皇紀2666年 6月1日






















皇紀2666年 6月2日






















皇紀2666年 6月3日






















皇紀2666年 6月4日


桜花

 整備の為接続を解除しています。
前回の整備終了直後に軍令部から注意事項が入ってきて、例の、敵役潜水艦の行動パターンから機雷の位置を予測する方法は使ってはいけないと言われてしまいました。
確かに、まあ、実際の掃海作戦では近くに敵潜水艦が航行してるとは限りませんし。
ということで、模擬機雷を再び散布して訓練期間が一週間延びてしまいました。
なんだかちょっと艦隊の皆さんに申し訳ないですが、旗艦参謀部以外の人たちにはこの件は内緒にしておきます。
でも、使える物は全て使って任務を行うのが司令電算機の役目だと思うんですけどね。





橘花

 整備の為接続解除。
軍令部からの指示で、なにやら今回の司令には「不正」があったので訓練期間を一週間延ばすそうである。
使える物は全て使って状況を有利に運ぶのが司令電算機の役割かと思うのだが。
「不正」とは・・・なんともゲームのルールみたいである。














皇紀2666年 6月5日






















皇紀2666年 6月6日






















皇紀2666年 6月7日






















皇紀2666年 6月8日






















皇紀2666年 6月9日






















皇紀2666年 6月10日






















皇紀2666年 6月11日


桜花

 掃海訓練は本日を以って終了です。
いろいろあって訓練期間が一週間延びたりしましたが、それ以外は特に問題なく、無人潜行探査機と司令電算機の相性も良好でした。
各艦隊は陣形を戻して、各母港に帰還します。
それで、結構長期間の接続だった上に更に一週間延びたので、みなさん桜花の体調を心配してくださったのですが、意外と桜花は元気なんです。
なんか、倒れる前より元気かもしれません。
何ででしょうね。
食欲もありますし。






橘花

 掃海訓練は本日を持って終了。
参加各艦隊は各自陣形を戻して母港に帰還進路を取る。
第1艦隊は呉に向かう。














皇紀2666年 6月12日


桜花

 第1艦隊は呉に向かい航行中です。
それで今日は特にすることが無いので、久々に「シノ」さんと接続してみようかと思ったのですが橘花さんにとめられてしまいました。
まあ確かに、以前桜花が具合が悪くなったり倒れたりしたのはシノさんと接続するようになってからだし、整備の方々は「機械的な原因ではない」と言っていますが、結局それもあんまり信用できないですし。
ということでシノさんと接続するのはやめておきます。
でも突然連絡しなくなったらシノさん、心配するのではないでしょうか。
それに、これでは海陸軍が連動してうまくやりくりすることができません。
何か、シノさんと連絡できる良い方法は無いでしょうか・・・






橘花

 本日、桜花提督は暇だからという理由で再び陸軍司令機と接続しようとする。
以前の体調不良の原因も未だ定かでないのに、それは少し軽率なのではないかと思い、止める様進言、彼女も素直にそれに従う。
しかしやはり、陸軍機との接続連動はある種有効な手段の一つかと思うので、それを全く行わないようにするというのもやや問題ではある。














皇紀2666年 6月13日


桜花

 今日、休憩室でテレビを見ていたら、ニュースで湾岸事変が終結したって言ってました。
湾岸事変っていったい何なのかと思ったら、ずうっと前に「シーア共和国」の内戦で政府軍を支援するために連合艦隊もペルシャ湾に出動した例の紛争の事なんですね。
あの一連の紛争の事を一般的には「湾岸事変」ってよんでいたのですね。
知りませんでした。
それにしても、シーア共和国の内戦は今までずっと続いていたんですね。
これって結局、あの時連合艦隊を撤収させるのが早すぎたっていう事なんじゃないんでしょうかね。
・・・でも、まあ、平和が戻って良かったですね。





