皇紀2664年 6月1日
















皇紀2664年 6月2日
















皇紀2664年 6月3日
















皇紀2664年 6月4日
















皇紀2664年 6月5日
















皇紀2664年 6月6日


桜花

 模擬艦隊戦は終了しました。
結局、作戦目標を達成することは出来ませんでした。
自陣と同じ戦力の相手を倒せないなんて、こんなことがあっていいのでしょうか。
これでは私のいる意味が全く無いじゃないですか!
ひどいです。
私を誕生させる為に苦労してくださった試験開発艦の方々や、予算を捻出して下さった海軍予算会計部の方々や、その結果予算不足になっていつまでたっても瀬戸大橋が完成しないで困っている四国在住の方々にほんと申し訳無いです。
自己嫌悪です。
いっそ、死んでしまいたい気分です。





橘花

 模擬艦隊戦終了。
結局25日間全て消費するが決着付かず。
予想外の事態だが、これは仕方が無い。
私は兵器としてこの世に生まれたのだから、問題があるとすればそれは開発者の責任である。







皇紀2664年 6月7日


桜花

 第1、および第2艦隊は、補給の為明日からトラック基地に入ります。
そして遂に、私、桜花には上陸許可が出ました。
たぶんいつもの私だったら飛び跳ねて喜んでいるだろうと思いますが、今日はそんな気になれません。
もう終わった作戦の事をいつまでもくよくよ考えるのは良くない事だと思いますが、やっぱり、ちょっと、考えてしまいます。
そして先程木島さんから聞いたのですが、トラック基地には、先日の模擬艦隊戦訓練で仮想敵艦隊の指揮をしていた方もいらっしゃるのだそうです。
一体どんな方なのでしょうか。とても気になります。
でもなぜか、あまり進んでお話したいとは思わないんです。
なぜでしょうか。色々教えてもらったりすれば良いと思うのですが。複雑な気分です。





橘花

 本日をもって第5機動艦隊の指揮任務を完了。
そして航空機で移動。目的地はトラック基地。







皇紀2664年 6月8日


桜花

 今日は、すごいことがありました。
なんと、飛鳥に先日の模擬艦隊戦で仮想敵艦隊の指揮をしてらっしゃった方が来たんです。
それだけなら別に大した事でもないんですが、なんとなんと、
その方、私と同じ六四式艦隊司令電算機だったんです!
そう、確か、ずっと前に試験開発艦で見たあの少女です。
ほんとにびっくりです。
しばらくの間私は頭が混乱して何がなんだか分からなくなってしまいましたが、その少女は至って冷静で、おたおたしてる私に対して「落ち着いてください」とか言ってました。
しばらくしてから、艦長さんが持って来て下さったお茶を飲んでやっと落ち着いたんですが、やっぱりちょっと、不思議な感じです。
(でも、今思えば私、何であんなにおたおたしてたんでしょうか。よく分かりません)
その後、その少女とちょっとお話しました。彼女の名前は「橘花」というそうです。
タチバナに花でキッカです。
橘花さんはとても物静かな方です。それで色白で・・・とても、きれいだと思います。
彼女に会うまでは、第5艦隊の指揮官とはあんまり会ってお話とかしたくなかったのですが(やっぱり正直、悔しかったので)、でも、橘花さんには会えて良かったと思います。
なぜでしょうか。
以前、彼女の存在について色々悩んでたこともあったというのに。
不思議な感じです。
遺伝子とか共用部品が多いからでしょうか。
彼女とはもっとお話とかしたかったのですが、飛鳥との接続試験とか色々やることがあったみたいなので、また明日です。
で、知らない間に飛鳥はトラック基地に入港していたんですね。
ほんと全然気が付きませんでした。





橘花

 トラック基地入港中の第1艦隊旗艦「飛鳥」に入る。
まさか以前試験開発艦で見たあの少女が連合艦隊提督だとは知らなかった。
彼女の名は「桜花」という。
とても不思議な少女だ。私と同型の電算機のはずなのに、この人は、何かが違う。







