりません。
5回勝負して5回負けました。
まあつまり、一回も勝てなかったわけですが・・・
考えてみれば私って、帝国の技術を結集して開発された戦略司令電算機なんですよね?
なんだか不安になってきました。





橘花

 今日は特にすることが無い。
茶などを飲んで一日過ごす。







皇紀2665年 1月20日


桜花

 今日はなんだか不安だったので、朝から橘花さんと将棋の練習をしてました。
橘花さんも将棋はやったことがなかったみたいなのですが、やり方を覚えると見る見る強くなってきて、仕舞には全然勝てなくなってしまいました。
これはどういう事なのでしょうか。
ひょっとして、
橘花さんが司令電算機の正常な姿で、私はどこか壊れてるのではないでしょうか。
なんだか不安を通り越して、もう、悲しくなってきました。
そしたら木島さんが「飛鳥の中枢電算機に接続してやってみれば?」と言うので、験しに接続状態で将棋をしてみました。
(ほんとはこういう事をしてはだめなんですけどね)
そしたらびっくりです。
自分でも恐ろしくなるほど将棋が強くなりました。
なんというか、将棋盤を見るだけで、最後の詰めまで読めてしまうんです。
これはすごいです。
験しに木島さんと勝負してみたら、もう、あっという間に勝ってしまいました。
で、それを見ていた参謀部の方々とも勝負してみましたが、全員まったく歯が立たないといった感じで、仕舞には海軍将棋大会で優勝した経験のある野田さんにも勝ってしまいました。
いやはや、強いです。
そうなんですね。
桜花は飛鳥と一緒になって始めてうまく機能するようになっているんですよね。
ちょっと安心しました。





橘花

 今日は朝から桜花提督が将棋をしようと言ってきた。
とりあえずやり方を覚えてみるが、これが結構おもしろい。
ここまでシンプルに、しかも電子機器を使用せずに
模擬戦略を体験できる物があるとは驚きである。
それで調子に乗ってやっていたら、なぜか桜花提督が泣いてしまった。
彼女はあまりにも弱いので、私がやり方を覚えるまで手加減してやってるのかと思っていたら、どうやら最初から本気でやっていたらしい。
少し、驚きである。
とりあえず飴などをあげてみるが、いらないと言ってそのままどこかへ行ってしまった。
本当に、かわいそうな事をしてしまった・・・







皇紀2665年 1月21日


桜花

 結構南下してきたせいか、回りはかなり暖かくなってきました。
暖かい、というより、ちょっと熱いくらいです。
でも艦内は空調が効いてるので、
回りの温度が変化しても結構気付かなかったりするんですよね。
いつも通り防寒服を着て外に出ようかと思ったら笑われてしまいました。
笑うことは無いと思います。





橘花

 第1艦隊は南下を続ける。
航海は概ね順調。







皇紀2665年 1月22日


桜花

 第1艦隊は明日、トラック基地に到着の予定です。
前回は時間が無くて港湾施設の一部しか見ることが出来ませんでしたが、今回はたくさん時間がありますからね。
ほんと、楽しみです。
あんまり楽しみなので、今のうちにどこに行くか考えておきます。
木島さんの話によると、とにかく海産物がいっぱいとれるんだそうです。
これは釣り竿を持って行ったらいいかもしれませんね!
あと、「まんぐろーぶがに」というのがおいしいんだそうです。
なんでしょうね。
カニなんでしょうかね。
楽しみです。
もう、早く着いてほしいです。





橘花

 第1艦隊は明日、トラック基地に入港。
桜花提督はもう、上陸するのが楽しみで仕方が無いといった感じで、あっちこっちでトラック島について聞きまくっている。
そして彼女は最終的に、なぜか銃の手入れを始める。
何事かと思い話を聞いてみると、なにやらトラック島には巨大な人食い蟹がいて、それを倒してくるのだそうである。
全く、誰から吹き込まれたのか。
大体そんな話を信じる彼女も末恐ろしいものである。
とりあえず、危ないので銃は取り上げておく。







