皇紀2664年 11月1日
















皇紀2664年 11月2日


桜花

 模擬艦隊戦訓練は終了しました。
結局、相手の艦隊は捕捉することができませんでした。
最後は急遽橘花さんに第13艦隊の司令艦「羽黒」に移ってもらって、二人とも直接続して探索したのですが、艦艇数がそれほど多くないので、結局あまり意味がありませんでした。
戦うどころか、相手を見付けることもできないなんて・・・
なんだか悔しいです。
それにしても、結局、相手の艦はなんだったのでしょうか。
これほどまでに隠密性が高い艦があるなんて。
いや、でも、存在する以上は何らかの捕捉手段があるはずです。
やっぱり、そういう、相手の情報とかはきちんと教えてもらわないと。
相手の情報が最初から全く与えられていない状態で戦うなんて、やっぱり、無理ですよ。
特に、経験の少ない私は情報から判断することしかできないんですから。
・・・あ、でも、それって、いいわけなんでしょうかね・・・
既存の方法でだめな時は、新しく発想とかしないとだめなんでしょうかね。
情報からしか判断できないのであれば、人型にする意味が無いですもんね。
やっぱり、私の力不足という事なのでしょうか・・・





橘花

 模擬艦隊戦、終了。
結局私は第13艦隊に移り、各個探索を試みるが敵艦は捕捉できず。
相手は恐らく、探知装置を無力化する何かを装備した新型艦だろう。
こちらの探知能力を超えた兵器を相手にすれば、捕捉できなくて当然である。
損害が無かっただけでも良しとしなければ。
第1艦隊に戻り飛鳥庵に行ってみると、桜花提督がなにやらまたやけ食いをしている。
そこまで悔しがる事でもないと思うのだが。
でも、彼女のこういう所が、なんだかかわいいと思う。
今日は私も一緒に天蕎麦を食べる。







皇紀2664年 11月3日


桜花

 第1艦隊は補給の為、東鳥島に向います。
補給といってもそれほど燃料は消費していないのですが、木島さんが言うには、基幹艦隊はちょくちょく前線基地などに行ったりした方が、双方士気が上がっていいんだそうです。
第13艦隊は今日いっぱい護衛の任務を受け持った後、母港トラック基地に帰りました。
そういえば私、東鳥島に行くのは始めてなんですよね。
話によると、島のほぼ3分の2が人工的に拡張された要塞島なんだそうです。
そしてなんと、今回桜花は上陸許可が出たんです。
これは楽しみですね。
早く東鳥島に行きたいです。





橘花

 第1艦隊は補給の為東鳥島に向う。
そして我々電算機には上陸許可が下りる。
桜花提督はもう、おおはしゃぎである。
昨日はあんなに落ち込んでいたのに。







皇紀2664年 11月4日


桜花

 今日は特にすることが無かったので、甲板に出てとり達にえさをあげたりしてました。
結構南下してきてるのでそれなりに暖かくなってきたのですが、やっぱり甲板は寒いです。
それで今日は午後から飛鳥庵に行ったのですが、なんと、橘花さんが何か食べていました。
べつに驚くことでもないのですが、橘花さんが私より先に飛鳥庵に来て何かを食べているというのは初めてだったので、ちょっと驚きました。
(だいたい私が何か食べてたら橘花さんも来て何かちょっとだけ食べたり食べなかったりするのが普通だったので)
なんだか最近、橘花さん、よく食べるようになりましたね。
これは良いことだと思います。





橘花

 最近なんだか、食欲がでてきた。
今日は飛鳥庵でカレー南蛮蕎麦を食べてみる。
なかなかいける。







皇紀2664年 11月5日


桜花

 今日、東鳥島周辺警備の第12艦隊と合流しました。
明日、東鳥島基地入港の予定です。
楽しみですね。
開発者の人から聞いたのですが、この前の集中整備の際に一部改良したことによって、私達は上陸する時にいちいち記憶情報の移動をしなくてもよくなったんだそうです。
どうしてそういう事が出来るようになったのかは私も分からないのですが、これでとにかく、かなり自由に上陸が出来るようになります。
でも、歩き回れるのは警戒厳重な基地施設内だけなんですが。
誘拐とかされちゃったら大変ですからね。
そうそう、自分で言うのもなんですが、私って結構高いんです。
なんと、単価、180億円もするんです。
すごいですね。
これは、開発に多額の予算をつぎ込んだわりに生産機数が少ないというのがその原因で・・・
もっとたくさん作られるようになれば、もっと単価も安くなると思うのですが。
とにかく、がんばって180億円分の仕事をしないといけませんよね。
でも、180億円分って・・・見当もつきませんよね。