橘花

 桜花提督の体調の件について、それとなく木島中将に話しかけてみる。
最初のうち彼は「疲れがたまっていたのかねえ」とか「桜花ちゃんも意外と気を使ってるようだから」などと、特に差し障りの無い事を言っていたが、部屋に誰もいなくなってからやや小声で「例の部品はしばらく使わねえ方がいいんじゃねえか」と言う。
やはり彼も、陸軍機との接続が桜花提督にとって何らかの悪影響をもたらしている可能性があると考えている様だ。
とりあえず、次の寄港の際に例の「外部の詳しい連中」という方々にもう一度そのへんを聞いて来るそうなので、それまで陸軍機との接続は控える様にすべきというのが彼の意見である。
「外部の詳しい連中」というのが一体どういう組織なのか詳しく聞きたい所だが、聞いても結局面倒を掛けるだけのような気がしたので、やめておく。
とにかく、帝国海軍もきちんと一つに纏った組織ではないという事だろう。














皇紀2666年 6月14日


桜花

 今日はすごい事がありました。
天気がいいので桜花はうめはなと二人で甲板に出て走り回ったりしてたんですけども、そしたら急にすごい風か吹いてきて、桜花の帽子が飛んでいってしまったんです。
それで、帽子は風に乗ってどんどん遠くまで飛んでいって、海に落ちてしまったんです。
これは大変です。
先任の司令長官からもらった、一つしかない帽子なんです。
それでも、帽子を拾うために艦隊を停めるわけにも行きません。
しばらく「また風に乗って戻ってこないかな」とか思って泣きそうになりながらずっと海を見ていたんですけど、やっぱり戻ってきません。
これはもう、あきらめるしかないのでしょうか。
・・・と、思っていたら、なんと「とり1」が帽子をくわえて艦まで持ってきてくれたんです。
ああ、とり1は・・・なんて良いとりなんでしょうか。
毎日エサをやっても一向に桜花の言うことを聞かない駄目なとりだったのに、やっぱりいざというときには桜花の為に働いてくれる立派なとりだったのですね。
桜花はもう嬉しくて、また泣きそうになってしまいました。
・・・それにしても、とり1は・・・
すぐに桜花のもとに帽子を持ってきてくれるのかと思っていたら、帽子をくわえたまま艦の上をくるくる飛び回って、なかなか持ってこないんです。
そのうち艦橋の一番てっぺんに持っていって、他のとり達に見せびらかしたりするんです。
そんな事してないでいいから早く持ってきてほしいと思ったんですが、ほんとにもう、いつまでたっても持ってこないんです。
だから結局、エサでおびき寄せて近づいて来たところをとっ捕まえて無理やり帽子を取り上げてやりました。
そしたらとり1は、まるで「返せ」と言わんばかりに「くけえ!くけえ!」と大騒ぎです。
このとりは・・・いったい何を考えているのでしょうか。
そりゃあ、海から拾ってきてくれた事には感謝しますが、だからって帽子をくれるだなんて思っていたのであれば、ほんとに、見当違いもいい所です。
連合艦隊提督の帽子をいったいなんだと思っているのでしょうか。
やっぱりとり1は、たいして立派なとりでもないのかもしれません。
泣きながら感謝して損しました。





橘花

 今日はやけに外が騒がしいので、甲板に出てみる。
すると、なにやら桜花提督が外で遊んでいたら帽子を海に落としてしまったそうである。
その後の彼女の落胆ぶりはひどい物で、帽子の飛んでいった方向をじっと見つめながら目に涙をためてしゅんしゅんいっている。
彼女がこういう表情を長時間表にさらすと、とにかく艦隊の足並みがばらつきだすので厄介である。
帽子の捜索の為に、航空部隊が発艦許可を求めてきたり、後続の駆逐戦隊が陣形離脱の申請をしてきたりと とにかく訳の分からないことを始めだす。
これも人型電算機の力なのかも知れないが、高だか帽子捜索の為に貴重な燃料を消費するのは全く持って非効率である。
そうこうしているうちに、なんと、一羽のカモメが桜花提督の帽子をくわえて飛んできたので驚きである。
桜花提督は「とり1が桜花の為に帽子を持ってきてくれたのです」と言って大感激していたが、どうもその後のカモメの動きから推測すると、単に帽子がほしかっただけのような気もするのだが。
とにかく帽子が戻って来てめでたしめでたしである。