皇紀2664年 6月9日


桜花

 今日は特に仕事もなかったので、橘花さんに艦内を色々案内してあげました。
橘花さんは物静かで何を考えているかよく分からないので、今思えばちょっとお節介だったかもしれませんが、でも、いいですよね!
砲塔から機関室まで二人でいろんな所に行きました。
現在は入港中なので、兵士の方々もみんな艦から出てると思っていたのですが、なぜかほとんど全員が艦に残っていて、写真をいっぱい撮られちゃいました。
後から聞いたのですが、兵士の皆さんはどうも橘花さんを一目見たくて艦に残ってたみたいなんですね。
それで、またいろんなものを頂きました。
ケーキとかようかんとか飴とか(なぜか甘い食べ物ばかりなのですが)。
    
でも、橘花さんって、あんまり食べないんですね。結構残しちゃうんです。
日保ちする物は後で食べればいいですけど、日保ちしない物は捨ててしまうのももったいないので、全部私が食べてしまいました。
それで最後は飛鳥庵で特性ダシ梅茶漬けを頂いたんですが、これも橘花さんはあまり食べないので、結局私が全部食べてしまいました。

なんだか私ばっかり食べてるみたいで申し訳ないんですけど。
でも、まあ、よく食べることはいいことだと木島さんも言ってましたし。
で、そういう事を話していると、ずっと表情の変わらなかった橘花さんが少し笑ったんです。
ちょっとびっくりしました。(びっくりすることじゃないですよね)





橘花

 今日は「桜花」が艦を案内したいと言ってきたのでついて行く事にした。
やはり、あらためて思うのだが、彼女は不思議な少女だ。
一見滅茶苦茶な感じに見えるがなぜか兵員の士気は高い。
士気というより人気というべきか。
確かに不思議な魅力があると思う。それが何であるかはよく分からない。
それと、とにかくよく食べる。
この人の胃は一体どうなっているのか。







皇紀2664年 6月10日


桜花

 いろんな事があったのですっかり忘れていましたが、私、上陸許可が出たんですね!
これは上陸しないわけには行きません。
上陸する前に絶対やっておかなければならないのは、記憶情報の移動です。
万が一私の頭の中の情報が敵に渡ってしまうと連合艦隊の状況が全て把握されてしまうことになるので、これだけは絶対置いていかなければなりません。
まず直接続して私の記憶情報を飛鳥の司令電算機に複製します。
そして次に、私の頭の中の作戦司令情報を全て消去します。
これで上陸準備完了です。この作業に大体一時間半ぐらい掛ります。
本当は橘花さんと一緒に行きたかったんですけど、人型電算機が電算司令艦から誰もいなくなってしまうのはいろいろと問題なので(要するに、橘花さんが来てくれたから私が上陸できる様になった訳なんですね)一人で上陸します。
でも一応連合艦隊提督なので衛兵はつけなければなりません。
それで自由時間中の兵士の方々に任務を与えるのはなんだか申し訳ないので、衛兵は志願制という事にしたんですがなぜかこの志願が殺到してしまい、結局約一個陸戦小隊34名を同行させる事になりました。

それで、小銃装備の陸戦隊と艦内の廊下をみんなでぞろぞろ歩いていると、木島さんに「トラックを占領する気か?」と言われました。
これはたぶん冗談で言ってるんだと思います。
そしてついに、念願の上陸です。
もうこの時は嬉しくて嬉しくて、自然と顔が笑っちゃうんですね。
で、その喜びが衛兵の方々にも伝わったのか、私が陸に一歩踏み入れた途端、誰かが「桜花大将、トラック島に上陸せり!」と叫んで、みんなそろって万歳三唱です。
(側から見てると本当にトラック島を占領したみたいな感じです)
で、やっぱり陸ってすごいです。
どんなに高波が来てもぜんぜん揺れないんです(当り前ですけど)。
それに広いです。どこまでも歩いて行けちゃうんです。