橘花

 本日、第12艦隊と合流。
明日には東鳥島入港の予定。
甲板に出ると、なんだか奇妙な鳥がいる。
東鳥島に生息する鳥だろうか。







皇紀2664年 11月6日


桜花

 本日、東鳥島基地に入港しました。
島のほとんどが人工的に拡張された要塞基地だと聞いていたので、もっと機械っぽい感じの島かと思っていたのですが、呉港よりもごちゃごちゃしてなくて、なんだか、意外とすっきりしたきれいな島です。
もともとこの島は、空港を作ったらもう一杯になってしまうほどの小さな島だったそうですが、30年くらい前から機動艦隊配備計画が開始され、大規模な埋め立て工事が行われたそうです。
それで今では帝国海軍3艦隊が母港とする海上拠点基地となったわけですが、未だに機動艦隊の全艦を一度に収容することは出来ず、拡張工事は続けられているそうです。
それで、第1艦隊は今日から一週間こちらに停泊して全艦補給を行います。
桜花は明日から上陸です。
ほんとに楽しみで、うずうずしてしまいます。
でも今日は、補給物資の確認作業があるので、一日中部屋ではんこぺったんです。
港で補給をするたびにこの作業をしなければならないのですが、これはほんとに面倒です。
電子情報でさっと流せないものなのでしょうか。





橘花

 東鳥島に入港し、第1艦隊は全艦補給を行う。
停泊期間は一週間。


























































皇紀2664年 11月7日


桜花

 今日、ついに東鳥島に上陸しました。

そして、今までは軍令部によって上陸できる時間はきちんと決められていたのですが、今回は、なんと、自分の好きな時間だけ自由に上陸できることになりました。
これほど嬉しいことが他にあるでしょうか。
しかも、橘花さんも一緒に上陸してもいいみたいです。
でもこれでは緊急事態に対応できないのではないかと思ったのですが、なんと東鳥島基地にも電算機の接続端末がいくつかあって、そこから艦隊指揮が出来るのだそうです。
これは便利ですね。
ということで、今日は橘花さんと一緒に、あと衛兵に志願してくださった方々も一緒に(結局やっぱり大勢になってしまいました)行く事にしました。
やっぱり、陸は広いですね!
もう走り回りたくなってしまいますが、ここは最前線基地ですからね。
連合艦隊提督がばかみたいに走り回ったら、士気に影響するかもしれません。
(でも気が付いたら結局走り回っていました)
そして次は、東鳥島の名物に海鳥塩焼き串というのがあるそうなので、それを食べに行く事にしました。
それで、地元の方にお店の場所を聞いてみたのですが、意外なことにその方、私のことをよく知っていらっしゃるみたいなんですね。
私、ここに来たのは始めてのはずですが、なんででしょう。
しかも気が付いたら、回りは地元の方々でいっぱいになっていて、なぜかサインをしたりとか、写真を撮られたりとかいっぱいしてしまいました。
皆さん、なんで私のことをそんなによく知ってらっしゃるのでしょうか。
その後、地元の方から聞いた海鳥塩焼き串のおいしいお店に行って、早速塩焼き串を頂きます。
これがまた、おいしいんですね!
本日とれたての焼きたてという事で、ほんと、最高ですね!

でも、この鳥、私の頭によくとまるあのとり達と同じ種類の鳥だということを聞いて、ちょっと複雑な気持ちになりましたが、ほんとにおいしかったのでたらふく食べてしまいました。
(あとでとり1にあったとき、なんだかあわす顔がありませんでした)
そんなこんなであっという間に一日が終わってしまったのですが、
上陸は明日も出来ますからね!
今日はゆっくり寝ます。





