皇紀2666年 4月1日


桜花

 今日、早々に休暇を終えて木島さんが帰ってきました。
それで、お茶を飲みながらしばらく二人でたわいも無いをしていたのですが、なんだか話のついでに、先任の連合艦隊司令長官について聞いてみました。
そしたら木島さんは、一瞬ちょっとドキッとしたような感じでしたが、しばらくしてからちょっと落ち着いた感じで「陸軍機から聞いたのか」って言ったので「そうです」と答えました。
それから木島さんはちょっとだけ先任の司令長官(山本長官)について教えてくださったのですが、そもそも連合艦隊の司令というのは、その山本長官と桜花とで協力して行うという計画だったそうですが、途中で何らかの事情で山本長官は任を解かれてしまったそうで、それで今は桜花が一応司令長官の位置にいるわけですが、なぜ桜花は「司令長官」と呼ばれずに「提督」と呼ばれてるかというと、その時に人として司令を行う山本長官と、電算機として艦隊を動かす桜花を区別するためだったんだそうです。
(まあ桜花は提督と呼ばれようが司令と呼ばれようがどっちでもいいんですが)
それで、その山本長官というのがすごくいい人で、部下からの信頼も篤く、彼が任を解かれる際には艦内でちょっとした反対運動が起こったりもしたんだそうです。
それはすごいですね。
桜花がここに来たばっかりの頃ちょっと嫌われ者になっちゃったのも、そういうことがあったからなんですね。
でもその後木島さんは、なんで山本長官が辞めさせられちゃったのかとか、今はどこでなにをやっているのかとかそういうことを聞いても、なんだかうまくはぐらかされて教えてくれませんでした。
あまり話したくないんなら、まあ、聞きませんが。
でもちょっと気になりますよね。






橘花

今日も特にする事無し。
飛鳥庵に行ってみると、なぜかもう開店していたので天蕎麦を食べ、
食後に蕎麦湯を飲みながらしばらく過ごす。
その後うめはなが来て「きっかおえかきしよう」と言う。
私は絵を描く趣味など無いが、なぜか一緒に側にある花瓶の花などを描いたりする。
すると店主が「橘花ちゃんは絵もうまいんだねえ」と言う。
私にはなんだかよく分からないが・・・うまいんだろうか。
そういえば、いつの間にか私も梅花の事を「うめはな」と呼ぶようになっている。








皇紀2666年 4月2日


桜花

 今日はあまり天気が良くないのですが、甲板に出て釣りをしたりしています。
うめはなは相変わらず「かぶとがにがくるよ」とか言って出てきません。
よっぽど怖かったんでしょうね。
それでしばらく一人で釣りをしていたんですが、すると橘花さんが来たのでちょっとだけお話しました。
話の内容はだいたい陸軍電算機「シノ」さんについてだったんですが、橘花さんはすごく興味があるような感じで聞いているので「橘花さんも接続してみてはどうですか」と言ったんですが、彼女が言うには、もし接続する事によって問題が生じた場合、その影響を2機同時に受けてしまったら艦隊運営が出来なくなるので橘花さんは接続しないんだそうです。
さすがは橘花さん、用心深いです。
ていうか、なんだかそんな事言われると、ちょっと怖くなっちゃうじゃないですか。






橘花

 今日甲板に出てみると、桜花提督が一人で釣りをしている。
しばらくぶりに静かに二人でいれそうなので、少しの間彼女の側にいる。
天気はあまり良くないが、空気は少し暖かい。








皇紀2666年 4月3日


桜花

 今日は天気が良いので甲板で釣りをしようかと思ったのですが、うめはなはまた「かぶとがにがくるよ」と言って怖がっています。
もう、
曲りなりにも帝国海軍の少将がカブトガニなど恐れて釣りも出来ないようでは兵員の士気に影響しますよ。
それで「瀬戸内海までカブトガニが来るわけ無いじゃないですか!」と言って無理やり外に連れ出そうとしたら、側で艦長さんがボソッと「瀬戸内海にもいるよぉカブトガニ」って言うんです。

全く、変な冗談はやめてほしいと思ったのですが、
実は本当に瀬戸内海にはカブトガニが生息してるんだそうです。
これはびっくりです。
ということは、この連合艦隊基幹母港である呉にもカブトガニは来たりするのでしょうか。
これは恐ろしいことです。
もう迂闊に釣りなど出来ません。





