皇紀2664年 7月1日


桜花

 橘花さんは元気になったみたいです。
よかったですね。
最近はほんとに暑いので、私も気をつけなければなりません。
今まで片足にしか入れてなかった保冷剤も、今日から両足に入れることにしました。
そうそう、この保冷剤たまに魚のにおいのするやつがあるんですよね。
よく洗って使わないと。
魚くさい連合艦隊提督なんて、かっこ悪いですからね。





橘花

 昨日私は、熱中症で一日中寝こんでしまっていたらしい。
熱に弱いというのは、我々六四式司令電算機のある意味欠点とも言える。
それで昨日は桜花提督が一日中私の看病をしてくれていたという事だ。
私の看病など医務の人間に任せて、他の仕事に専念した方がよほど艦隊のためになると思うのだが。
でも、なぜか少し・・・
嬉しい。








皇紀2664年 7月2日


桜花

 艦隊が合流してから今日で4日目。
艦隊の防御力は上がったのですが、敵潜水艦の数は増える一方です。
また、足の遅い陸戦艦隊に航行速度を合わせなければならないので、ほんとにもう嫌になってしまいます。
でも、こんなことでイライラしてたらだめですよね。
それこそ、彼らの思う壺です。
木島さんの話では、彼らはこちらが攻撃してくるのをずっと待っているんだそうです。
その証拠に、追尾してくる潜水艦は全部、旧式の猫鮫級ばかりですもんね。
なるほど。彼らもよく考えています。
・・・って関心してる場合じゃないですよね。
でも、そういうことはつまり、こちらが攻撃しなければ、絶対彼らも攻撃してこないってことですよね。
まあこれは、気にしないのが一番。ということでしょうか。






橘花

 今日は桜花提督に言われた通り、ニーソックスの上のほうに、保冷剤の袋を入れてみる。
意外と具合が良い。
ただ、食料保冷用の物なので、たまに魚の匂いがするものがあるのが少し気になる。







皇紀2664年 7月3日


桜花

 今日はびっくりすることがありました。
なんと、橘花さんの頭にも鳥がとまっていたんです。
これはほんとにびっくりしました。
彼女の話では、ここ数日間、よく鳥がとまるんだそうです。
なんで私たちの頭には鳥がとまるのでしょうか。
私たちは、なにか鳥をよせつける不思議な電波でも出しているのでしょうか。





橘花

 なぜか私の頭にもカモメが留まるようになった。
これは桜花提督だけの特性かと思っていたのだが、どうやら違うようだ。
このカモメ達は、保冷剤の袋から出る微妙な魚の匂いに寄ってきているのだ。
洗浄してあるので、人の鼻では嗅ぎ取ることの出来ない匂いなのだが、彼らには分かるらしい。








皇紀2664年 7月4日


桜花

 最近、米国の航空機がひっきりなしに飛んでくる様になりました。
今までは空軍のペナン基地飛行戦隊の防空圏内に入っていたのですが、ここからは空母の艦載機のみで防空をせねばなりません。
米国も近くに航空基地を持っているわけではないので、来るのは偵察機か重爆だけなんですけど、重爆には対艦ミサイルが搭載できますからね。
用心しなければなりません。
でも撃墜だけは絶対してはならないので、制空隊の方々は、ほんと大変だと思いますが、がんばって頂きたいです。





橘花

艦隊は戦術的に緊迫した状態にあるといえるが、私は特にする事が無い。
それで、何か手伝うことは無いかと思い、桜花提督の後に付いて行くのだが、彼女も特に忙しいというわけではないらしい。








皇紀2664年 7月5日


桜花

 今日飛鳥庵に行ったら艦長さんがいました。
休憩中の艦長さんは、なんだかすごくおっとりしていて、お茶なんか飲んでる姿はほんと仙人みたいです。
飛鳥をもし人に例えるなら、きっとこんなふうになるのではないかと思います。
それで今日は艦長さんと一緒にお茶を飲んでいたのですが、特に会話という物も無いんですね。
時折お茶をすする音がするだけです。
でも、艦長さんと一緒にいると、なんか妙に落ち着くんですよね。