橘花

 本日、桜花提督と共に、東鳥島に上陸。
桜花提督はもう、おおはしゃぎである。
一体何がそんなにおもしろいのだろうか。
そしてなぜか上陸直後、地元の人達が大勢集まってきて
写真を撮られたりサインをしたりする破目に。
それでも桜花提督は大喜びである。
さらに彼女は、なんだか怪しげな串焼きなどをたらふく食べて、結局最後はまた腹痛をおこして、衛兵に担がれて飛鳥に帰る。
この人は、おいしい物があるとどうしてそう身の程も知らずにたらふく食べるのか。







皇紀2664年 11月8日


桜花

 今日も橘花さんと東鳥島に上陸しました。
今日は東鳥島のもとから島だった部分まで行ったんですけど、この辺は貴重な海鳥の生息地という事で、自然がいっぱい残してあるんですね。
私は自然の草の上を歩くのは始めてだったので、これは貴重な経験でした。
それで、ちょっと小高くなった所に、でっかい石碑が立てられていたので、これはなんなのか基地の人に聞いてみると、これは「海戦勝利記念碑」という物だそうです。

なんだかよく分かりませんが、御利益がありそうなので拝んでいきました。
それで帰り際に大きな売店があったので寄って行きました。
そしたらお店の方に、またサインを下さいといわれたのでサインをしたのですが、その方、どう見ても民間の方なんですよね。
なんで私のこと知ってるのでしょうか。
そう思って近くにおいてあった芸能雑誌を見てみると、なんと、びっくり、私が載ってるじゃないですか!
これは一体どういうことなのでしょうか!
さらに、桜花の投稿写真集みたいなのもあるじゃないですか!
(結構かわいく写ってたのでよかったですが)
こんなことがあってよいのでしょうか!
しかもこの写真集、よく見たら帝国海軍発行じゃないですか!
私って、海軍の最重要秘密兵器じゃ無かったのでしょうか!
全く・・・軍令部は何を考えているのでしょうか。
とりあえず、この雑誌は買って帰る事にします。





橘花

 今日も東鳥島に上陸する。
また大勢に囲まれるかと思うとうんざりするが、桜花提督が行こうと誘うので行く事にする。
草原やら石碑やら、特におもしろいとも思わない物に彼女はものすごい感動を示す。
よく疲れないものだ。
そして帰り際に立ち寄った売店で、妙な物を発見する。
なんと我々人型電算機の写真が載っている芸能雑誌である。
店員の話によると、この雑誌は一般に市販されている物だという。
さらに驚くべきことに、帝国海軍発行の物まである。
まさか我々64式電算機が、海軍の好感度向上のための宣伝材料に使われているとは。
桜花提督もかなり怒っている様だったが、なぜか自分の載ってる雑誌を全部買って帰る。
・・・本当は嬉しいのではないだろうか。







皇紀2664年 11月9日


桜花

 今日も東鳥島に上陸しようと思って橘花さんを誘ったのですが、彼女は行かないというので一人で(あと衛兵の人達と)行く事にしました。
私って、結構有名なんだってことを知ってから、なんだか人前を歩くのが緊張します。
でも、なんだか、ちょっと嬉しいような気がするんですね。
私って、結構、目立ちたがりなのかもしれません。
それで今日は、基地施設内ではめずらしい、ちっちゃい少女に会いました。
私の事をよく知っているらしく、おもいっきり手を振ってくれたんですけど、この少女、なんか格好が変なんですよね。
まず髪の色が、青っぽいような銀色っぽいような、不思議な色なんですよね。
あと服装も、なんか、海軍制服みたいなのを着てて、海軍の肩章みたいなのを付けてるんです。(しかも少将)
今市民の間ではこんな格好が流行ってるんでしょうかね。
でも、海軍基地の中で海軍の肩章みたいなのを付けるというのは、
私はどうかと思うんですけどね。
親の方は注意とかしないんでしょうかね。





橘花

 今日も桜花提督は東鳥島に上陸するというが、私はもう流石に結構なので、艦内で待機する。
それで、飛鳥庵で昨日桜花提督が買ってきた雑誌を読んでみる。
我々のことがいろいろと書かれている。
特にペルシャ湾作戦については、かなり良い様に誇張されて書かれているが、まあこれは国民意識を高める為の報道戦術だろう。
あと、これだけ騒いでいるので当然、欧米軍にも我々の情報は伝わっている。
ただ文面から判断すると、
彼らは我々64式電算機をそれほど重要な目標だとは思っていないらしい。
彼らが帝国海軍の新兵器をあまり重要視しないというのは太平洋戦争以前からの傾向らしいが、我々電算機を隠さずにおおっぴらに人目にさらすことによって相手を油断させるというのは軍令部の作戦なのだろうか。
まあ、実際はどうだか分からないが。