皇紀2666年 6月15日


桜花

 本日、第1艦隊は呉港に戻ってきました。
即全艦補給を行い、桜花は補給物資の確認作業です。
艦が入港してから、なんだか随分蒸し暑く感じます。
今までいた作戦海域より日本の方が北にあるのに、何ででしょうね。
そういえば補給物資の提督室備品の中に、なぜか「給湯魔法瓶」がありました。
桜花の部屋にはもう給湯ポットはあるので、新しい給湯魔法瓶なんていらないのですが・・・
これはひょっとしたら搬入間違いかも知れません。
明日調べてみましょう。






橘花

 本日第1艦隊は、呉に入港。全艦補給。













皇紀2666年 6月16日


桜花

 今日もなんだか蒸し暑くて、雨が降っているのでずっと艦内にいます。
昼ごろになって、提督室備品が桜花の部屋に届きました。
いつもは小さい折畳みコンテナが一個なんですが、今回はなんだかちょっと大きめのコンテナが来ました。
早速開けてみると、やっぱり給湯ポットが入っていました。
しかもこれ、なんだかちょっと大きいです。
どうみても業務用です。
でもそれにしては、かわいらしい星型模様が描いてあったりするので、やっぱり桜花用に届けられた物なのでしょうか。
これはひょっとしたらまた補給部の人の冗談なのかもしれませんが、いくら桜花が大食いだからって、これはあんまりだと思います。
どう考えてもこんな物必要ないので、明日 提督室廃品といっしょに送り返してやります。






橘花

 呉に戻ってから、妙に蒸し暑く感じる。
どこか涼しい所は無いかと艦内を歩き回るが、結局どこも蒸し暑いので、
飛鳥庵で冷たい紅茶などを飲んで凌ぐ。














皇紀2666年 6月17日


桜花

 朝方、と言ってもまだ暗いうちに、うめはなが「おきておきて!」と言って私をゆするので、目が覚めてしまいました。
こんな時間に一体何なのでしょうか。
すると部屋のすみの方で、なんだかガサゴソと動く音がします。
これは・・・なにかいるのでしょうか。
うめはなはすごく怖がっていますが、桜花もすごく怖いです。
その音は、どうやら昨日届いた提督室備品のコンテナの中から聞こえます。
一体何なのでしょうか!
すると突然、コンテナのふたが勝手に開いて、中に入っていた、あの大きな給湯ポットが「ゴトッ」と立ち上がったのです!
これは!呪いの給湯ポットです!
きっと、連合艦隊の崩壊を目論む悪の組織が送り込んだ、呪いの給湯ポットです!
これはすごく恐ろしい事です!
・・・と、思ったら、
なんだかその給湯ポットからにょっきり機械の手がはえてきて、「どうも〜」って言ったんです。
これは・・・「シノ」さんの声です。
ということは、この給湯ポットは・・・シノさんだったんです。
すごくびっくりしました。
シノさんの話によると、どうやら以前桜花が倒れた事は知っているらしくて、それでその原因は海陸軍司令機の直接続連動による負担である可能性が高いということなんですが、海陸軍機の接続連動が出来なくなってしまうのはとても残念なので、それなら連合艦隊旗艦に直接、陸軍電算機を送り込んでしまえ、という思い切った発想でここまで来たのだそうです。
それは・・・確かに思い切った発想です。
それで、とにかく給湯ポットになりすますのはとても大変だったそうで、司令電算機をここまでコンパクトに作り上げるのは並大抵の事ではなかったのだそうです。
でも、やっぱりなんだか、見た目はこっけいで(なんてこと言ったら失礼なんですが)笑いをこらえるのが大変でした。
給湯ポットから、いかにもロボットみたいな二本指の手がふたつ、底面には三つの車輪が出ていて、平らな床では意外と早く走ります。(でも段差があったりするとコケます)
それでシノさんは「これが一番すごい機能なんです」と言って見せてくれたのが、シノさんのてっぺんを押すと、ちゃんとお湯が出るんです。
これはすごいです。(でもちょっとしか出ません。しかもぬるいです)
ちなみに、ポットのデザインのように描かれている星型模様は、よく見ると陸軍中将の階級章になっているんですね。
こんなところまでうまく偽装してしまうとは、さすがはシノさんです。
それで、これから一体どうするのかシノさんに聞いてみたら、とりあえず他の人に見付ったら大変なので、しばらくはコンテナの中に隠れているそうです。
確かに、陸軍中将が給湯ポットになりすまして連合艦隊旗艦に潜入するなんて前代未聞ですからね。
見付ったら大変です。
でも本当に・・・この先どうするつもりなんでしょうか。