もう嬉しくて嬉しくて、ばかみたいに走り回ってしまいました。
それで、散々走り回ってから気付いたんですが、すごく暑いんですね。
もう汗がだらだら出てきてしまいます。こんなに汗をかいたのは生まれて始めてです。
その時衛兵の方の一人が「近くにかき氷売ってるよ」と言っていたので私は思わず「食べたい!」と、叫んでしまいました。
そして、陸戦小隊34名を連れて一路かき氷屋へ。
かき氷屋の人もびっくりしてたみたいです。
早速かき氷を買おうと思ったのですが、なんと飛鳥の買い物カードは艦内の売店でしか使えないんですね。
当然私はお金なんて持ってないし。
それですごく困っていると衛兵の方がお金を払ってくれました。
(一般兵に物をおごってもらった連合艦隊提督というのは、たぶん私が始めてだと思います)
そしてついにかき氷を頂きました。
これがまた、すごくおいしかったです。
もうほんとにおいしかったので、思わず泣いてしまいました。
(泣きながらかき氷を食べる連合艦隊提督というのも不思議な光景だったと思います)
結局、今回は港湾施設内に限った一時間ちょっとの上陸だったのですが、私にとってはとても有意義な時間でした。今度はもっと時間をかけていろんな所へいけたらいいなと思います。






橘花

 今日はなぜか甲板に出て木島中将の話を一日中聞いていた。
この人も不思議な人だ。
電算機である私になぜここまで親しげに話ができるのか。
桜花提督の自由な性格を形成したのもこの人の力なのだろうか。
そう考えながら岸壁を見下ろすと、大喜びで走り回る桜花提督と陸戦兵士たち。
やはり、この艦はどこかおかしい。







皇紀2664年 6月11日


桜花

 第1、および第2艦隊は全艦補給および簡易整備を完了し、明日の0500時に両艦隊共に出港します。
流石に前線基地だけあって作業も迅速で、主要なものは寄港してから数時間で完了です。
それで今日は橘花さんに上陸許可が出てたのですが、なんと、橘花さん、「別に出なくてもいいです」なんて言うんです。
外はすごく広いし、かき氷も食べられるというのに!なんでそんな事言うのでしょうか!
私には全く理解できません。代わりに私が出たいぐらいです。
結局、木島さんが勧めたり、私がかき氷の話を延々としたりしてやっと上陸する気になったみたいです。
それで陸戦隊16名を連れて(私の時より少ないです)上陸されたのですが、なんと、15分ぐらいで帰ってきちゃったんです。
後で何でそんなに早く帰ってきたのか聞いてみると「暑いから」だそうです。
まあ、確かに暑いんですけどね・・・





橘花

 上陸許可が出た。
特に降りたいとも思わないが、桜花提督がどこから手に入れたのか百円玉を2枚出してきて、かき氷を食べてくるよう強く勧めるのでとりあえず降りてかき氷を食べる。
私の味覚機能が低下している為か、彼女が言うほど美味しいものだとも思わないが。







皇紀2664年 6月12日


桜花

 第1、および第2艦隊はトラック基地を出港しました。第1艦隊は再び瀬戸内海に帰ります。
米海軍の超巨大空母「ユナイテッド・ステーツ」級を含む米第7艦隊が近海域にやや接近中という事で、第2艦隊が本日一杯護衛の任務に就いてくれました。
基幹艦隊は速やかにこの海域から離れることが好ましいとは思いますが、逃げたと思われると癪なのであえて巡航速度で航行します。
瀬戸内海到着予定は6月の15日になります。





橘花

 第1、および第2艦隊はトラック基地を出港。
次の目的地は瀬戸内海。







皇紀2664年 6月13日


桜花

 本日、軍令部から到着予定地の変更が言い渡されました。新移動目標は横須賀でも佐世保でもなく、なぜか名古屋港です。
確か名古屋には正規艦隊が補給できる様な大規模な軍港は無いはずですが・・・
軍令部はいつも何を考えてるのかよく分かりません。
今日は特に任務は無く、雨なので甲板にも出られないので一日中飛鳥庵にいました。
そして店主さんにかき氷の話をしたら、なんと、作ってくれたんです!かき氷を!しかも、白玉団子やら餡蜜やらイチゴやら、私の好きなものがいっぱい入った特製版です!もう私は嬉しくて嬉しくて、泣きそうになりましたがここで泣いたら艦の士気に影響するかもしれないので、泣かないように食べました。
すごくおいしかったです。