皇紀2664年 11月10日


桜花

 今日も東鳥島に上陸したんですが、とても恐ろしい生き物に出会ってしまいました。
それは犬です。

警備厳重な帝国海軍基地内で、あれほど恐ろしい生き物が生息してるなんて、こんなことがあってよいのでしょうか。
どんなに逃げても、もう、ものすごく吠えながら追いかけてくるのです。
しかも、連合艦隊提督がこれほど大変な状況になっているのに、衛兵の人達は笑ってるだけで助けてくれないんです!
しばらくしてからやっと助けてくれたんですが、なんと彼らは、私が犬と遊んでいると思ったのだそうです。
私は必死で逃げていたというのに、どうして遊んでると思うのでしょうか。
さらに驚くべきことに、犬は喜んでいたんだそうです!
喜んでいてあれだけ恐ろしいのであれば、怒って追いかけてきたらどれほど恐ろしい物なのでしょうか。
もう今日は怖いので、すぐに戦艦飛鳥に戻りました。
ほんとに恐かったです。





橘花

 桜花提督はまた上陸するといって艦を降りたのだが、今日はすぐに帰ってきた。
なぜか、ひどく泣いている。
何があったのか聞いてみると、犬に追いかけられたということらしい。
しかも、衛兵は笑うだけで助けてくれなかったのだそうだ。
それは、確かに・・・笑える場面だ。
でも彼女は本当に恐かったらしく、なかなか泣き止まないので、飴をあげたりしてみる。
すると、少し元気になった。







皇紀2664年 11月11日


桜花

 また犬に遭遇したらどうしようかと思ってちょっと恐かったのですが、この島に自由に上陸できるのは今日が最後になるので結局また上陸してしまいました。
海鳥塩焼き串も今日で最後になってしまうので、またたらふく食べてやろうと思って焼き鳥屋に行ったのですが、そこに、この前出会った青い髪の少女がいました。
今日は海軍制服みたいなのは着てなくて、普通に青いワンピースを着てました。
そんな事よりまず驚いたのは、とにかくその少女、ものすごく食べるんですね。
人の食べるのを見て私が唖然としてしまったのは始めてです。
そして彼女はたらふく食べた後、
何ともない顔をしてそのまま店を出て行ってしまったんですね。
これは、「食い逃げ」ではないのでしょうか!
でもお店の人に聞いてみると、後でまとめて海軍に請求するからいいんだそうです。
ちょっと安心しましたが・・・なんで海軍に請求するのでしょうか。
ひょっとしてあの少女は、海軍の偉い人のお嬢さんなのでしょうか。





橘花

 桜花提督はまた上陸したらしい。
毎日そんなに出歩いて、よく疲れないものだ。
私は見晴らしの良い第一艦橋で茶などを飲みながら一日中また雑誌を読んでいた。
桜花提督が大量に買い込んだ雑誌も、ほとんど読んでしまい、また最初から読み直したりしていたが、大体どの雑誌も書いてあることはほぼ同じである。
一番気になるのは、欧米軍が我々電算機のことをどう評価してるかという事だが、それらについてはどの雑誌もあまり書かれてはいない。
まあ、芸能雑誌に軍事評価などあまり載せたりはしないだろうが。







皇紀2664年 11月12日


桜花

 本日、第一艦隊は東鳥島を出港し、呉に帰ります。
なんだか、いろんな所へ行ったせいか艦内が狭く感じます。
やっぱり船を出ていろいろと歩き回るということはいい事ですね。
視野が広くなります。
でもちょっと、艦内にいるのが退屈に感じます。