橘花

 今日の桜花提督は、なんだかすごく眠そうである。
昨日の晩、蒸し暑くてあんまり眠れなかったのかと思い聞いてみると、
彼女はなんだか急にあたふたしだす。
何をそんなに焦る事があるのか。
あやしい。














皇紀2666年 6月18日


桜花

 今日は一応上陸許可が出ているのですが、シノさんの事が気になって全く外に出る気にはなりません。
結局今日は桜花の部屋からほとんど出ませんでした。
それで、たまに気になって、コンテナのふたを開けて見たりするのですが、シノさんは眠っているのか全く動きません。
夕食を終えて部屋に戻ったあたりから、シノさんはごそごそと動き始めました。
それで、これからどうするのかシノさんと相談しようと思ったのですが、実はシノさんは今後の事もしっかり考えてあるのだそうです。
シノさんは「とりあえず」と言って、部屋の備え付けキッチンの上にあがって(機械の手を使って意外と器用に上がるんです)桜花の部屋にもとからあった給湯ポットの近くまで寄って行って、その後突然、なんと桜花の給湯ポットを床に落として壊してしまったんです。
桜花はびっくりして思わず「何をするんですか!」と怒鳴ってしまいました。
桜花があんまり大声を出したのでシノさんはびっくりしたのか、その後すごく謝っていましたが、彼女の説明によると、この給湯ポットを桜花が落として壊しちゃった事にして、それで新しい給湯ポットを補給部に発注したという事にすれば、全てつじつまが合うのだそうです。
それは・・・なるほどです。
まあ多少時間の前後が違ったりしますが、そのへんをうまくごまかせば何とかなりそうです。
・・・という事は、シノさんは今後、桜花の部屋の備え付け給湯ポットとして生活していくのでしょうか。
まあ、それはそれでいいかもしれませんが・・・
考えてみれば桜花の部屋も、ずいぶんにぎやかになった物です。
ひとつの部屋に、桜花とうめはなとこうめとシノさんの四人ですからね。
でも、給湯ポットがシノさんになってしまうという事は、今後部屋でお茶を飲むときは、いちいちお湯を沸かさなければならないのでしょうか・・・






橘花

 今日もなんだか、桜花提督の動きがあやしい。
普段、呉停泊中の彼女は、甲板に出て港の風景を見たり、うめはなと走り回ったりするのだが、今日はほとんど自室にこもりっきりである。
何か隠しているのだろうか。














皇紀2666年 6月19日


桜花

 今日は久々に天気がいいので甲板に出てうめはなと遊んでいます。
でもなんだか、部屋に陸軍電算機を隠しているという事を誰にも話さないでいようと思うと、桜花の行動はちょっと不自然になります。
自分でもよく分かります。
それになんだか、橘花さんも桜花の動きがちょっとあやしいって思ってるんだと思います。
やっぱり、橘花さんと木島さんだけにでも話しておくべきではないでしょうかね。
それで今日はその事をシノさんと相談する事にしました。
桜花が部屋に戻ると、シノさんはせかせかとお湯を沸かして、お茶をいれてくれました。
ひょっとしてシノさんは、桜花の部屋の給湯ポットを壊してしまった事を気にしてるのかもしれません。
そんなに気にしなくてもいいんですけどね。
お茶なら飛鳥庵でも飲めますし。
それにしても、自らコンロでお湯を沸かしてお茶を淹れる給湯ポット(じゃなくてシノさんなんですけども)というのは、なんとも面白いですね。
こういうものを大量生産して民間で売り出せば、結構売れるのではないでしょうか。
まあそんな事より、今日はシノさんと話し合いをするのです。
それでシノさんのことを橘花さんと木島さんに話してもいいかどうか聞いてみたのですが、シノさんの意見は案外あっさりしていて軽く「べつにいいですよ」って言ってました。
なんだかちょっと、拍子抜けです。
でも、シノさんがいいというのならこれはもう、話してしまいましょう。
ただ、桜花が説明するより直接本人を見てもらった方が良いかもしれないので、明日二人を桜花の部屋に呼んで、シノさんを見てもらう事にしましょう。
これでなんだか、少し落ち着きました。
それにしても、シノさんの淹れたお茶はおいしいですね。
そう言うとシノさんはとても嬉しそうに、おいしいお茶の淹れ方のコツとかを延々と説明してくれました。
ほんとに、シノさんは何でも詳しいですね。