橘花

 目的地が名古屋に変更される。今日は特に任務は無かったので艦内を探索してみる。
食堂に行くと、桜花提督が泣きながらなにかを食べている。
本当に食べる事が好きな提督である。
これである程度の士気が保たれているこの「飛鳥」は本当に不思議な艦だ。
そう思いながらも、その艦内を歩き回ることに少しの楽しさを感じている自分に気付く。







皇紀2664年 6月14日


桜花

 今日、ついに飛鳥の一番砲塔が動かなくなってしまいました。
これは大変な事になったと思っていたのですが、冷静になって考えてみれば、誘導弾と防空装置さえ正常に動いていれば、別に大砲が撃てなくても特に戦力には影響無いんですよね。
木島さんも「いっそ投棄した方が軽くなっていいんじゃねえか」とか言ってケタケタ笑ってましたが。
それで、様子を見に砲塔の方へ行ったのですが、砲塔要員の方々は立派です。
もう必死に、油まみれになって砲塔の復旧作業をしてらっしゃるのです。
やっぱり砲手の誇りという物があるのでしょうか。
一瞬「砲塔回らなくても別にいいんじゃないか」と思ってしまった自分が申し訳無いです。
日も暮れた頃になって、砲塔はやっと動くようになりました。
よかったです。
いつかこの大砲たちが大きな戦果を出せる日が来ればいいのですが・・・





橘花

 何もする事が無いので食堂「飛鳥庵」に行ってみる。
今日も桜花提督がなにか食べてるかと思っていたが、誰もいない。
提督どころか店主までいない。
夜になってから油まみれの男たちがぞろぞろと食堂に入ってくる。
次いで店主も油まみれになって入ってくる。
更に、桜花提督までも油まみれで入ってくる。
一体何をやっていたのか。







皇紀2664年 6月15日


桜花

 第1艦隊は名古屋港に到着しました。
でもやっぱり思った通り、名古屋港には全艦停泊するだけのスペースが空いてなかったので、入港できたのは飛鳥と護衛の駆逐艦「朝霧」だけです。

その他の艦は伊勢湾内で待機という事になりました。
それで、なんで名古屋に来たかというと、名古屋工場の航空機製作部の方々が、是非一度司令電算機を見せてほしいということを言っていたからなんだそうです。
それならわざわざ艦隊を向かわせなくても、呉港まで飛行機にでも乗って見に来ればいいのにとか思いますが、軍令部の方々にも色々とお付き合いとかいうのがあるんでしょうね。
明日、軍令部の方々と、重工のえらい方々が私を見に飛鳥に来るんだそうです。
なんだか、憂鬱な気分です。





橘花

 名古屋港に到着。
飛鳥と護衛の駆逐艦一隻のみ入港。







皇紀2664年 6月16日


桜花

 今日、軍令部の人と重工のえらい人が飛鳥に来ました。
それで彼らが艦に来る時は、艦内要員は正装して甲板に整列待機する様に言われました。
なにもそこまでする事無いだろうと思うのですが、軍令部の指示なので仕方ありません。
彼らが来るまでは結構憂鬱だったんですが、重工の人は思ったよりいい人でした。

なぜか私が甘い物が好きだということを知っているみたいで、名古屋名物のういろうを持ってきてくださいました。
それで、お茶と一緒にういろうをいただきながらお話したのですが、重工の方は私に興味津々といった感じで私をいろんな角度から見たりしていました。そんなに見たってなにも分からないと思うのですが。
それで、帰り際に「今度うちの工場にも来てほしい」と言われたので私は「上陸できたら行きます」って言ったんですが、みんな帰った後に野田さんから「あの人の所には行かない方がいい」と言われました。
なんででしょうね。工場っておもしろそうだと思うんですが。





橘花

 今日、飛鳥に軍需工業の会長が来た。
どこから情報を得たのか桜花提督の大ファンらしく、かなり露骨に破廉恥な視線を提督に浴びせているのだが、食べ物さえ与えられればそんな事には全く気付かなくなってしまう桜花提督にも問題はあると思う。