橘花

 本日、第一艦隊は東鳥島を出港。呉に向う。
桜花提督は、なんだかちょっと、寂しそうな感じ。
島で出歩いたりしたのがよほど楽しかったのだろう。







皇紀2664年 11月13日


桜花

 今日は特にすることが無かったので、この前東鳥島で買ってきた雑誌を読んでました。
でも私って、ほんとに読解力が無いんですね。
こんな娯楽雑誌でも、文章の所を読むと本当に疲れてしまいます。
だから写真をぱらぱら見たらもう満足してしまったので、雑誌は全部木島さんにあげようと思ったんですが、なんと、木島さんはこれらの雑誌を全部持ってるんだそうです。
さらに驚くべきことに、木島さんは前々から、桜花が載ってる雑誌とかを結構買い集めてらっしゃったみたいなんですね。
桜花が雑誌に載ってるって事を知っているのなら教えてくれれば良かったのに、と言ったら、「艦内では有名な話だからもう知ってるかと思った」んだそうです。
なんと、桜花が載ってる雑誌って、戦艦飛鳥の艦内売店にも売ってるんですね!
これは驚きです。
これからは毎月チェックします。





橘花

 最近寒いので、飛鳥庵で熱い茶を飲むことが多くなった。
私が茶を飲んでいると、なぜか艦長もとなりで茶を飲み始める。
この人は、本当に物静かである。







皇紀2664年 11月14日


桜花

 軍令部からの指示により、桜花は明日から艦隊の遠隔司令試験というのをやります。
これは、戦艦飛鳥と他艦隊の司令艦を衛星回線で接続することにより、他艦隊にも人型電算機が接続されてるのと同じような状況にする事が出来るという方法なんだそうです。
前回の集中整備の際の一部改良で、こういう事が出来るようになったのですが、
これは便利ですね。
でもやはり、衛星無線というのは妨害を受けやすく、また、それなりの軍事力を持った国を相手にする場合、戦闘初期段階で衛星は撃破されてしまう可能性が高いので、あまり信頼できる戦法ではありません。
要するに、人型電算機の配備の遅れを補う為の応急手段という訳なんですね。
以前、橘花さんはこの遠隔司令試験というのをやったことがあるのだそうですが、話によると、普通の直接続司令とあまり変わりはないんだそうです。
それなら安心ですね。





橘花

 今日、桜花提督が艦隊の遠隔司令について聞いてきた。
そういえば以前私もそれをやったことがあったような気がするが、特に普通の直接続司令と変わりないので、その様に答えておいた。
この遠隔司令というのは便利な方法であるとは思うのだが、場合によっては、むしろ我々の仕事が増える様な気がする。
それにしても、新型の人型電算機はいつになったら配備されるのだろうか。







皇紀2664年 11月15日








橘花

 桜花提督は今日から直接続をして遠隔司令試験に入る。
どのくらいの期間行うのかは私は聞かされていない。
恐らく一週間程度だと思うが・・・







皇紀2664年 11月16日








橘花

 桜花提督が動かなくなると、やっぱり、少し、寂しい。
今日は結局一日中、彼女の側にいる。
彼女は全く動かないのだが、時折ものすごく熱くなったりするのでその都度保冷剤をあててみたりする。
そんな私を見て木島中将は「看病してるみたいだ」と言って笑う。
別に可笑しくも無いと思うのだが。







皇紀2664年 11月17日








橘花

 本日、第一艦隊は瀬戸内海に入る。
明日、呉に入港予定だが今回補給は行わないので、旗艦と護衛の駆逐艦1隻のみの入港。
空母は艦載機を載せたまま洋上待機。







皇紀2664年 11月18日








橘花

 戦艦飛鳥は呉に入港。
重要事項等の連絡を受け、即座、出港。
念願の防寒着も同時に支給される。
私の物と桜花提督の物。2着ずつで合計4着。
流石に暖かい。







皇紀2664年 11月19日








橘花

 第一艦隊は瀬戸内海を離れる。
次の目的地はオホーツク海。
それにしても、寒そうだ。







皇紀2664年 11月20日








橘花

 桜花提督は、まだ遠隔司令が終わらない。
最近彼女の体は熱くなる事は無くずっと冷たいままなので、少し心配だ。
暖めた方が良いかとも思うが、電算機に無意味に熱を与えるのはよくないので。
ただ、見てる。







皇紀2664年 11月21日


桜花

 遠隔司令試験は終了しました。
正確には終了したわけではなく途中で切り上げたみたいです。
なんだかよく分かりませんが、何か緊急事態が発生したらしく、第1艦隊は第7機動艦隊と合流する為北上しています。
とにかく寒いです。
そう思っていたら、橘花さんが新しい防寒着を持って来てくれました。
胸の所がちょっときついですけど、とってもあったかいです。
それになんだか、わたわたが付いていて、結構かわいいんですよね。