橘花

 足に保冷剤を入れてから、体調はとても良くなった。
前までは熱くてあまり出たくなかった甲板にも、最近はよく出るようになった。
ただ、訓練中の兵士たちの視線が足に集中するので、少し気になる。
保冷剤が入ってるのがそんなに珍しいのか。








皇紀2664年 7月6日


桜花

 今日、航空母艦「益城」所属の制空機が上空で発動機が左右とも停止状態になったそうです。
あわや墜落、という事態になったのですが、搭乗員の技術でなんとかうまく着艦できたという事です。
最近「益城」の制空隊では、発動機不調というのがよく起こるんだそうです。
それでその発動機不調というのが、最近発動機を新型に換装したばかりの59式艦上戦闘機33型に限ってよく起こるそうで、これは単なる整備不良ではなく、そもそも発動機に問題があるのではないかという不安が航空要員の中で蔓延してるのだそうです。

空母「蒼龍」ではそんな話あまり聞かないのですが、やはり扱ってる航空機の数が各段に違うからでしょうか。
とにかくこれは、場合によってはかなり深刻な問題なので、なんとかしなければなりません。






橘花

 今日、空母「益城」の制空機の発動機不調の件で、桜花提督に相談を受けた。
久々の相談だったので少し嬉しかったが、発動機に関しては私もそれほど知識があるわけでもないのでどうすることもできない。
結局桜花提督の提案で、二人で飛鳥神社にお参りするということになった。
どれだけ効果があるかは分からないが。








皇紀2664年 7月7日


桜花

 今日は航空母艦「益城」の視察に行きました。

別に私が行ったからって、戦闘機の不調がなんとかなる訳でもないのですが、「不安要素のある所には司令官自ら趣くものだ」と、木島さんが言っていたので行く事にしました。
なぜか橘花さんも付いて来ると言うのでいっしょに行きました。
まあ、艦隊指揮は空母からでも出来るので、問題はないでしょう。
やっぱり空母の飛行甲板は広いですね!
ほんと、走り回りたくなっちゃいます。
でもここでまた馬鹿みたいに走り回ったら兵員の士気に影響するので我慢しときます。
それで、「益城」の隊員の方々も、提督が少女だと知ったら変に思われるかもしれないと思っていたのですが、なぜか皆さん私の事をよくご存知みたいでした。
そういえば、第8艦隊とは一度模擬艦隊戦をやったことがあったんでしたね。
もう写真をいっぱい撮られちゃいました。
あとサインもしました。でもよく分からなかったので、とりあえず、桜花と書いておきました。
最後は発動機不調の59式艦戦といっしょに記念撮影までしちゃいました。
私は一体何しに来たのでしょうか・・・
帰り際に隊員の方々に「桜花ちゃーん!また来てねー!」と言われました。
今思えば仮にも提督に対して「ちゃん」は無いだろうと思うのですが、その時はなんだか嬉しかったので「また来まーす!」と言って思いっきり手を振ってしまいました。
結局何を視察したのかもよく分からないのですが、とにかく今日は楽しかったです。






橘花

  今日は桜花提督が空母「益城」に行くというので付いて行く事にした。
桜花提督は、広い所に来ると走り回りたくなるらしい。
なんだか犬の習性と似ている。
「益城」では、写真を撮られたりサインをしたりと、意味の分からない事を多くさせられたが、提督は本当に楽しそうである。
結局、発動機不調の件はどうなったのだろうか・・・









皇紀2664年 7月8日


桜花

 本日遂に、孤立していた第3機動艦隊と合流することが出来ました。
第3艦隊は即座洋上補給を行い、再び陣形を立て直します。
もう、ものすごい大艦隊になったので嬉しくなっちゃいますね。
これで、戦力では地中海にいる米海軍艦隊よりも上になった訳ですが、こんなことで引き下がる彼らではないと思うので、また何か新たな策を練ってくることでしょう。
あとは、シーア共和国政府からの支援要請を待つばかりです。
・・・でも、結局支援要請をしてこなかったら、これだけの戦力を集結させてしまった私達って、ちょっと虚しいですよね・・・





橘花

 本日、第3艦隊と合流。
洋上補給も問題無く完了する。
艦艇が沢山あると、桜花提督はとにかく嬉しいらしい。
それで彼女は甲板に出て私に、帝国海軍艦艇には、呉塗装と佐世保塗装があるという事を言っていた。
で、どれが佐世保塗装なのか聞いてみると、彼女は艦隊をじっと見たまま固まってしまった。
当然、頭には鳥がとまっている。