皇紀2664年 6月17日


桜花

 本日第1艦隊は名古屋を出港しました。それでもう間も無く呉港に到着する予定です。
呉では全艦補給と艦内整備が行われ、艦内要員には休暇が与えられます。
いいですね。
私も上陸許可が出ればいいんですが。
それと、先日動かなくなった一番砲塔は念入りに整備してほしいですね。





橘花

 名古屋港を出港。本日中には呉に到着する予定。







皇紀2664年 6月18日


桜花

 ひょっとしたら上陸できるかな、なんて期待してたんですが、残念ながら明日から5日間頭脳内部点検を行う事になってしまいました。
すごく残念だったので飛鳥庵の店主さんにまたかき氷を作ってもらいました(ありがたいことに、かき氷は飛鳥庵の正式なメニューになったんです)。
もう三つぐらい食べました。
そしたらなんだかおなかが痛くなってきて、もう大変でした。
でもなぜかカレーを食べたら治りました。
やっぱり昔から海軍を支えてきた伝統の料理ですからね。
カレーは立派です。






橘花

 明日から5日間、脳内部点検の為直接続。
なぜか少し残念な気がする。
以前は別になんとも思わなかったのに。
なぜだろう。







皇紀2664年 6月19日
















皇紀2664年 6月20日
















皇紀2664年 6月21日
















皇紀2664年 6月22日
















皇紀2664年 6月23日
















皇紀2664年 6月24日


桜花

 脳内部点検は終了しました。
今回は新戦術指揮情報が新たに追加されたそうです。
たぶん何かが変わってるんだと思いますが生活してる分には全く分かりません。
今日は木島さんが早めに休暇を終えて帰ってきていたので、また一緒に釣りをしていました。
結局お魚は釣れなかったんですけども、木島さんから興味深い話を聞きました。
中東地域の情勢が最近また悪い方向に来てるのだそうです。
我々大日本帝国を含む大東亜連合の国々は、石油資源のほとんどを中東のペルシャ湾岸地域の国々から輸入しているので、ここでの状況があまりよくないと、とにかく
都合が悪い訳なんですね。
現在第3機動艦隊をペルシャ近海に派遣して警戒を行っているそうなんですが、今の我々の補給のタイミングなどから考えて、第1基幹艦隊も派遣される可能性が高いという事です。
もしそうなったら、私にとっては初の大規模な実戦任務という事になります。
これは気を引き締めて行かなければなりません。
第1艦隊は明日一杯で整備点検を全て完了し明後日出港の予定です。
それまでに私も中東の事を色々勉強しておこうと思います。





橘花

 脳内部点検終了。特に異常なし。







皇紀2664年 6月25日


桜花

 今日は久々に天気がよかったので一日中甲板に出て中東関係の本を読んでいました。
私は電算機の割に読解力が無いしとても難しい本だったので、いくら読んでもぜんぜん先に進みません。
もうだんだん眠くなってきてしまいました。
そしたらすぐ近くでかもめの鳴き声がしたのでびっくりしたんですが、辺りを見渡してみてもかもめはいません。
それで不思議になってずっときょろきょろとかもめを探していたのですが、その状況を近くで見ていた橘花さんが、「提督、頭にとりがとまってます」って言ったんです。
これは驚きです。
かもめは私が本を読んでる間ずっと私の頭の上にとまっていたんですね。
その後、兵士の方々から更に驚きの情報を聞いてしまいました。
なんと、私の頭の上にとりがとまっている事は、
実はよくあることなんだそうです。

これには本当にびっくりしました。
つまり、今までとりがとまっていても私は全然気付いていなかったという訳なんですね。
皆さんも教えてくれればいいのに。
ひどいです。
だいたいなんで私の頭の上だけとりがとまるんでしょうか。
頭にとりがとまる連合艦隊提督なんて、そんな間抜けな事があってよいのでしょうか。
中東の本も結局ほとんど読めていないし。
なんだか悲しくなってきてしまいます。





橘花

 今日は特にする事が無いので飛鳥庵に行ってみる。
桜花提督がいるかと思ったがここにはいない。
それで甲板に出てみると彼女はここにいた。
珍しく真剣に本を読んでいる。
仕入れたい情報があるのなら電算機本体に接続して直接入れれば良いと思うのだが。
不思議な人である。
しかもなぜか頭に鳥が止まっている。







