藤花
先ほど、お世話をしてくださってる整備の方に聞いたのですが、
私は、ここで作られたものなのだそうです。
それはごく最近の事なのだそうですが、私はもっと以前から生きていたような気がします。
・・・なぜでしょう。
この・・・なんともいえぬ違和感と・・・思い出せそうで思い出せない記憶の断片を探しているような・・・
変な感じ。
・・・ていうか・・・ここ、どこ?
なんだか、妙に部屋っぽい部屋。
窓も無いのにカーテンだとか、料理するわけでもないのにキッチンとか、ソファーとかクッションとか。
なんだか・・・がんばって部屋っぽくしてるっていう感じ。
すこし、違和感を感じます。
・・・でも・・・そのなかでひと際・・・そう、あれは・・・
鏡。
なんとなく、それを見るのは怖かったんだけど・・・
でも、すこしだけ、見てみると・・・
・・・やっぱり・・・
鏡の中には・・・見知らぬ顔が・・・
私を見ているのです。
・・・・・私は・・・・
・・・・急に恐ろしくなって・・・・
その鏡をとにかく遠くへ投げ飛ばしてやりたくて・・・
それは壁に当たって粉々になってしまった。
すると、その音を聞きつけて、整備の人達が何人か部屋に入ってきて、
私を押さえつけようとする。
彼らは私に、何か言ってるんだけど・・・
全く聞き取れない。言葉の意味が分からない。
だから私は大きな声で、
「私を元の場所に戻して!」
って、叫ぶ。
・・・・自分でも・・・その意味はよく分からないんですが・・・
とにかく何度も・・・私は・・・叫んでいる。
「私を元の場所に戻して!」
「はやくもどして!」
・・・・そもそもこれは・・・私の意思なんでしょうか。
私はいったい・・・どこに戻りたがっているのでしょうか。
全てに感じる、違和感。
自分自身に感じる違和感。
なんだか、自分のなかにもうひとり誰かがいるような、そういう感じです。
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