皇紀2664年 7月9日


桜花

 艦隊は、ペルシャ湾内にやや入った場所で停止しています。
この位置だとシーア共和国のほぼ全域を艦載機の空爆範囲内に収める事が出来ます。
でも、やっぱり支援要請はこないんですよね。
戦況的には政府軍側がかなり圧されてる感じなんですが。
このまま負けちゃうなんてこと、無いですよね・・・





橘花

 艦隊はペルシャ湾入り口で待機。
シーア共和国からは未だに支援要請は無い。







皇紀2664年 7月10日


桜花

 艦を止めてから気付いたんですが、すごく暑いです!
ただ止まってるだけの状況というのがこれほど苦痛だとは思いませんでした。
このまま私達は、誰からも必要とされずに日干しになっていくのでしょうか。
そんな事を考えていると、頭にとまる鳥にさえやつあたりしてしまいたくなります。
もっと冷静にならなければ。
私は連合艦隊提督なのですから。
こんなことでイライラしていてはだめです。





橘花

 何もする事が無いので、とりあえず桜花提督に付いて行く。
この人は、考えてることが表情に出やすい。
今日は一日中、小声で「暑い、暑い」と言っていた。
私は保冷剤を入れてからはそれほど暑さは気になら無くなったのだが。
どうも彼女は最近イライラしてるみたいだ。








皇紀2664年 7月11日


桜花

 暑いです。もう、飛鳥のどこに行っても熱いです。
足に入れてる保冷剤もすぐぬるくなってしまうので、最近は凍らせてから入れたりしています。
それで、なぜか氷を見るとかき氷が食べたくなってしまいます。
でも今は準戦闘態勢ですからね。
提督がそんな甘い物なんか食べてくつろいでいる訳にはいきません。
そう思って甲板に出てみると、なんと、木島さんが釣りをしてるじゃないですか!
この非常時に、一体この人は何をやっているのでしょうか。
でもなぜか、釣りをする木島さんを見ているとなんだか肩の力が抜けてしまいました。
気が付いたら、今日は一日中木島さんと一緒に釣りをしていました。
結局何も釣れなかったのですが、なぜか、今までのイライラがうその様に消えてしまったんです。
木島さんは、釣りをする事によって私に「あんまり硬くなるな」ということを教えてくれていたのでしょうか。






橘花

 艦隊が集結してから米軍との接触は少なくなった。
諦めたのか、それとも次の行動の準備中なのか、それは分からない。








皇紀2664年 7月12日


桜花

 本日送られてきた偵察衛星からの情報によると、新たに動きの確認された米国艦隊が、大西洋を南下中とのことです。
規模としてはそれほどでもないのですが、彼らの動きから察すると、おそらくインド洋に進出してくるつもりなのだと思います。
もし彼らが、ペルシャ湾近海まで近付いてくると、大きな問題になります。
我が艦隊が湾内に入っている時に、もし彼らと戦闘状態になってしまったとすれば、場合によっては湾内に閉じ込められてしまうかもしれません。
こうなってしまっては大変です。
相手は小規模でも、こちらは完全に制圧しなければならないので、大多数の戦力をそちらに向けなければなりません。
まあ、このような事になることは最初から予想して、こちらもこれだけの大艦隊が派遣された訳なのですが、
艦艇の数が減ってくると一番厄介なのが陸戦艦隊ですよね。
これはほんとに、なんとかならないものでしょうか。
出来ることなら御国へ帰してしまいたいです。






橘花

 偵察衛星の情報によると、米艦隊の一部が大西洋を南下中との事だ。
敵が二手に分かれたとすると、当然こちらも二手に分かれざるを得ない。
おそらく軍令部は、こうなる事を予想して司令電算機を二人にしたのだろう。