皇紀2664年 6月26日


桜花

 本日、第1艦隊は呉港を出港しました。
空母「蒼龍」の艦載機収容を終えた後、艦隊は外洋に出ます。
次の目的地は南方のサイゴン基地です。
軍令部からの指示によると、やはり先日木島さんが言っていた通り我々第1艦隊はペルシャ湾近海に派遣される事になりました。
今回の作戦は大本営直隷下、海、陸、空の三軍共同作戦になるという事で、かなり大規模です。
我々第1艦隊は、那覇の第8機動艦隊、横須賀の第6陸戦艦隊とサイゴン基地近海にて合流し、その後、ペルシャ湾近海に先遣されている第3機動艦隊と合流し、全艦隊の指揮を取ることになります。
ちなみに第6陸戦艦隊には、陸軍の横須賀第8派遣軍が搭載されています。
万が一攻撃でも受けよう物ならまた陸軍側から色々と文句を言われると思うので、海軍のプライドに賭けて、しっかり厳重に護衛しなければなりません。
サイゴン基地到着は6月の30日になる予定です。





橘花

 第1艦隊は呉港を出港。次の目的地はサイゴン基地。







皇紀2664年 6月27日


桜花

 第1、第3、第6、第8艦隊の他に、第16支援艦隊も共に派遣されることになりました。
その結果、那覇基地防衛には第4艦隊、
サイゴン基地防衛には第15支援艦隊が当たる事になります。
それで、これだけの大軍団を中東地域に送って、一体どこを攻撃するのかというと、実はどこを攻撃するという明確な目標は今の所無いんです。
要するに威嚇行為というやつなんですね。
中東では今、とにかくかなり厄介な状況になっていて(ここから話が難しくなってくるのですが)、ペルシャ湾の北側を包み込むような形でシーア共和国という世界有数の石油産出国があって、この国には主に二つの民族、「ペルシャ」人と「アラブ」人がいるのですが、この国の政権を握っているのはペルシャ人なので、アラブ人は常に独立運動を繰り返しているわけです。
(ちなみにシーア共和国という呼び名は、こちらで勝手に言ってる呼び名なので本当は誤りなんだそうです)
で、ここで問題なのは、我々大東亜連合諸国は、このシーア共和国からほぼ独占して石油を頂いてる訳なんですが、当然、欧米連合諸国もここの石油はほしいわけなんですね。
だから彼らは密かに独立派を支援して(密かにっていってもまあみんな知ってるんですが)もし国家独立が成功した暁にはその国から石油を独占して頂いてしまおうなどと企んでる訳なんですね。
で、最近ついに内戦状態になってしまったのです。
我々帝国軍は国を挙げて共和国政府軍を支援したい訳なんですが、
ここで更に問題があって、彼らシーア共和国から見て我々大日本帝国は、御得意さんではあるのですが結局異教徒国家なんですね。
だから、国内の事にはあまり干渉されたくないらしくて、なかなか支援の要請もしてこない訳なんです。
要請が無ければ我々もなんの手出しもできないので、とりあえずいつでも支援ができるように第3艦隊だけは派遣しておいたのですが、我々の動きを牽制するかのように、米軍の大艦隊が陸の向う側の地中海に集結してきたので、結局我々帝国軍も、ペルシャ湾近海に大艦隊を集結せざるを得なくなってしまったわけなんですよね。
もう、とにかく、色々と難しいです。
でも、場合によっては対米国艦隊との大戦闘になる可能性も無い事も無いので、気を引き締めて行かなければなりません。





橘花

 この艦に来てから基本的にする事が無い日が多い。
現在大規模な作戦が発動中という事なので、もしかしたら
他の艦隊に移る事になるかもしれない。
なるべくなら、この艦から離れたくは無いのだが・・・