橘花

 今日もとくにすることが無い。
それに桜花提督の動きもなんだかあやしい。
だから今日は、彼女を少し観察してみたりする。
するとますます動きがぎこちなくなる。
それでしばらくすると部屋にこもってしまう。
きっと何か、部屋に隠している。
もしかしたら、また例の陸軍電算機から、何か送られてきたのだろうか。














皇紀2666年 6月20日


桜花

 ということで、今日はシノさんのことを橘花さんと木島さんに紹介することにしました。
それで橘花さんと木島さんを桜花の部屋に呼んだんですが、突然給湯ポットが動き出したら驚かれるかもしれないので「心霊現象とかそういう類の物ではないので安心してください」って言ったんですが、なんだかかえってちょっと怖がらせてしまったみたいです。
それで早速部屋の中に二人とも入ってもらったのですが、部屋の中ではシノさんが、なんだかもうかなり手馴れた感じでみんなのお茶を淹れながら「どうも〜」って言って手を振ってます。
それを見た木島さんは、もう大爆笑で、なんだか橘花さんもちょっと笑いそうになってました。
一応陸軍中将なので、笑うのは失礼だと思うんですが、確かに突然この光景は笑えますよね。
でもひょっとしたらシノさんって、人を笑かすのが好きなのかもしれません。
それで二人にシノさんのことを紹介して、今までの成り行きを説明したのですが、どうやら木島さんは、もう前もってその事を知っていたみたいで、橘花さんも「そういうことだと思いました」って言ってました。
桜花の隠し事って、なんですぐにばれちゃうんでしょうね。
それで結局二人ともたいして驚きもせずに、シノさんの淹れたお茶を飲んだりしながら、シノさんといろいろお話したりしていました。
なんだかまた拍子抜けです。
でもまあ、二人に話したらなんだかずいぶん気が楽になりました。
ただ、くれぐれも他の人に見付らないようにしなければなりません。
この給湯ポットが実は陸軍中将だなんて思う人はあんまりいないとは思いますが。






橘花

 今日は朝から桜花提督が、見せたい物があると言って私と木島中将を自室に招く。
そろそろそういう動きをするだろうとは思っていたが、とにかく何か、すごい物を見せてくれるらしい。
それで彼女の部屋に入ってみると、なんと、給湯ポットが自分でお茶を淹れている。
一瞬笑いそうになったが、どうやらこれが今まで桜花提督が隠していた物らしい。
確かにまあ、これは隠しといた方がいいような感じの物だが、話によると、なんとこの給湯ポットは陸軍司令電算機なのだそうである。
・・・なんというか・・・
司令電算機という事は、コレに司令される将兵もいるということなのだろうか。
話によると、以前この艦に来た陸軍電算機シノ中将の小型端末機という事で、一応、本体の電算機と同等の司令能力があるという事である。
それでなぜその端末司令機が連合艦隊旗艦に来たのかというと、やはり、海陸軍の電算機同士の直接続は電算機に掛かる負担が大きく、桜花提督が以前倒れたのもそれが原因である可能性が高いということで、この「シノ中将」が直接旗艦に来て、陸軍機本体との中継を行おうというのである。
なんとも大胆な計画だが、木島中将はなぜかこの事を事前に知っていたらしく「うまく乗艦できて良かったじゃない」などと言っている。
(もしかしたら木島中将自身もこの計画に一枚咬んでるのかもしれない)
まあ、木島中将が良いと言うなら良いのかもしれないが・・・
本当にこんな事をして大丈夫なのだろうか。
それにこの「シノ中将」も、こっけいな外見とは裏腹にかなり能力は高そうなので、実際に何を考えているのかは定かでない。
極めて不安である。