皇紀2665年 1月23日


桜花

 第1艦隊はトラック島に到着しました。
早く降りたくてうずうずしてしまいますが、今日は補給物資等の確認作業があるので、外には出られません。
早く降りたいです。
停泊期間は一週間です。





橘花

 トラック基地に入港。
停泊期間は一週間。
桜花提督は外に出たくて仕方が無いらしいが、
私はまた熱い所に行くのかと思うとうんざりである。
保冷剤を確保しなければ。







皇紀2665年 1月24日


桜花

 本日やっとトラック島に上陸する事が出来ました。
東鳥島基地とは対称的に、このトラック基地はまさに天然要塞といった感じです。
とにかくすごいのは、
島を取り囲んで東西60km、南北50kmもあるサンゴ礁の防波堤です。
これ全部、天然なんです。すごいですね。
それで、中の島は九つもあって、主に、東の四季諸島と西の七曜諸島に分かれています。
今回第1艦隊は、四季諸島の春島港に停泊しました。

という事で、
橘花さんとあと衛兵の人達と、それと今日は木島さんも一緒に上陸する事になりました。
いっつも外地ではあまり外に出ない木島さんが、なんで今日は外に出歩くのかと思ったら、この春島の街並み、なんだか木島さんの好きそうな感じなんですね。
とにかくもう、何というか、純和風の老舗の飲み屋街なんです。
帝国からこんなに離れた場所なのに、なんだか異様な感じですが、トラック島の海軍街はもうかなり昔からある歴史深い街なんだそうです。
それで木島さんに「いい店につれて行ってやる」とか言われて来たお店は、なんだか、高級料亭みたいなお店でした。
一瞬、大丈夫なのか心配になりましたが、そう言えば私達って、帝国海軍の将校なんですよね。
海軍将校が3人そろって海軍街に来たからには、やっぱり、
高級料亭に入るのが普通なんでしょうね。
なんだか入るのはちょっと緊張しましたが、料亭の人はとても親切でした。
しかも女将さんは木島さんと顔馴染みたいで、なんだか桜花の事もよく知ってるみたいなんですよね。
木島さん、ここで私の事を結構話してたんでしょうね。
私を見て「かわいー」「かわいー」と連発してました。
そんなに言われると、照れちゃいます。
それで、ここの料理がまた、おいしいんですね。
お刺身とかお鍋とか、もう海産物てんこもりです。
しかも、女将さんは、なぜか桜花が大食いだという事も知ってたみたいで、最後にでっかい天丼も出してくれました。
(しかも、このえび、なんだかやたらでっかいんです。普通のえびじゃないですよね)
もう大満足です。
食べ終わったとき、思わず「ふー」とか言ってしまいました。
桜花はやっぱり、おいしい物がたらふく食べられればそれでもう幸せなんですよね。
今日はそういう感じで、もうおなかがいっぱいになったので艦に戻る事にしました。
観光はまた明日です。





橘花

 今日は桜花提督と木島中将と3人でトラック島春島に上陸。
とにかく熱い。
熱くてなんだか意識が朦朧としてるうちに、
気が付いたら、なにやら高級な料亭らしき場所にいる。
それで目の前になにやら高級そうな料理が並んだりしているが、全く食欲が無い。
結局、全部桜花提督に食べられてしまった。
この人は、この熱い中よくこれだけ食べられるものだ。
それで、
私のこういう状況を察したのか、店の女将が冷たいお茶のような飲み物を出してくれた。
これがなにやら現地で取れる何とかという植物を煎じた物で、
熱中症に効果があるとの事らしい。
それを飲んだからかどうかは分からないが、帰りは幾分楽に歩けた。
でも、とにかく、明日はもう外には出ない。