皇紀2664年 7月13日


桜花

 今日、艦隊をいつでも分割出来るように陣形を変更しました。
まずひとつは、司令艦「妙高」を旗艦として、空母「葛城」を主力とした湾内艦隊(仮名)と、
戦艦「飛鳥」を旗艦として、「益城」「蒼龍」の二空母を主力とした外洋艦隊(仮名)、という感じになります。
それで、湾内艦隊(仮名)の指揮の方は橘花さんにやってもらおうかと思います。
司令電算機が二人いるとこういう時に便利ですよね。
橘花さんも飛鳥ではなんだか時間を持て余してたみたいなので喜んでくれるんじゃないかと思います。





橘花

 今日、艦隊の陣形が変更された。
これで艦隊は二つに分かれることとなる。
それで、桜花提督は私に、司令艦「妙高」へ行って指揮をしてほしいと言う。
もちろんそれが一番効率の良い指揮体形だと思うし、私はその為にここに来たのだと思うのだが・・・
それは分かっているのだけど・・・
・・・そんなにあっさりと言わないでほしい。







皇紀2664年 7月14日


桜花

 分割した艦隊に正式な名前を付けた方がいいかと思って、今日参謀部の方々と相談してみました。
私って、こういう名前とか考えるのって結構悩んじゃうんですよね。
この前も鳥に名前をつけてやろうと思ったんですけど、結局一日中悩んでも決りませんでした。
(だから未だに「とり1」「とり2」とかって呼んでます。でも最近は「とり1」って呼んだら来るようになったので、もう「とり1」になってしまったのかもしれません)
それで今回も、ものすごく悩むかと思ったのですが、野田さんが「桜艦隊、橘艦隊でいいんじゃないか」と言ったので、あっさりそれに決ってしまいました。
という事で、湾内にいる方は「遣印・橘艦隊」、
外洋にいる方は「遣印・桜艦隊」という名前になりました。
なんか、桜艦隊なんていわれると、ちょっと照れちゃいますね。
・・・でも嬉しいです。





橘花

 ・・・・・・







皇紀2664年 7月15日


桜花

 今日、早速橘花さんに「遣印橘艦隊」の旗艦「妙高」の方に移ってもらうことにしました。

橘花さんならうまくやってくださると思います。
・・・ただ、今日ひとつ気になることがありました。
橘花さんが飛鳥を離れる時、回転翼機に乗る前に一度振り返って、私の方を見て、なんだかちょっと悲しいような、さびしいような表情をしたんです。
私は、橘花さんも独自の艦隊指揮が出来る事が嬉しいのかと思っていましたが、
橘花さん、ひょっとして、この艦から離れるのが嫌なのでしょうか・・・
それとも、私にはただそんな風に見えただけなのでしょうか。






橘花

 今日で私は「飛鳥」を離れる事となる。
次この艦に戻って来れるのはいつになるのだろうか。
・・・この艦に戻って来れるのだろうか・・・








皇紀2664年 7月16日


桜花

 今日はなんだか、橘花さんの事が気になります。
橘花さんはいつも表情が変わらないので、何事にも動じない人なんだと思っていたのですが・・・
考えてみれば、たった一人で見知らぬ艦に行って指揮をしなければならないっていう事は、やっぱり普通に考えて、心細いですよね。
私はもっと、人の心という物を観察しなければなりません。
私は、人を動かす仕事をしているのですから。






橘花

 ・・・・・







皇紀2664年 7月17日


桜花

 アフワーズに続き、ケルマーンシーまでもが反政府勢力によって制圧されてしまったそうです。
シーア共和国政府軍の主戦力は今の所それほど損害は無いという事ですが、反政府軍に山脈を越えられてしまうと、首都テヘランはもう目の前なので、これはかなりまずい状態だと思います。
こちらとしては、政府軍の主戦力が温存されてる状態で支援要請を頂いた方が、いろいろとやりやすいのですが・・・






橘花

 ・・・・・







皇紀2664年 7月18日


桜花

 今日は橘花さんの事が心配だったので、画像回線で会話してみました。
電算機同士の情報交換なら、別に会話などする必要はないのですが、なんだか、やっぱり、顔を見て会話するのもたまにはいいのではないかと思います。
でも、やっぱり橘花さんは、いつもと変わらず無表情でした。
それに、なんだか「その程度の情報交換ならば画像回線を使わない方がよろしいのではないですか?」などと言うのです。
どうやら、橘花さんは寂しいとか心細いとか思ったりはしていない様です。
私の心配しすぎだったのでしょうか。