皇紀2666年 6月21日


桜花

 今日はとくにすることがないので甲板に出て港の風景を眺めていたりします。
桜花が甲板に出ると、だいたいうめはなも甲板に出てくるのですが、今日は出てきません。
どうしたのかと思って探してみると、うめはなはずっと桜花の部屋でシノさんと遊んでいたみたいです。
確かにシノさんは、ちょっと面白いですからね。
それにあの給湯ポットみたいな姿は子供にうけると思います。
うめはなにいい友達が出来てよかったです。
でも、桜花の部屋であんまり騒いだりすると、回りの人に変に思われるかもしれないので気をつけなければなりません。






橘花

 今日の桜花提督は昨日までと違って至って穏やかである。
この人は本当に隠し事をするのが苦手の様だが、私と木島中将に話してしまえばそれで安心してしまうというのも、なんだか不思議な感覚である。
状況的にそれほど差は無いと思うのだが。














皇紀2666年 6月22日


桜花

 明日から私たちは、また例の遠隔司令試験を行います。
今回はなぜか港に入ったままで行います。
なにやら今回の遠隔司令では、戦艦飛鳥に直接通信コードを差し込んで、野呂山に新設された大型電波発信機から司令を行うのだそうです。
これがうまく行けば今度はなんと、富士山に大型電波発信塔を作って絶対国防圏内全ての艦艇の司令を行うようにするのだそうです。
なんだかすごい計画みたいですけど、今までも似たような事をやってもあんまりうまくいってないので今回も・・・どうでしょうかね。
でも、そんな事より桜花は、試験中にシノさんが見付ってしまわないか心配です。






橘花

 明日より我々司令電算機は、有線にて遠隔司令試験を行う。
毎回あまり芳い結果を出さないこの有線方式だが、今回は野呂山に新設された巨大発信機を経由するのだそうである。
最終的には富士山、もしくは新高山にもそれを設営する計画があるそうで、なにやら大規模な計画の様だが、司令艦を司令電波の届く範囲まで前進させて多数の護衛戦力を投入することを考えれば、これでもかなり経済的と言える。
しかし、まあ問題はうまく行くかどうかで。














皇紀2666年 6月23日






















皇紀2666年 6月24日






















皇紀2666年 6月25日






















皇紀2666年 6月26日






















皇紀2666年 6月27日






















皇紀2666年 6月28日






















皇紀2666年 6月29日


桜花

 整備の為接続解除です。
今回の電波発信塔を使っての遠隔司令試験は、やっぱりあんまりうまく行ってないみたいです。
でもそんな事より、桜花はシノさんが見付ってないかの方が心配なので、一通りの整備が終わったら急いで自室を見に行ってみます。
すると・・・シノさんはいないんです。
ひょっとしたら見付ってしまったのかと思って一瞬焦りましたが、高い所にある戸棚の中を見てみたらシノさんはここに入っていました。
さすがはシノさんです。
これなら絶対に誰にも見付りません。
・・・それにしても、シノさんは一体どうやってこんな高い所に上がったのでしょうか。
それでちょっとシノさんに話しかけてみたりしたんですが、なんだか眠ってるみたいでぜんぜん動きません。
(眠ってるというか電源が入ってないという感じです)
ごそごそ動き回られるより、じっとしていてもらった方が桜花も安心です。
でもうめはなはシノさんと遊んでもらいたかったみたいで、ちょっと残念そうです。
明日からまたしばらく遠隔司令試験は続きます。





橘花

整備の為接続解除。
桜花提督は、部屋にいるシノ中将の事が気になるらしく、あわただしく部屋に戻る。
あれじゃあちょっと不自然に見えると思うが、まあ、仕方が無い。














皇紀2666年 6月30日






















皇紀2666年 6月31日






















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