橘花

 第1艦隊は全艦補給を既に完了し、明日には出港の予定。








皇紀2666年 4月4日


桜花

 本日、第1艦隊は全艦補給を終え、出港します。
ただ、しばらくは艦隊には任務は与えられず、瀬戸内海にて洋上待機です。
でも桜花たち電算機は、明日より再び他艦隊の遠隔司令試験に入ります。
今回は有線ではなく、多数の中継艦による無線接続です。
軍令部は、何とか衛星を使わずに遠くの艦隊の司令が出来るようにしたいようですが、やはり扱う情報量が多い上に、絶対に傍受されてはいけないのでなかなか難しいみたいです。
今回はうまく行けば良いのですが。





橘花

 第1艦隊は呉を出港。瀬戸内海にて洋上待機。
明日より遠隔司令試験に入る。
今回は衛星でも有線でもなく、中継艦の連続無線接続とのこと。








皇紀2666年 4月5日
















皇紀2666年 4月6日
















皇紀2666年 4月7日
















皇紀2666年 4月8日
















皇紀2666年 4月9日
















皇紀2666年 4月10日
















皇紀2666年 4月11日








橘花

 整備のため接続を解除。
特に問題無し。








皇紀2666年 4月12日


桜花

 整備のため接続を解除しています。
ちょっと、頭が痛いです。














皇紀2666年 4月13日
















皇紀2666年 4月14日
















皇紀2666年 4月15日
















皇紀2666年 4月16日

















皇紀2666年 4月17日

















皇紀2666年 4月18日

















皇紀2666年 4月19日


桜花

 遠隔司令試験は終了しました。
なんだかすごく疲れたので、今日はもう寝ます。





橘花

 本日、遠隔司令試験を完了。
今回の中継艦による連続無線接続は意外とうまく行ったようである。
しかし戦闘ではこの中継艦が真っ先に狙われる危険性があり、撃沈されると艦隊の遠隔司令は当然出来なくなるので、この中継艦にもそれなりの護衛をつける事になったとすれば、それだけで大きく戦力が割かれる事になるので、実戦向きな戦術かどうかはやや疑問である。
それよりも気になるのは、桜花提督がやけに疲労している事である。
艦隊の中継設備の強化を図ってからは、私は随分楽になったと思うのだが。
少し、心配。









皇紀2666年 4月20日


桜花

 第1艦隊は位置変わらず、ずっと瀬戸内海待機です。
桜花はなんだか、朝からずっと頭がいたいのです。
これは何か問題かもしれないと思って、整備の方に聞いてみたんですけども、たんなる疲れだと言う事で、結局、医務室で普通の頭痛薬をもらって飲んでみます。
それで少しは楽になったのですが、橘花さんが心配して「今日はお休みになられてはどうですか?」というので、お言葉に甘えて、今日はちょっと休む事にします。
ひょっとして、シノさんといっぱい接続したのがいけなかったんでしょうか・・・






橘花

 今日は朝から桜花提督の顔色が悪い。
それで彼女は整備部に行って診てもらったそうだが特に異常は無く、そのあと医務室で頭痛薬をもらって飲んでいた様である。
しかし一向に元気にならないみたいなので、今日は休むように勧めてみる。
普段の彼女なら、それでもがんばって司令室に居座ったりするのだが、今日は素直に自室に戻る。
これはかなり具合が悪いらしい。
心配である。









皇紀2666年 4月21日








橘花

 本日早朝、うめはなが大慌てで私の所に来て、「おうかがたいへんなの!」と言う。
一体何事かと思い、桜花提督の部屋に行ってみると、彼女はうつ伏せに倒れたまま動かなくなっている。
これは明らかに異常である。
即座、整備の人間を呼んで診てもらうが、結局ここの機材では原因が分からないということで、急遽、彼女は航空機で試験開発艦に移されることになった。
これは一体・・・どういうことなのだろうか。
私は一時、混乱してなにがなんだか分からなくなってしまいそうだったのだが、木島中将が「まあ、座って茶でも飲もう」と言うので、そうする。
その後、少し落ち着いたが・・・
一体、彼女はどうしてしまったのだろうか・・・
うめはなは もうずっとおいおい泣いているが、私も・・・泣きたいぐらいである。
非常に心配である。