皇紀2665年 1月25日


桜花

 今日も桜花はトラック島に上陸します。
橘花さんも誘ったのですが、涼しい部屋に閉じこもったまま出てこないので、一人で(あと衛兵の人達と)行く事にしました。
このトラック島はとにかく自然がいっぱいあります。
連合艦隊が母港とする場所は、基本的にそれほど自然が残ってない場合が多いのですが、ここは本当にきれいな自然がいっぱいあるのです。
それで今日はとにかく、自然のきれいな場所に行こうと思ったのですが、やはり私は司令電算機なので、接続できる場所からあまり離れてしまう訳にはいきません。
そういうことで、港の近くの砂浜に行く事にしました。
それで、この砂浜がまた広くって、またばかみたいに走り回った上に、もう波までかぶってびちょびちょになってしまいました。
これはもう、ひどいです。
でも、なんだか、風が気持ちよくって、
それに、海がなんだか、不思議な色をしてるんですよね。
何といったらいいか、緑色・・・でもないし、水色・・・・でもなくて、
例え様がないんですが、とってもきれいなんです。
ずっと見てても飽きません。
それで今日は、気が付いたら日が暮れるまでずっと砂浜にいました。
ほんとはもっと、ずっとここにいたかったのですが、やっぱり、そういうわけにもいきません。
それに、なんだかおなかがすいたので、帰ることにしました。
楽しかったです。





橘花

 今日も桜花提督が外に出ようと誘ってきたが、熱くてとても出る気にはなれない。
それで今日はしばらく部屋に閉じこもっていたが、流石に暇なので、少しだけ甲板に出てみる。
少し風が吹いていたせいか、意外と気持ちがいい。
これなら外に出ても良かったのではないかと、少し後悔。
日も暮れたあたりになって、なにやら小汚いかたまりが司令室に入ってきたかと思ったら、桜花提督である。
これは・・・ひどい。
一体何をやったら一日でここまで汚くなるのか。







皇紀2665年 1月26日


桜花

 今日は橘花さんも一緒に上陸するといったので、一緒に行く事にしました。
それで、いろんな所に行こうかとも思ったのですが、結局なぜかまた、昨日と同じ砂浜に来てしまいました。
ここはなんだか、不思議な場所です。
ただ座っているだけでも気持ちがいいんですよね。
だから、ずっと、かき氷を食べたりしながら、橘花さんと二人で座っていました。
(ほんとはまた走り回ろうかとも思ったのですが、この服まで汚してしまったらもう着る物が無くなってしまうのでやめときました)
ここにいると、なんだか妙に、今まで自分がいた場所が狭く感じます。
なぜか、もっと遠くに行きたいような気になります。
結局、私達って、電算機の接続できる範囲内でしか、自由に動けないんですよね。
そのことが、少し、寂しいような気がしてきます。
でも、そんな事考えるのは良くないですよね。






橘花

 今日は、少しだけ外に出てみる事にした。
それで桜花提督に付いて行ったらまた、あっちこっちといろんな場所に行くことになるかと思っていたのだが、なぜか今日は、彼女はずっと砂浜に座って海を見ている。
こんな静かな桜花提督は始めて見た。
結局今日は、日が暮れるまでずっと砂浜にいた。
それにしても、砂浜で海を見ている桜花提督の表情が、少し寂しげに見えたのはなぜだろうか。







皇紀2665年 1月27日


桜花

 すっかり忘れていましたが、桜花は「まんぐろーぶがに」が食べたいのです。
という事で、今日は橘花さんと一緒にまんぐろーぶがにを探しに行く事にしました。
先ずは情報収集の為に、街でいろいろと話を聞いて回りました。
街の皆さんはとっても親切で、ただ話を聞きに来ただけの私達に、お店に置いてある食べ物とかをただでくれたりしました。
ほんとにありがたいことです。
でも、まんぐろーぶがにがどこにいるのかは街の皆さんもよく分からないみたいです。
昔はどこでもよくとれたそうなんですが、最近はめっきり数が減ったそうで、そうそう簡単には見付からないんだそうです。
少し残念ですが、いろんなお店に回っていろいろな食べ物を頂いているうちに、なんだかおなかがいっぱいになってきたので、今日は帰ることにします。
明日こそは、まんぐろーぶがにが見付かればいいです。