何やら、私が集中整備をしているときに橘花さんが補給部に発注しといたんだそうです。
流石は橘花さんです。
でも、なんと、私はその新しい防寒服に本日早速うどんのつゆをこぼしてしまいました。
もう泣きそうです。





橘花

 桜花提督は遠隔司令試験を終了。
正確には終了したわけではなく途中で切り上げたらしい。
それで、なんだか彼女はとても寒がっていたので、新しい防寒服を渡す。
彼女はその服が気に入ったらしく、大はしゃぎでいろんな人に着て見せたりしていた。
何がそんなに嬉しいのか分からないが、喜んでもらえれば、まあ。







皇紀2664年 11月22日


桜花

 本日、軍令部から作戦の概要の説明がありました。
なんだか北の海では厄介なことになってるみたいです。
なんと、東ロシア連邦の戦略型潜水艦が3隻、反乱を起こしてしまったんだそうです。
それで彼らはオホーツク海に潜行し、弾道弾の照準を日本にあわせて、「東ロシア連邦の大東亜連合からの独立と、西ロシアとの統合」を要求してるのだそうです。
でもほんとは、これ自体はそれほど厄介な事ではなくて(彼らは気付いていませんが、現在、この反乱を起こした3隻の潜水艦は全て帝国海軍の捕捉状態にあり、弾道弾を発射する前に確実に撃沈できるんです)本当に厄介なのは、また、やっぱり国際情勢なんですよね。
20年ほど前から東ロシア連邦は大東亜連合に加わり、キューバ戦争の痛手から少しずつ立ち直りつつあるのですが、最近になって元ソヴィエト軍関係者(特に幹部)を中心に、また強いソヴィエトを復活させようと思っている方々が出てきたみたいなんですよね。
東ロシア市民全体で言うとごく少数なのですが、やはり実戦力を持った方々の反感を買うのはあまり良くありません。
稼動率のきわめて低い旧式装備でも、テロは起こせますからね。
そういう事で、我々帝国海軍は色々な状況を考慮して、現在「撃沈できるけど攻撃できない」状態になっている訳です。
なんだか実戦任務ってこんなのばっかりですよね。
和を重んじる大日本帝国としては、「説得」という手段での解決を望んでいますが、最悪の場合は、まあ、東ロシア海軍の手によって治めて頂きたいというのが本音です。
でも、東ロシアに戦闘の出来る艦ってどれほどあるのでしょうか。
なんだかまた時間がかかりそうです。





橘花

 軍令部から司令が入る。
目標は反乱を起こした東ロシア海軍の潜水艦である。
しかし、国際情勢に対する考慮から、現在は攻撃が出来ないという事らしい。
何やらまた厄介な事にならなければいいが・・・







皇紀2664年 11月23日


桜花

 オホーツク海にて、第7艦隊と合流しました。
現状確認の後、第7艦隊は第1艦隊の隷下に入り、全艦隊指揮は戦艦飛鳥で行います。
それで、例の潜水艦ですが、カムチャッカ半島先端部やや西側の海域で50海里程の間隔をあけて2隻海岸線に沿うような隊形で着底しています。
あともう1隻は樺太の東の海域をぐるぐると行ったり来たりしているみたいです。

昨日の情報だと、3隻とも戦略型潜水艦だと聞いていたのですが、実際には弾道弾を発射できる艦はカムチャッカ半島近くにいる1隻だけだということです。
どちらにしろさほど状況に変化はありません。
我々帝国艦隊は、とりあえずあまり刺激しない様に北海道の近海で待機です。
今、日本と東ロシアの政府の方々が彼らに説得を試みていますが、何分交信もろくに出来ない状況だということで・・・
とにかく大変です。





橘花

 帝国第7機動艦隊と合流。
北海道北部近海にて待機。
とにかく寒い。







皇紀2664年 11月24日


桜花

 第1及第7艦隊は、位置動かずそのままです。
話によると日本国内でも、もうこの事件の情報は流れてしまってるそうなんですが、国民は別に動揺することもなく、いつも通り平和な生活を送っているのだそうです。
流石は帝国臣民・・・
と、言いたい所ですが、野田さんは「国民は平和ボケしている」と言って怒っていました。
まあ確かに、国の領土が弾道弾の射程距離内に入っている訳ですから、もう少し危機感というのを持ってもいいのかもしれませんね。