皇紀2666年 4月22日








橘花

 今日は・・・桜花提督の事が心配で、なんにも手に付かない。
艦隊は洋上待機なので基本的にすることも少ないのだが、今日は心配で・・・どうしようもない。
うめはなは、艦橋後方の飛行甲板の見える窓からずっと外を見ている。
桜花提督のいない時の彼女は、基本的にあの場所にいるそうだが、今日は私もここにいたい気分である。
桜花提督が、何事も無かったかのように元気に帰ってくることを・・・
ただ願うのみである。












皇紀2666年 4月23日


桜花

 気がついたら・・・私は、寝室とは違う場所に寝ています。
ここは、・・・そう、試験開発艦の検査室です。
私はなんでこんなところにいるのでしょう。
しばらくすると開発部の技術者の人が来て、いろいろと説明してくれました。
話によると、桜花はなんと、飛鳥の自室で倒れたまま動かなくなってしまったんだそうです。
それはびっくりです。
一体なんでそんな風になってしまったんでしょうか。
ひょっとして、シノさんと接続した為でしょうか。
でも技術者の方の話によると、電算機の異常ではなく単なる疲れが原因だそうで。
ちょっと、一安心です。
それにしても、桜花は疲れがたまるような事をそんなにしていたんでしょうか。
それで、技術者の方にいろいろとお話を聞いてみたのですが、結局「単なる疲れだから心配ない」ということしか言ってくれません。
ただ、「もしかすると今後もこういうことがあるかもしれないので注意するように」との事です。
なんだかちょっと・・・おかしい様な気もしますが・・・
まあ、技術者さんが心配ないと言ってるんだから大丈夫なんでしょう。
とにかく今は、安静にしています。






橘花

 本日、試験開発艦から連絡があり、桜花提督の状態は特に問題無いとの事。
詳しく状況を聞いてみると、電算機の異常ではなく単に疲れがたまっていただけらしいので、
とりあえず一安心。
ただ、回復の状況や復帰の目処などは一切分からないと言う事で、やはり不安は拭い去れない。
結局今日も一日、うめはなとふたりで窓から飛行甲板を見ている。












皇紀2666年 4月24日


桜花

 今日はずいぶん元気になりました。
でも、やっぱりなんか、昨日の技術者さんの説明が妙にあっさりしていた事が気になっています。
ひょっとしたら、桜花に説明できないような深刻な状況になっているんじゃないか・・・なんて事を考えてしまったりしますが、でも、やっぱり、こういうことはあんまり考えない方がいいんでしょうね。
それで今日はみんな心配してるかもしれないので、戦艦飛鳥の方に画像通信を送ることにします。
参謀部の方々や、うめはなや橘花さんも、みんな心配そうでしたが、とりあえず これ以上心配かけないように元気そうに話しておきます。
桜花はこの後、ニ三日ここで整備をしてから飛鳥に戻ります。
・・・単なる疲れが原因だったら すぐに帰してくれてもいいようなもんですが。
でも、まあ、仕方が無いです。






橘花

 本日、桜花提督から画像通信が入った。
彼女は何事も無かったかのようににっこり笑って
「ご迷惑おかけして申し訳ありませんっ桜花は元気です」
と言う。
元気そうで・・・よかった。本当に。
なんだかまた、ちょっと泣きそうになる。
彼女が突然倒れた原因は、やはりたんなる疲れだったそうで、電算機の機械的異常では無いそうである。
それで、ニ三日整備を行ってから旗艦に戻るそうである。
本当によかった。
・・・ただ、
彼女のやけに元気そうな表情が、少し何か・・・気になる。












皇紀2666年 4月25日








橘花

 急遽、なぜか私まで集中整備に出される事になった。
前回の整備からの期間を考えると、これは明らかにおかしい。
どう考えてもこれは、私たち64式電算機に何か緊急に改善しなければならない不具合があったのだとしか思えない。
とにかく不安で仕方が無い。
私自身の事と、桜花提督の事と・・・
本日中に試験開発艦に移って、明日から整備開始。












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