橘花

 今日は桜花提督が、街になにやら怪しげな蟹を探しに行くと言うので付いて行くことにした。
しかし、砂浜と違って、街は暑い。
しばらく歩いていると、だんだん意識が朦朧として来る。
とりあえず近くの涼しげな茶店に入り、冷たい物でも飲んで時間を過ごしてるうちに、なんだかどうでもよくなったので艦に戻る。
結局蟹は見付からなかったらしい。







皇紀2665年 1月28日


桜花

 今日も桜花は、まんぐろーぶがにを探しに街に出かけました。
トラック島を自由に出歩けるのは今日が最後になるので、今日こそは絶対に見付けなければなりません。
それで、橘花さんも誘ったのですが、なんだか暑さにすっかり参ってしまったらしく、涼しい部屋から出てこないので、今日は桜花だけで探します。
でもやっぱり、まんぐろーぶがにはなかなか見付からないのです。
夕方近くまで歩き回ってもう半分諦めかけてた時に、街でばったり木島さんに会ったので、ついでに木島さんにも聞いてみました。
そしたらなんと、この前行った高級料亭に、まんぐろーぶがにはいるのだそうです。
早速、木島さんと一緒にまたその高級料亭に行ってみたら、女将さんが快くまんぐろーぶがに料理を振舞ってくださいました。
それで、出てきた料理を見てびっくりです。
これ、この前食べたでっかい天丼じゃないですか!
そうなんです。
この上に乗ってるのは、でっかいえび天ではなくて、まんぐろーぶがにの天ぷらだったのです。
そういわれてみれば、これ、形がなんだかカニっぽいです。
つまり桜花がこの二日かけてずっと探していたまんぐろーぶがには、実はもう、桜花は食べていたのです。
なんだか虚しくなってきます。
でも、まんぐろーぶがに天丼はやっぱりおいしかったです。






橘花

 今日はなんだか具合が悪いので一日中部屋にいる。
桜花提督の探していた蟹はどうやら見付かったらしい。
それは良かった。







皇紀2665年 1月29日


桜花

 今日でトラック島ともお別れです。
なんだかちょっと寂しいですね。
今でも目を閉じればなんだか、砂浜の景色が浮んでくる様です。
第1艦隊は呉に戻ります。





橘花

 第1艦隊はトラック基地を出港。
呉に向う。
桜花提督はなんだか寂しそう。







皇紀2665年 1月30日


桜花

 本日、桜花は整備の為、一足先に航空機で本国に帰る事になりました。
この前集中整備を行ったばかりだというのに、なんででしょうね。
特に問題は無いと思うのですが。
まあ、私達64式電算機は、まだまだ試験配備という事なので、いろいろこまめに点検はしなければならないんでしょうね。
第1艦隊へはいつ頃帰ってこられるのでしょうか。





橘花

 桜花提督は本日より、整備の為航空機で本国に移送されるそうである。
恐らく、この前の集中整備の際に付加されたと思われる新装備の点検をするのではないだろうかと思われる。
という事は、
当然彼女の後に私も行く事になるのだろうが、そういう連絡は今のところ入っていない。
何にしても、彼女にしばらく会えないというのは、少し寂しい。







皇紀2665年 1月31日








橘花

 本日、駆逐戦隊より「艦影らしき物見ゆ」との連絡が入る。
近距離の為、艦隊は即座戦闘態勢に入るが、直後、軍令部より警戒を解除する様指示が来る。
彼らの説明によると、なにやら帝国海軍の新兵器が近海にて試験航行を行っているとの事。
実戦武装を施してある艦隊の側でそういう事をするのであれば、事前に連絡すべきである。
軍令部に抗議文を送る。







皇紀2665年 1月32日








橘花

 昨日の新兵器接近の件から、なんだか落ち着かない。
妙に不安。







次の日記を読む

戻る

inserted by FC2 system