橘花

 艦隊は動かず。位置そのまま。
とても寒いので、天蕎麦を食べる。







皇紀2664年 11月25日


桜花

 今日は朝から本当に寒いです。
あんまり寒いので、今日は甲板に出ないようにしようと思ったのですが、窓から外を見ると雪が降っていたのでやっぱり出る事にしました。
ひょっとしてこれは、私の人生の初雪かもしれませんね。
私はもう、うれしくてうれしくて、またばかみたいに走り回ってしまいました。
そしたらおもいっきり転んでしまいました。
すごくいたいし、恥ずかしかったです。
でも、なんだかうれしいんですね。





橘花

 今日は雪が降った。
甲板上は恐ろしく寒い。
しかし桜花提督は外に出て走り回っている。
すごい人だ。







皇紀2664年 11月26日


桜花

 今日もすごく寒いです。
甲板にはすっかり雪が積もってしまいました。
それで甲板要員の方々が除雪作業をしていたので、桜花も手伝う事にしました。
でも気が付いたら、いつの間にか、除雪作業が雪だるま製作作業に変わっていて、もう、甲板要員総出で全甲板の雪を集めてきて、それででっかい雪だるまを作って艦首に飾る事にしました。
完成した時には、砲塔要員の方々も集まってきて、みんなで万歳三唱です。
でもそのあとみんなそろって野田さんに怒られました。
とにかく、艦首の菊紋章の上に雪だるまなどを置くのはとても恐れ多い事なんだそうです。
確かに・・・その通りだと思います。
結局、副砲塔前の目立たない所に置く事にしました。
今日はほんとに楽しかったです。





橘花

 寒い。







皇紀2664年 11月27日


桜花

 今日はなんだか橘花さんの様子が変です。
ずっとがたがた震えています。
歩いてもなんだかまっすぐ歩かずに、壁にぶつかったりしてます。
これはちょっと異常だと思って、開発部の方々に様子を見てもらったのですが、橘花さんは電算機異常ではなくて「風邪」なんだそうです。
そうなんですよね。私達64式電算機は、基本構造は普通の人間と変わらないので、風邪をひく事だってあるんですよね。
結局今日は、橘花さんは医務室で薬をもらってゆっくり横になってもらう事にしました。
最近とても寒いので、桜花も気を付けなければなりません。
いざという時に、司令電算機が二人とも風邪を引いていたら大変ですもんね。
今日から甲板に出た後は、うがい手洗いをきっちりする事にします。





橘花

 ・・・・・







皇紀2664年 11月28日


桜花

 橘花さんは元気になったみたいです。
良かったですね。
でも今日は大事を取って仕事は休んでもらう事にしました。
橘花さんはすごく働きたいみたいでしたけど。





橘花

 昨日、私は熱を出して寝込んでしまったらしい。
本当に私の体は環境の変化に対応できない。
派遣先が変わるたびに機能に支障が出るのであれば、これは欠陥機と言わざるを得ない。
・・・私は欠陥機なのか・・・







皇紀2664年 11月29日


桜花

今日また雪が降ったので、ちょっととけかかっていた雪だるまを補強しました。
そろそろこの雪だるまにも名前をつけてあげたいですね。
そんな事を言っていたら、木島さんが「桜花は成長したなぁ」などと言うんです。
私の何を見て成長したというのでしょうか。
さっぱり分かりません。





橘花

 桜花提督は、雪が降っているというのにまた甲板に出ている。
私も外に出ようと思ったが、死ぬほど寒いのでやめておく。
艦長がなにも言わず、くず茶というのを注いで私の前に置く。
これは、飲めということなのかと思い、飲んでみる。
とても体が温まる。
これは良い。







皇紀2664年 11月30日


桜花

 敵潜水艦に動きがありました。
ゆっくりと南下しています。
これがこのまま南下し、帝国の領海に入ってくるようなことになると、これは本当に撃沈しなければならなくなります。
しかし、軍令部からは攻撃の禁止が言い渡されています。
一体どうしろというのでしょうか。





橘花

 敵潜水艦が微速で南下を始める。







皇紀2664年 11月31日








橘花

 敵の行動を警戒して、桜花提督は直接続司令に入る。
私も遠隔司令で第7艦隊の指揮を行う。







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