皇紀2664年 6月28日


桜花

 今日、橘花さんは制式に海軍中将になったそうです。
でも、私の時みたいにいろんな儀式をやったりするわけではなく、軍令部の方からそういうことだからという連絡があっただけです。
これはちょっと、あんまりだと思います。
だから今日は勝手に橘花さんの任命式を飛鳥庵でやってしまいました。
橘花さんはいつも何を考えてるのかわからないので、ひょっとしたら迷惑だったかもしれませんけど、
いいですよね。
それで、私の任命式の時を思い出しながらやったんですが、
今思うと結構変だったかもしれません。
でもこういうのって気持ちですからね。
飛鳥神社の人に御払いをしてもらったりして、
なんだかそれなりに任命式っぽい感じになりました。
たぶん・・・これで良かったんじゃないかと思います。





橘花

 今日私は制式に海軍中将になった。
恐らく軍令部は近々私に単独で実戦任務をさせるつもりなのだろう。
それで今日、桜花提督が私の任命式をやりたいと言出した。
とにかくこの人は、何をやるのも楽しそうだ。







皇紀2664年 6月29日


桜花

 外洋に出た途端、米軍の「猫鮫」級(米名ロサンゼルス級)に追尾されてしまっています。
同様に第6陸戦艦隊も米潜水艦の追尾を受けているそうです。
いっそ予定より早めに支援艦隊と合流して彼らを追っ払ってしまおうかとも思いますが、そうすると予定地到着が遅くなってしまって、結局彼らの思う壺なので全く無視して航行します。
たぶんここでは攻撃してこないでしょう。





橘花

 艦隊が南下するにしたがって徐々に暑くなってくる。
とにかく私の弐号電算機は暑さに弱い様なので、外気温の管理は重要である。
こんな状態でペルシャ湾に行ったら電算機が正常に作動するか心配である。







皇紀2664年 6月30日


桜花

 サイゴン近海にて、第6、第8艦隊と合流しました。
全艦隊は第1基幹艦隊の隷下に入り、艦隊名称は「派遣インド洋艦隊」となります。
陸戦艦隊の輸送艦はやっぱりでかいですね。山の様です。
そんな巨大な船が10隻も並んでるんですから、もう遠近感がおかしくなってしまいます。
その中に陸軍の遠征旅団2個、合わせて兵力12000名と数百の戦闘車両、そしてその3ヶ月分の行動物資が搭載されているそうです。これはすごい兵力です。
でも正直に言わせて頂くと、この陸軍部隊は、ちょっと・・・
・・・いない方がやりやすいと思うのですが・・・。
そりゃあ、いつでも大部隊を上陸させられる様にしておけば、それなりの威嚇行為にはなると思うのですが。
大本営の方々は、本当にこの陸軍部隊を上陸させる気はあるのでしょうか。
護衛するだけでも結構大変なんですけどね。
派遣インド洋艦隊(略して遣印艦隊)は洋上補給は行わず、このまま急ぎペルシャ湾近海に向かいます。
後続の第16艦隊は合流せずに補給線確保に当ります。





橘花

 暑い。とにかく暑い。







皇紀2664年 6月31日


桜花

 今日は大変なことが起こりました。
なんと、橘花さんが倒れてしまったんです。
これはびっくりしました。
でも、研究者の方の話によると
これは電算機の故障ではなくて、たんなる熱中症なんだそうです。
そうなんですね。
私たち司令電算機は、頭脳が熱を発しているので
普通の人より熱中症とかになりやすいんですよね。
それで今日は一日中橘花さんをうちわであおいだりしてました。
その時気付いたんですが、橘花さんの靴下の中には、保冷剤が入ってないんですね。
私は以前研究者の方から、電算機の放熱制御は太ももでやっているという事を聞いたので、暑い所に行く時は飛鳥庵で保冷剤の袋(物資搬入の際、食料といっしょに付いて来るんだそうです。とにかくいっぱい余っていて店主さんも困っているんだそうです)をもらってニーソックスの上の方に詰めこんでいるのですが。
案の定、橘花さんの太ももはかんかんに暑くなっていました。
もう目玉焼が焼けるぐらいです。
これじゃあ、熱中症になるのも当然ですよね。
こんなことなら保冷剤の事を教えてあげとけばよかったです。





橘花

 ・・・・・







次の日記を読む

戻る

inserted by FC2 system