橘花

 今日、桜花提督が画像回線で会話してきた。
彼女の顔を見るということが、なぜこんなに嬉しく感じるのだろう・・・
それなのに、私は、なぜか意識して素っ気無い対応をしてしまう。
なぜ、私は、彼女の事になるとこんなにも感情的になってしまうのか。
自分が、よくわからない。








皇紀2664年 7月19日


桜花

 今日、大本営から「数日中に支援要請が有ると思われるので、即戦態勢にて待機せよ」との支持がありました。
こちらはもうずっと前から戦闘態勢で待機してるんですけどね。
「数日中に」というのもまたあやふやな表現ですね。
それは今日明日の内にという事でしょうか。それともここ一週間ぐらいの内にという事でしょうか。
要するに、大本営の人達も「よくわからない」ということなんでしょうね。
でも、ひとつはっきりした事は、このまま何もしないで御国へ帰るという事だけは無くなったという事ですね。





橘花

 司令艦「妙高」に移ってから数日経つが、司令室からほとんど出ることは無い。
飛鳥と違って、この艦はあまり歩き回りたいとは思わない。








皇紀2664年 7月20日


桜花

 大本営からの情報によると、明日、シーア共和国政府から正式な支援要請があるのだそうです。
なんでそんな事わかるんでしょうね。
木島さんの話によると「そりゃ当然シーアにも諜報員は入れてるだろう」とのことです。
なるほど。すごいですね。
私は艦隊運営以外の事はあまりよくわかってないので、なんだか驚きです。
という事で、艦隊の全攻撃艦艇に明日より戦闘開始である旨伝令し、その後私からの戦闘開始の下令あるまで一切の外部通信は禁止にします。
そして今日は、明日からの作戦に完璧な対応が出来るように艦艇武装および作戦航空機の綿密点検を行います。
で、士気高潮させるため提督から各隊員向けに何か激励の言葉でもひとつ言うべきだと野田さんが言っていたので、通信の最後に「皆さん、暑いけどがんばりましょうね!」と言っておきました。
(今思えば、もっとかっこいい言葉を言っておけばよかったような気もするのですが)
でもその後各艦より万歳の声がかなり響いてたので、士気は思ったより上がったみたいです。
(正確には万歳の声よりも万歳以外の声の方が多かったような気もしますが)
それで私は、明日から普通に生活できる事はほとんど無くなると思うので、今日はたくさん食べてよく寝ておきます。
明日から作戦開始です。






橘花

 桜花提督から、明日より作戦開始である旨連絡が入る。
通信の最後に彼女は、画像回線で「がんばりましょうね!」と言ってにっこり笑う。
その後の兵員の士気高潮は凄まじい物で、これはいわゆる、アイドル効果という物だろう。
開発部がなぜ司令電算機を美少女にしたのかよく分かった様な気がする。
遣印橘艦隊は位置を変えずこのまま、各艦装備の綿密点検を行い、外部通信を完全閉鎖する。








皇紀2664年 7月21日
















皇紀2664年 7月22日
















皇紀2664年 7月23日
















皇紀2664年 7月24日


桜花

 この3日間の空爆で、脅威になると思われる反政府軍の主戦力はほぼ制圧してしまいました。
全航空隊、未帰還機は無しです。
空母「葛城」所属の第512攻撃飛行隊で機銃弾を数発受けた機体があったそうですが、特に戦力に影響するほどの損傷ではなく、現在は完全に修復されているそうです。

政府軍の陸戦部隊も持ち返して、その後順調に侵攻を続け、この三日間でアフヴァーズ、ケルマーンシー、バスラ、アラーマの四都市を制圧したそうです。

思ったよりも早いです。
でも、私が「案外簡単でしたね」というと、木島さんに今までに無い厳しい顔で「大変なのはこれからなんだぞ」と言われました。
そうですよね。この制圧状態を維持するのが一番大変なんですよね。
それに、一番の脅威は反政府軍勢力ではなく、その後ろにいる米艦隊です。
彼らは常に、この紛争に介入する隙を狙っていると思うので、特に気を付けなければなりません
また反政府軍は、米製の新鋭垂直離着陸戦闘機を数機導入したという未確認情報があったのですが、制空隊からはそれらしい機体を撃墜したという情報は無いので、もしかしたらどこかに隠し持っている可能性もあります。
そうだとすれば、これはかなりな脅威になります。
気を引き締めて行かねばなりません。





橘花

 第一次航空攻撃は完了。敵の主戦力はほぼ制圧。
未帰還機、無し。







皇紀2664年 7月25日


桜花

 先日から開始された我々の空爆に対して、欧米のマスコミ各社は一斉に「卑劣な内政干渉」とか、「侵略行為」とか、そういうふうに報道しているそうです。
それで、空爆地域の悲惨な映像とかを、世界にばんばんながしているみたいです。
そもそも、彼らが反政府派に武器を渡したりしなければこんな事にはならなかったというのに。
ひどいです。
だいたい我々帝国軍は、シーア共和国からの正式な支援要請を受けてやっているんですよ。
それなのに、なんでそんなにひどく言われなければならないのでしょうか。
でも、木島さんが言うには「報道も戦術のひとつ」なんだそうです。
あんまり気にしていてはいけません。
我々帝国軍は昔から、この「報道戦術」において、欧米に一歩立ち遅れているんですよね。
何をやっても悪にされてしまいます。





橘花

 指揮系統の一本化。
全艦隊指揮は桜花提督に任せ、私は航空指揮に専念する為、空母「葛城」に移る。









皇紀2664年 7月26日


桜花

 今まで順調に進撃を続けていた政府軍陸戦隊も、スンニ派勢力圏に近付くにしたがって、その侵攻速度がだんだん鈍くなってきているみたいです。
我々帝国軍も、迅速な航空支援を心掛けているのですが、何分空からの攻撃にはその綿密さにも限界があります。
特に近接支援攻撃の場合は敵味方入り乱れた地域で作戦を行うので、当然、陸上部隊との綿密なる連携が絶対不可欠なのですが、シーア政府軍陸上部隊と我が艦隊司令電算機の情報統制率は はっきり言って最悪で、間違って誤爆なんかしてしまったら大変なので、敵軍らしき物を発見しても情報を提供するだけで結局攻撃出来ないという事が結構あります。
また、近域のスンニ派アラブ諸国から反感を買ってしまうと、大東亜連合との交易に支障をきたす恐れがあるので、あまり派手な空爆は出来ません。
ほんとに大変です。
これが実戦という物なんですね。





橘花

戦闘地域の制空、航空支援。
概ね良好。








皇紀2664年 7月27日


桜花

 米軍第5艦隊が、インド洋に進入してきました。
空母「ニミッツ改」級を主力とした機動艦隊です。
戦力としては桜艦隊の方が圧倒的に強いのですが、状況的にはこっちの方が不利と言えます。
なんとかうまく追い払う方法を考えなければなりません。





橘花

 ・・・・・







皇紀2664年 7月28日


桜花

 米軍第5艦隊は、もっと接近してくるかと思っていたのですが、こちらの制空圏のやや外側あたりで止まってしまいました。
我ら帝国遣印艦隊を湾内に封じ込めるのは戦力的に不可能だと判断したのでしょうか。
とにかく警戒は怠らぬ様にせねばなりませんが、木島さんは「そんなに気にしなくてもいいんじゃねえか」と言っていました。
・・・そうなんでしょうかね。






橘花

 最近気付いたのだが、この空母「葛城」には、司令艦「妙高」には無い独特な雰囲気がある。
空母というのはこういうものなのか。








皇紀2664年 7月29日
















皇紀2664年 7月30日
















皇紀2664年 7月31日


桜花

 この2日間の連動支援作戦によって、政府軍は主要都市ナジャフを制圧しました。
帝国軍機には今のところ未帰還機はありません。
しかし、この戦闘で政府軍陸戦隊はかなりの損害を受けたそうです。
また、一般市民にも、多くの被害が出たそうです。
なぜか戦闘が進むにしたがってだんだん鬱な気持ちになってきます。
なぜでしょうか。
私は御国の為に、友好国を守る為の戦いをしているというのに。
こんなことではいけません。
私は連合艦隊提督なのですから・・・





橘花

 連動支援作戦完了。
ナジャフを制圧。敵は後退を続けている。








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